国産ウイスキーに関するニュースです。
去年5月、サントリーが白州12年と響17年の販売休止を発表したことが話題となりました。
ここ10年ほどのハイボールブームによってウイスキーの消費量がおよそ2倍に増え元となる酒、つまり原酒が不足してしまったからです。
実はこの問題、その後も広がりを見せていて富士山麓樽熟原酒50度も来月の出荷分を最後に販売を終了します。
さらに手頃な価格で人気のサントリー白角も来月で販売を休止します。
ただ、そんな状況をむしろビジネスチャンスと見てウイスキーの生産に乗り出す地方の中小メーカーが相次いでいます。
有限会社八重洲長谷川酒食品
[blogcard url="http://www.liquors-hasegawa.jp/"]
東京駅・八重洲地下街にある酒店「リカーズハセガワ本店」。
ウイスキーを多く取り扱うこの店では連日、日本のウイスキーを求める外国人が多く訪れます。
「響」を探しています。
リカーズハセガワの大澤周作社長は、
17年ものしか置いていません。
「山崎」と「響」は私の好きな日本のウイスキー。
「山崎」と「響」を探していたが響のレギュラーは売っていなかった。
現在、店に在庫があるのはサントリー響の17年ものだけ。
しかも販売休止の影響で値段が2倍以上に跳ね上がっていました。
それでも外国人客は購入していきます。
シングルモルト「響」を買った。オーストラリアでは入手が困難。
「オーストラリアではいくら?」
700~800豪ドル(6万円前後)。
ここ10年ほどでニッカウヰスキーの竹鶴などいわゆるジャパニーズウイスキーが国際的な品評会で賞を受けることが増えました。
海外への輸出額は去年、年間およそ150億円に上り、この10年で実に10倍に増えています。
国産ウイスキーの原酒不足の背景には海外からの需要の高まりもあるのです。
以前は日本のウイスキーがもっと種類があり、面白いのもあったが今はとても人気があり原酒不足でほとんど種類が無い状況。
こうした状況に日本の会社員も…
50代の男性は、
「竹鶴」がなかなか手に入らなくなった。
あの辺を実は飲んでいたのでおいしい酒が飲めないのは残念。
30代男性は、
山梨出身で「白州」をよく飲んでいたので悲しい。
各社の対応
原酒不足への対策としてサントリーは2020年までにウイスキーの貯蔵能力を2割拡大することを発表。
キリンも生産設備の増強計画を明らかにしています。
そんな状況をビジネスチャンスと見る新たな動きも…
若鶴酒造株式会社
[blogcard url="https://www.wakatsuru.co.jp/"]
富山県砺波市にある三郎丸蒸溜所です。
中を案内してもらうと…
三郎丸蒸溜所を運営する若鶴酒造の稲垣貴彦取締役は、
こちらがウイスキーを熟成させている熟成庫です。
こちらの樽は約10年熟成、上の方で7年熟成の樽。
1862年創業の酒蔵、若鶴酒造が60年以上前から販売しているサンシャインウイスキーです。
2017年におよそ1億円を投じて蒸溜所を改装。
蒸留器も大きいものを導入し、今年の生産量は2018年の2倍に増やす計画です。
大手のブレンデッドウイスキーは生産規模がないと作れないが、シングルモルトであれば大手とは違う世界で勝負できる。
実際、3年前に55年熟成させたウイスキーを155本限定で販売したところ、60万円近い値段にもかかわらずすぐに完売しました。
実は国産ウイスキーの原酒不足の状況を商機と見る小規模蒸溜所は増えているといいます。
これらはクラフト・ウイスキーと呼ばれています。
ここ3年以内に生産を始めた蒸溜所も多く、現在の数は全国16ヶ所に上っているのです。
ミズナラ
さらに若鶴酒造では将来を見据え新しい取り組みも開始。
富山県のミズナラという木を使って樽作りをする。
やはり地元の木を使って地元ならではのウイスキーを作りたい。
ミズナラは日本でウイスキーの貯蔵樽に多く使われている木でお香のような香りが特徴。
サントリーの響や山崎などもミズナラ樽での熟成が特徴の一つといわれています。
ただ、若鶴酒造が地元のミズナラを使うには別の理由も。
ミズナラが自生している現場に案内してもらいました。
こちらがミズナラの木です。
虫が温暖化と共に富山に入ってきてミズナラの大きな木を枯らした。
昔は薪や炭などに使われていた富山県のミズナラ。
しかし、需要が減ったいまは放置されるようになり、虫による被害が深刻化しています。
そこで若鶴酒造では去年から地元の木材店や加工所と協力し、ミズナラを使った樽の制作を開始。
富山ならではのウイスキーを日本や世界に発信したい考えです。
多くの蒸溜所ができて、作り手もいろいろな発想で作っている中で地場の木材を生かしたウイスキーは大きな価値になる。