変わりつつあるベンチャー企業の将来像。
これまで日本ではゆくゆくは株式上場を目指すというのが一般的でしたが、この図式が変化してきます。
日本企業が関連したM&Aの件数は5年間で約5倍、M&A全体の16.8%に増加しました。
アメリカではすでにM&Aで事業を売却するというのがベンチャー企業の成功モデル、いわゆる出口戦略の主流となっています。
そして日本でもITベンチャーに特化したM&Aの支援サービスが誕生しました、
その現場を取材しました。
レバレジーズ株式会社
[blogcard url="http://leverages.jp/"]
人材サービスなどを手掛けるレバレジーズ。
2月15日、IT企業に特化したM&A支援サービスを始めると発表しました。
買収する企業の選定から、買収金額の算定まで一括して請け負います。
レバレジーズの垂水隆幸取締役は、
ベンチャー企業のM&Aが非常に活発化してきている。
実はITベンチャーの分野では人手不足でエンジニアを確保できず、株式を上場できるほど事業規模にまで成長できない会社も多いといいます。
そこで注目を集めているのがM&Aです。
アメリカにおけるベンチャーの投資回収は、より大きな企業に事業を売却して、その後の成長を委ねるサイクルがある。
ベンチャーの出口戦略を比較するとアメリカではM&Aによる事業譲渡が8割を占めますが、日本では1割にも満たない水準です。
M&A(企業への売却) | 株式を上場 | ファンドなどへの売却 | |
---|---|---|---|
アメリカ | 80% | 12% | 8% |
日本 | 7% | 58% | 35% |
しかし、
IT企業を買収してでもITエンジニアを自社に取り込みたいという意欲をもつ会社が非常に増えている。
買い手企業が求めるのはITエンジニアが持つスキルです。
ただITベンチャーのM&Aには課題があります。
M&Aは買った後が難しい。社員が定着して活躍しないと何のために買収したのか分からない。
M&Aが成立しても社風などの違いからエンジニアが離職することもあるといいます。
レバレジーズはどう乗り越えようとしているのでしょうか?
株式会社SKIYAKI
[blogcard url="https://skiyaki.com/"]
レバレジーズの担当者がやって来たのは東証マザーズ上場のIT企業「SKIYAKI」。
音楽アーティストのファンサイトやチケット管理の仕組み等を手掛けています。
いま事業拡大のためベンチャー企業の買収を検討しています。
レバレジーズのM&Aアドバイザリー事業部、高橋彗部長、
現在の予算感はどのくらい?
買い手のSKIYAKIの在國寺穂さんは、
3,000万円~5,000万円規模が割と出しやすい。
予算や買収したい会社の規模、社員に求めるスキルなどを聞き取ります。
それだけではありません。
御社独自の制度や福利厚生はある?
一言で社風や文化を。
うちはエンターテイメントに関する会社なので、面白いことをワクワクするように見出していくような、そういったところはカルチャーとしては求めている。
その会社の風土を細かく聞き取りをします。
M&Aで「売り手」「買い手」の一番の悩みは従業員の融和。そういう定性的な条件のマッチングはこだわりを持ってやっていきたい。
株式会社ココドル
[blogcard url="http://cocodoru.fun/"]
いわゆる売り手企業の価値はどのように判断するのでしょうか?
2017年に起業したばかりの櫻井楓さん(23歳)。
ココドルという会社と立ち上げ学割の情報サイトの運営やイベントの開催、新卒の人材紹介の支援などを手掛けています。
やっぱり若者向けは単価が上がらない。なかなか上場までこぎ着けるのは結構難しい中で、M&Aは一つの戦略。
現在、年商は約2,000万円。
主にサイトの広告料やイベントの参加料などで収益を上げています。
デザインもプログラミングも全部、櫻井さんがやっている?
IT企業の場合、売却額の算定は社員のITスキルが重要視されるといいます。例えば使っているプログラミング言語や、その使用年数によって算定が変わります。
さらに運営をしているコンテンツなども調べられます。
櫻井さんの会社が運営する学生向けのサイト。サイトの登録者一人一人に価値が付くといいます。
1ユーザーに対して数万円とか価値をつけられるときもある。新卒に特化したサービスを算定したことがあるが、そのときは学歴のみ。
MARCHが6割とか?
東大が何割とか。
より高く売却できるように買い手の企業が求めるお客様の属性のアドバイスをします。
レバレジーズはIT企業への人材紹介やWebサービスの立ち上げを長年手掛けてきたため適正な売却金額を細かく算出できるといいます。
IT業界は変動がすごく激しかったり、価値算出がすごく難しいところがある。そこは僕らの一番の強みになってくる。