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[カンブリア宮殿] 九州広域連合で世界へ挑む!客が殺到する「地域ブランド」戦略

2016年6月23日

九州広域連合で世界へ挑む!客が殺到する「地域ブランド」戦略

油津商店街

宮崎県日南市の油津商店街。

今や人影も疎らです。

昭和40年代には80店舗もあった通りも現在はその数は3分の1。

地方でよく見かける、いわゆるシャッター通りです。

ところが、そこに驚くべき店があります。

アブラツコーヒー

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アブラツコーヒーは閉店していた喫茶店を2年前に改装したカフェ。

店内は満席状態です。

その理由は店の看板メニューにあります。

それがパンケーキです。

この寂しい商店街でお客様を呼び寄せる秘密はパンケーキにありました。

お客様は

毎日食べたい

いつも食べているパンケーキとは違う。

全然違う。すごくおいしい。

パンケーキの名前が少し変わっています。

その名前は「九州パンケーキ」。

宮崎だけでなく全国的な広がりを見せています。

512 CAFE&GRILL

[blogcard url="http://512.tokyo/"]

その人気は東京でも

六本木のおしゃれなカフェ「512 CAFE&GRILL」でお客様を魅了するのは「九州パンケーキ」。

厨房を除いてみると九州パンケーキと書かれた袋があります。

九州パンケーキは粉のことです。

お客様は

「九州」イコール「パンケーキ」というイメージがないから何でだろう、他とちょっと違うのかな。

台湾

さらに驚いたのは台湾。

台北市の中心部に「九州パンケーキ」と日本語で書かれたお店があります。

店内は満席状態です。

看板商品は当然「九州パンケーキ」。

じつは「九州パンケーキ」は台湾で3店舗をかまえる人気店です。

2015年1月に開店以来、3店舗で累計来客数は11万人にもなります。

「九州パンケーキ」は台湾でも人気沸騰中です。

九州パンケーキ

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発売から4年が経つ「九州パンケーキ」。

売上は急激に増え2016年は3億円を突破する勢いです。

そして「九州パンケーキ」を家庭でも楽しむ人が増えています。

1袋(200g)で370円。

後は牛乳200ccと卵1個だけ。

人気の秘密

人気の秘密はみんなが口にするこの言葉です。

すごくおいしい。モチモチしている感じで全然違う。

フワフワ、モチモチ。

フワフワでモッチモチ。

誰もが魅了されるのはモチモチなのにフワフワの弾力です。

このフワフワ、モチモチの秘密が「九州」という名前にあります。

熊本県菊池町

熊本県菊池町に九州パンケーキの原料を作る農家がいます。

それがコメ農家の堤公博さんです。

どんなお米なのか見せてもらうと、それは黒々としたお米「黒米」でした。

モチモチの食感が出る。ビタミン・ミネラル系、いろいろな要素が含まれている。

熊本で作られるこの黒米が、あのモチモチした食感に一役買っていました。

長崎県島原市

黒米だけではありません。

長崎県島原市でも九州パンケーキの原料が作られています。

島原市で30の農家が育てているのは雑穀の1種「もちきび」です。

低カロリーで甘みのある、もちきびがもうひとつの特徴を生んでいるといいます。

岡田和彦さんは

フワフワに貢献しているのは長崎のもちきび。

九州パンケーキの原料

九州パンケーキは九州の農家が作ったこだわりの穀物を集め、独自にブレンドして粉にしたものです。

お茶に含まれる栄養素タンニンが豊富な福岡の赤米に、佐賀からは食物繊維が豊富な胚芽押麦。

大分からは小麦、ケーキなどに使われ、ふんわりと焼きあがる「シロガネコムギ」です。

使用しているのは7種類の穀物。

全て九州各県から集めたものです。
つまりオール九州の原料だから「九州パンケーキ」なんです。

こだわりの農家

参加するのはこだわりの農家ばかり。

宮崎県綾町の松井農園の松井道生さんは手間をかけて作った玄米をさらに発芽させ栄養の高い発芽玄米にして出荷しています。

その発芽玄米を粉にすると聞き松井道生さんは

本来、お米で食べたらびっくりするような美味しい米。それが粉になってパンケーキって最初はショックだった。

村岡浩司社長

生産者にそんな大胆な提案をしたのが九州パンケーキを開発した村岡浩司社長。

村岡浩司社長は今までになかった九州という広域のブランドを作るため九州中の農家を駆け回って集めた原料で独特の食感のパンケーキ粉を作り出しました。

それが今、「魔法の粉」と呼ばれています。

九州パンケーキの特徴でもあるモチモチした食感とか、手間がかかる。

村岡浩司社長の本拠地は宮崎市内にあります。

本社の住所を訪ねると、そこにあったのは一平という古風なお店。

中に入ると、そこはお寿司屋さん。

賑わうお店の2階に上がってみると、事務所には村岡浩司社長が働いていました。

有限会社一平の本社で働くのは6名という小さな会社です。

名物料理

一平寿司はレタスを使った、ある宮崎の名物料理で地元では誰もが知る名店です。

プリプリの海老を串に刺してひと茹でします。

特製の濃厚マヨネーズに海老を潜らせレタスと海苔で巻きます。

一平寿司名物、「レタス巻き」です。

野菜とマヨネーズを使ったサラダ巻きの元祖といわれています。

50年前に考案したのが創業者の村岡正二さん。
村岡浩司社長の父親です。

世界中に広まったカリフォルニアロールの原型。

新たな食文化を作った父への想いから村岡浩司社長は人々をあっと驚かせるような九州パンケーキを生み出しました。

子供の頃にレタス巻きが広がっていくのを見ていたので、パンケーキもどんどん広がっていくのを願っている。

九州パンケーキの魅力

九州パンケーキは美味しいだけが自慢ではありません。

1.アレンジ自由自在

宮崎観光ホテル

宮崎市にある宮崎観光ホテル。

[blogcard url="http://www.miyakan-h.com/"]

ガーデンレストランはな花の人気メニューが思わず胸踊ります。

厚みがとてもある九州パンケーキ。

運ばれてくるとお客様は誰もが

うわぁ、すごーい。

ここの商品を作ったのはパティシエの久嶋将司さん。

九州パンケーキの上にクリームを塗り、砂糖をまぶして炙るフランス風デザートにして出しています。

美味しい生地をさらに美味しくアレンジすることで最強のメニューが作れます。

差別化のため、変わったパンケーキ。九州パンケーキだからできる。

カフェノワンダーランド

[blogcard url="http://cafenowonderland.com/"]

宮崎市内から車で約1時間の国富町にある古民家風カフェ「カフェノワンダーランド」。

山奥にありながら、店内はお客様でいっぱいです。

お客様が食べるのは、やっぱり九州パンケーキ。

旬に合わせて添える果物は、この日は宮崎名物のビワ。

パンケーキの中には緑色の何かが入っています。

その秘密はお店の隣の畑にあります。

お店の人が摘んでいたのは「よもぎ」。

至る所に生えている。

このよもぎを生地に混ぜ込んでいました。

どんなお店でも大人気の看板メニューが作れる、それがお客様を呼ぶ魔法の粉「九州パンケーキ」。

店主の齊藤隆史さんは

九州パンケーキのブランド力は大きい。地元の食材を一緒に入れることで武器になる。今ではうちの看板商品になりつつある。

2.続々加わる美味しい生産者

吉祥 新吉田本店

横浜市内にある九州パンケーキを扱う「吉祥」。

[blogcard url="http://jizake-ya.com/shop/honten/"]

店内においてある「九州パンケーキ」の粉、その下には色とりどりのジャムが置いています。

このジャムも九州パンケーキのブランドです。

九州パンケーキは、その付け合せ商品としてジャムやシロップを統一ブランドとして販売しています。

福岡が誇る高級イチゴ「あまおう」を使ったシロップもあります。

そんなジャムやシロップが首都圏でも販売されています。

中武榮子さん

村岡浩司社長が訪ねたのは宮崎県高原町にある1軒のお宅です。

63歳になる中武榮子さん。

中武榮子さんは九州パンケーキ用のジャムを作っている一人です。

この日は地元農家さんから分けてもらったマンゴーが材料です。

宮崎の名産マンゴーをすり潰して、じっくと丁寧に煮詰めていきます。

まさに手作りの一品です。

中武榮子さんは今までは出来上がったジャムは自宅を訪ねてくるお客様に細々と売っているだけでした。

しかし1年前に村岡浩司社長の誘いに応じて、九州パンケーキブランドの仲間となりました。

現在、高級スーパーなど全国670ヶ所のお店で販売される九州パンケーキ。

そのうち、100店舗にシロップやジャムが置かれています。

中武榮子さんのジャムも売上倍増だといいます。

本当にありがたいです。おばさんなのに取り上げてくれたのはありがたいこと。

たとえ小さな生産者でも九州ブランドでまとまれば全国的に大きな販路を持つことができます。

熊本大地震

そんな九州ブランドで1つになった九州を巨大地震が襲いました。

動き出した村岡浩司社長。

それは九州ブランドの真価を試される戦いです。

復活させないとダメ、絶対に。

一つのチームになった農家を救うため、九州パンケーキで世界を攻めます。

海外まで渡っていると聞くだけで農作業に力が湧いてくる。

村岡浩司社長

ホットケーキとパンケーキの違いは?

基本は一緒。非常にユニークなところで、今まで「ホットケーキ」と言われていた物が「パンケーキ」という名前になると、すごく別のイメージになる。

九州の枠組みにはどんなメリットが?

今までは九州をひとくくりにしていて、九州の端っこの宮崎の人間が九州を名乗るのは、すごくやってはいけない気がしていた。でも、地域を1つにすると農業の面では、九州は山、海、平地があって品種の多様性は日本一。その意味で僕は九州を1つに表現したかった。これからアジアを考えていくと入り口はまさに九州であって、九州という名前とか、九州の付加価値が高まっていくに従って、九州パンケーキも勝負できる時代が来るような気がしている。

「メード・イン・九州・ジャパン」は見たことがない。

地元の農家のおばちゃんが丁寧に本当においしいジャムを作っていて、その出口は地元の道の駅だったり、スーパーだったりする。いろいろな所で勝負したいとこの方も思っている。新しいチームで新しいマーケットをつくっていくということ。

みやざき国際ストリート音楽祭2016

[blogcard url="http://www.bunkahonpo.or.jp/street2016/"]

4月29日、宮崎市の中心部であることが行われるといいます。

道路が封鎖され、そこへ人々が押し寄せてきました。

始まったのは吹奏楽の演奏。
違う場所ではロックのライブ。

町のあちこちで様々なジャンルの音楽ライブが始まりました。

みやざき国際ストリート音楽祭は宮崎市の中心部が一体となって行っているストリート音楽祭です。

今年は3万8,000人の来場者が訪れました。

また来てみたい気になる。

鹿児島から来た。素晴らしい。

宮崎市内にお客様を呼ぶ音楽祭。
仕掛け人の一人が村岡浩司社長です。

町の中の衰退の度合いが激しかった。危機感があった。その時に集まった人たちのパワーが実現させたと思う。

九州パンケーキの原点は地元での格闘にありました。

村岡浩司社長の半生

1970年、宮崎市に生まれた村岡浩司社長。

高校を卒業後、寿司屋を継ぎたくないからと、アメリカに渡りました。

その後、帰国し雑貨店を開業するものの倒産。

地元で寿司屋を継ぐ決意をします。

そして村岡浩司社長は生まれ育った商店街の店が次々に廃業していく現実を目の当たりにします。

店がなくなると本当に寂しい。ここで、こういうことをしたとか、みんなで騒いだとか、ここでデートしたとか、そういう場所がなくなると「寂しい」の一言。

村岡浩司社長は商店街に若者を呼び込みたいと、当時日本に上陸したばかりのタリーズコーヒーの国内フランチャイズ店1号店を2002年に開業します。

それをきっかけに商店街の活性化メンバーとして理事に就任し活動を始めます。

そして村岡浩司社長はある問題点に気付きます。

商店街の問題点

毎年、商店街にお客様を呼ぶイベントの相談をすると、必ずこんなやり取りが起こります。

今年はイベントの日程どうする?

どうも、あそこの商店街はこの日にやるらしい…

うーん…じゃあ、うちらは次の週にするか

当時、宮崎市の中心部には500m圏内に複数の商店街が密集、全てが別の組合を作りライバル関係にありました。

村岡浩司社長は思いました。

小さなイベントをバラバラにやるより、みんなでまとまって大きなイベントをやった方が客が集まるのでは…

そして村岡浩司社長は、街の商店街をひとつひとつ説得して回り、中心部、6つの商店街を横断する組織「Doまんなかモール」を立ち上げます。

以後、様々な合同イベントを開催。宮崎市内にお客様が戻り始め、いつしか商店主たちの意識も変わりました。

田中鏡一さんは

商店街同士がケンカしていた。「向こうは向こうだから」と、今はつながりができたから、何か行動を起こせば、まだこの通りでも人は集まるんだと。

イベントを頻繁に開催することで、商店街が活性化し、確実に空き店舗が減り続けています。

隣の商店街とまた隣の商店街、それが全部一堂に会して、「面」として、いろいろなアイデアを出し合うと、もっと幅の広い活動ができる。

連携することで大きな力になる。その成功体験が九州をひとつにする九州パンケーキの原点です。

村岡浩司社長

どこかに飛び出してこそ芽吹くもの。

1988年にアメリカに行ったが、強烈なカルチャーショックで宮崎の何もない小さな町から本当に多様性のある文化を見て、そのエッセンスを故郷に持ち帰って周りの人をびっくりさせたいとか、そういうのが最初の1歩にあった。

商店街の反応はどうだった?

郊外に大型店ができた。その反動で2~3割の歩行者が一気に減った。その中で今までは商店街同士もライバルかもしれないけど、1つのかたまりになって面としてとらえたら何ができるのか、みんなでいろいろなことをやろうと始めたのがスタート。

「勝つ」のではなく「生き延びよう」

地域の中で自分の考えとか、求める方向性に「共感」してもらえる、「共感」がすごく大事なキーワード。そこでつながって全体で戦っていく。それは意識している。

熊本地震

4月、熊本を襲った大地震。

まだ被害の全容さえ分からない4月19日、村岡浩司社長は宮崎から熊本に向かっていました。

仲間がいっぱいいる。この辺も会いに行きたい1人ずつ。何ができるか分からないけど。

幹線道路は大渋滞。普段2時間半で着く熊本市内への道のりは6時間もの時間を要しました。

熊本製粉株式会社

[blogcard url="http://www.bears-k.co.jp/"]

真っ先にやって来たのは、熊本製粉株式会社。

九州パンケーキの粉の生産を担う拠点です。

熊本製粉株式会社の宮本貫治社長に被害状況を教えてもらうと、倉庫は悲惨な状態。
生産再開まで1ヶ月は掛かるといいます。

ニューコ・ワン株式会社

[blogcard url="http://www.newco1.co.jp/"]

さらに熊本には九州パンケーキを支える村岡浩司社長の仲間が数多くいます。

九州パンケーキを販売してくれているTSUTAYA AVクラブ健軍店。

被害は一見少ないように見えますが、2階は

上はグチャグチャ。

最初の地震で被害に合った店内の商品を並び替えたところに2度目の大揺れが襲ったといいます。

TSUTAYA AVクラブ健軍店を運営しているニューコ・ワン株式会社の杉山純司専務は

本震が来て、また商品が落ちたから、みんな一生懸命やったのが、また壊れた。

厳しい現実。

人のいない商店街

実は村岡浩司社長自身、熊本市内の商業施設で九州パンケーキの物販店のオープンを4月末に控えていました。

しかし、開店は延期せざるを得ない状況です。

電気がついていない、暗い。

でも、何より村岡浩司社長にとって衝撃だったのが人のいない商店街。

夜遅くまで活気のあった熊本の賑わいが消え去っていました。

これはあり得ない。熊本の街中にこんなに人がいないのは。これは復活させないとダメ。絶対に。

つらい。

熊本の危機に九州ブランドは何ができるのか。

萌の里

[blogcard url="http://www.moenosato.net/"]

震災から1ヶ月。熊本の農家は深刻な打撃を受けていました。

野菜や果物を販売する直売所「萌の里」。

これ全部、野菜の並ぶ所。

以前、当たり前のように並んでいた農産物はひとつもありませんでした。

萌の里の寺本篤史さんは

家を失った人がたくさんいるから、自分たちの生活の再建をされている。諦める人が結構多いと思う、収穫自体を。

被災した農家がなかなか立ち上がれないでいる。

株式会社福田農場ワイナリー

[blogcard url="http://www.fukuda-farm.co.jp/index.html"]

