アマゾンや楽天などネット通販各社が配送の切り札として期待しているのがドローン(無人飛行機)です。
今回、実用が最も近いという最新ドローンの現場を取材しました。
すると思わぬ時代の壁が見えてきました。

株式会社レイヤーズ・コンサルティング
[blogcard url="https://www.layers.co.jp/"]
岡山県の山間にある人口およそ1万4,000人の小さな町、和気町。

この町の上空にしばしば現れるのがドローンです。

国産の最新鋭ドローン、1機600万円。

それが何故この町に?
レイヤーズ・コンサルティングの草加好弘さん、
買い物難民と言われる方がいて高齢化もかなり進んでいる。

免許も返納しなくてはいけない。

なるべく安く、便利に運ぶ仕組みを早く作らないといけない。

そこで始まったのがドローンを使った配送です。
最大の特徴がカメラ。日本初となるドローンの顔認証システムを採用しています。

担うのはドローンの教習学校などを手掛ける企業「Future Dimension Drone Institute(FDDI)」です。

過疎地支援という観点から日本政府が支援。

さらにコニカミノルタやファミリーマートなどの企業も参画しています。

届けるのはコンビニの食料品が中心。

南山方地区
運ぶ先はドローンのコントロールセンターがある町の中心部から12.6km離れた南山方地区。59人が暮らしています。

山の上に広がる集落と麓を結ぶのは1本の山道だけ。

買い物をするには車で30分以上もかかります。

集落には1つも商店がないのです。
延原強さん
不便を感じることはある。

「住めば都」、いい所なんですけど。

そう話すのは延原強さん(70歳)。

自宅にお邪魔させて頂きました。
ドローンで注文できる商品はファミリーマートや地元スーパーの200品目以上。週3回、配送してくれます。

この日は昼ごはんを注文。
そのやり方が…
ファックスで送ります。

実はプロジェクトでは初め、スマホのアプリを使い注文から決済までできる最新のシステムを取り入れる予定でした。
だが、参加した住民たちはスマホを持っていなかったのです。

コントロールセンター
電話やファックスの注文は町のコントロールセンターで集約。
担当者が商品を揃える仕組みです。
FDDIの橋本俊さん、

注文は多いときで総額3,000円から4,000円。

ファックスは前日まで、電話は当日の朝まで対応する。

それを箱に詰めてドローンの下に取り付けます。
5キロまで搭載可能です。

午前11時半、ドローンが離陸しました。

大阪の企業が独自に開発したドローン。2時間以上の飛行が可能で、ハイブリッドのため燃費も従来より優れているといいます。

リアルタイムで監視し、不測の事態にも備えています。

お昼前、住民たちが集まってきました。

そこに延原さんの姿も。

ドローンがやってきました。
しかし、すぐには着陸しません。
ここから日本初の顔認証システムを行います。ホバリングするドローンの前に延原さんが立ってカメラに顔を向けます。

送られた画像と左の事前に登録した顔とを識別。

認証されました。

ドローン配送を実現するためには届け先で本当に本人の物なのか認証が必要。

認証されると荷物のロックが外れ商品が受け取れます。

そんな最新の技術に触れて、
進んでいるなあ。SFの世界が今ここにある。

まだガラケーなので携帯電話も決済していない。

自分自身が遅れている。

決済は担当者が2週間に1度集金にやって来ます。

延原さんのお父さん、延原等さん(94歳)。

ドローンで注文して、きょう配送してもらった。

「ドローンを見たことありますか?」

なんだかわからん。

この実証実験は1月で終了しましたが住民たちは一刻も早い実用化を望んでいます。
なかでも期待されているのが薬の配送です。

われわれが目指しているのは顔認証で本人確認して、そのまま決済するパターン。

薬の配送では間違いなく本人に渡しているか、本人確認が重要。

規制の壁が立ちはだかるドローンによる配送。
まずは過疎地や離島から始まると見られています。
