地域で奮闘する企業を取り上げる「輝く!ニッポンのキラ星」。
今回は岐阜県からです。
バス向けの機器で国内シェアトップを誇る企業を取材しました。
運賃箱で国内シェア6割超え
JR岐阜駅。
駅前のバスターミナルを走る赤と白の色を使った車体のバス「岐阜バス」。
駅前から病院や学校などおよそ50路線を結ぶ岐阜バスは市民の生活の足として親しまれています。
車内の様々な機器をよく見ると「LECIP(レシップ)」という見慣れない文字。
運賃表示器にもレシップ。
あらゆる部品にレシップと書かれています。
レシップが本社を構えるのは県南西部の本巣市。岐阜市に隣接する市の南部は住宅地や企業の工場があります。
グループの従業員数は623人。
2021年3月期の売上高は155億5,300万円。
こちらの工場では運賃箱を始め、バス関連の様々な機器を製造しています。
整理券を出す機器やICカードリーダー、停車を知らせるボタン、さらに行先表示器やバス用の照明までバスの運行には欠かせないものばかりです。
実はレシップのバス関連機器は地元の岐阜だけでなく東京都交通局や横浜市交通局を始め全国各地で利用されています。
特に運賃収集のシステムは全国シェア60%を占めています。
レシップは1953年に創業。
当初はネオン照明向けの電圧の変換器の販売が主力でしたが、地元でバスの製造をしている企業からその技術を買われ、バスの車内灯の電力変換や蛍光灯の開発に取り組み、バス市場に参入。次第にバス関連の機器を手掛けるようになりました。
レシップの強みはそれぞれのバス会社のニーズにあった商品作り。
代理店を通さず営業マンが一社一社と直接やり取りをしてオンリーワンの機器を製造してきました。
その結果、全国に多くの顧客を持つことができたのです。
さらにメンテンスの小会社を置いて定期的に運賃箱や整理券の機器などを整備しています。
どんな依頼が多いのでしょうか?
レシップエンジニアリングのテクニカルセンター、大平勝紀さん。
経年劣化、部品の摩擦によって4年周期で不具合が出始める。
それを事前に交換・メンテナンスをする。
部品を全て分解して中身を確認し、汚れの部品を落とす。
新品に近い状態でお客様に返す。
バス会社が抱える一番大きな問題、それが乗務員の負担軽減です。
乗務員の業務はバスを運転するだけでなく停留所の案内や運賃の確認、各種回数券の販売など多岐にわたっています。
レシップは新しいシステム、乗務員支援システム作りにも協力。地元のバス会社を支えています。
レシップの杉本眞社長。
乗務員の負担を軽減するシステムを提供したいということで位置情報をきちんと認識できるようなシステムを開発する。
すでに岐阜バスでは導入が始まっています。バスの進行に合わせて自動で停留所の案内をするほか、停留所の通過時間の管理もできるようになりました。
岐阜バスの運転士、岩田政士さん。
操作が簡略化されて運転の方に集中できるようになった。
さらに回数券や定期券も購入できるアプリも開発。バス会社だけでなく、乗客にも便利なシステムの開発を進めています。
そして現在開発中なのがクレジットカードで運賃を決済できる技術。
新型コロナウイルスの影響で非接触型決済の需要が高まっています。
ヨーロッパの方からその流れがどんどん進んできて、日本でも少しずつ進んでいる。
今期中には日本でも発売していきたい。
岐阜に拠点を置きながら全国展開するレシップの今後の方向性は?
位置情報を活用したさまざまなシステムをいろいろなところに普及させていきたい。
海外に関しては米国が一番成長する市場。
いろいろなバス会社にうちのシステムを提案していきたい。