そんな中、村岡浩司社長は農家が出荷を再開できる日を見据え熊本を動き回っていました。

やって来たのは熊本県水俣市にある株式会社福田農場ワイナリー。

50年ものあいだ、甘夏などのみかんを作っています。

併設された工場で作られるのは、とれたての甘夏の果汁と皮をそのまま生かした新鮮な瑞々しいマーマーレードなどです。

村岡浩司社長は熊本の果物農家を周り、ジャムなど品質の高い加工品を探していました。

爽やか、酸味も効いて。甘夏が特に良かった。

震災で被害に合った農家の果物を九州パンケーキのブランド力で一気に販路を広げようという考え。

必ず「九州に行こう」「九州のものを食べよう」という気運が巻き起こると思う。そこが僕らの出番。

台北市

そして向かったのは台湾の台北市。

すでに2016年3月に3店舗目の九州パンケーキの新店舗がオープンし、九州パンケーキブランドが着実に広がっています。

ここで村岡浩司社長がビジネスパートナーのケルビン・サイさんに見せたのは熊本で集めてきた様々な果物の加工品です。

台湾の消費者の口に合うものがあれば、一気に商品展開する作戦です。

フルーティーな香りがいいですね。

すると、熊本の株式会社福田農場ワイナリーで作られた甘夏のシーザードレッシングにマーマレードを乗せました。

ただ店でジャムを売るだけでなく、独自メニューも開発しようというのです。

うん、これはうまい。

ケルビン・サイさんも九州ブランドに可能性を感じていました。

パンケーキだけじゃなく、ジャムも九州産のものを店で出したいです。地震は大変だったと思いますが、台湾を九州の一部だと思ってもらえば、九州の経済も良くなっていくと思いますよ。

早速、店で試食会。

熊本の農家が作ったジャムを台湾の人は

美味しい!

大震災の危機に九州パンケーキの連携が海外まで広がりました。

村岡浩司社長

熊本地震で生産者の被害は?

産地では収穫した物を1ヶ所に集めて出荷するが、その集荷機能が一時期止まっていたりとか、出荷すべき農作物が出荷できなかったことがあった。

熊本地震のときは?

宮崎にいて台湾からのお客様が来ていた。台湾のパートナーと一緒に夜、食事をしていたら宮崎もすごく揺れて、その後台湾に行ったら、会った瞬間に封筒を「村岡さん、これ」と渡されて、「熊本の皆さんへ」と書いてあって、中に大金が入っていて「これで何かできることを」と言ってくれた。九州パンケーキでつながっているパートナーの人たちも、自分たちが九州を掲げる看板なので、しっかりと九州の情報を伝えるから、頑張っていきましょうと言ってくれた。

震災を受けて考えることは?

あの地震の風景を見て、自分は何ができるのかなと考えた。パンケーキは土台みたいなもので、そこには果物、野菜、それからジャム、マーマレードとか、いろいろなものが必要なので、九州パンケーキを要にして生産者の人と、もっと真剣につながって、九州パンケーキを通じて、まずは熊本の皆さんとか、九州のみんなが笑顔になれるよう少し長い目線で見て、自分たちができる貢献を考えていこうと思っている。

シンガポール

5月11日のシンガポール。

そこに満面の笑みでやって来た村岡浩司社長の姿があります。

それにはワケがあります。

この日、海外4店舗目となる九州パンケーキの店がシンガポールにオープンしました。

ここの売りはトッピングがボリューム満点で種類が豊富なことです。

驚いたのは揚げたチキンの塊を九州パンケーキの粉で焼いたワッフルに、その名も「唐揚げチキンワッフル(約1,500円)」。

シンガポール流のやみつきになる組み合わせだそうです。

その店内で村岡浩司社長は現地のビジネスパートナー、ミドリキャピタルのジェフリー・ヤップさんにあることを相談していました。

地震の被害を受けた熊本のマーマレードが口に合うか聞きたかったのです。

いいね、僕は好きだね。

反応は上々。秋までに九州パンケーキブランドのジャムが店頭に並べることが決まりました。

村岡浩司社長が世界に攻めるのは九州の頑張る農家を支えたいから。

海外の店舗を5年以内に20店舗に増やすのが目標です。

世界に九州ブランドが広がることで地方が主役になる。
村岡浩司社長はそう信じて前に進んでいます。

村岡浩司社長

九州からアジアへ、どんな可能性が?

宮崎から考えれば東京であろうが、福岡であろうが、台北、シンガポールであろうが全部グローバル。だから国境の概念さえ取り払ってしまえば、アジアで戦うというのはすごく自然なことで必然であって。

九州の存在感は確かに年々高まっていると思う。

地域でも戦える時代が来たと思っているし、むしろ九州だからこそ、やれることがたくさんあると感じている。

編集後記

熊本地震、自分は九州出身者だと自覚が強まった。故郷を離れて40年以上経つが、ホテルのエレベーターで九州弁を聞くと、思わず話しかけたりする。だが、九州は遠い。東京ではなくアジアに目を向ければいいのにとずっと思っていたが、具体的なビジョンを持つプロジェクトが生まれている。九州パンケーキ、「九州産の小麦、雑穀を100%使用したアルミフリーのパンケーキミックス」で、「安心・安全」と、「九州100%」を謳っている。まだ道半ばだが、方向は正しい。そして、前進を続けている。

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