いま日本各地でカクテルなどに使われるジンを作るところが増えています。
海外への輸出も視野に入れた新たな動きにフォーカスしました。
季の美 京都ドライジン
東京・紀尾井町にあるホテル「ザ・プリンスギャラリー」。35階にあるお洒落なバー「ザ・バー イルミード」でいま話題になっているのは期間限定のジンのカクテルです。
ジンといえば穀物を原料とした香りのある蒸留酒でアルコール度数は40度前後と高めです。イギリスが本場のお酒ですが、ここで使用しているのはなんと日本の京都産のジンです。
ザ・バー イルミードのリーダー、中西孝行さんは、
通常のジンは小麦など穀物がベース。これはコメを使用。様々な素材に馴染みやすい。
これが京都産のジン「季の美 京都ドライジン(5,400円)」。
通常のジンと違いコメを使用しています。2016年10月に売り出すと3ヶ月で3万本が売れました。
その味は本場イギリスでも評価され酒類専門誌で「もっとも革新的な商品」の1位に選ばれました。
京都蒸溜所
京都産のジンは市内の蒸溜所で作られています。
ここで京都初のジンを造っています。
蒸溜所にいたのは日本人でなくイギリス人のデービッド・クロール社長。日本に住んで20年、京都の食材に惚れ込んでジンを造ろうと思い立ったのです。
日本酒に詳しい人のアドバイスを得ながらジンの製造を始めました。
京都産のジン、その特徴は香りにあります。
京都の味と香りですね。
京都産のショウガやユズ、玉露など11種類の香味原料を使用。
この日は山椒と木の芽を伏見の名水を使用したコメの蒸留酒に入れました。4時間かけて蒸留し香り付けするのです。
ショウガやユズ、玉露なども別々に蒸留し、一旦素材別の6種類のジンを造ります。さらに、この6つのジンに伏見の水を加え独自の製法でブレンドしたものが京都産のジン「季の美 京都ドライジン」です。
コメの甘さやユズや山椒の香りで京都らしいジンになった。
早くも1月からイギリスやフランスなどへの輸出を始めました。
ロンドンがジンの都なのでイギリスで成功したい。今年は10万本の生産を目指す。
宮下酒造株式会社
一方、岡山の老舗日本酒メーカーでも2016年からジンの製造を始めました。
宮下酒造は地元の銘酒「極聖」で知られ、100年以上も続く老舗の酒蔵です。
近年、日本酒の販売が伸び悩み、新しい事業としてジンに目を付けたのです。
こちらのベースは伏流水を使った自社製のコメ焼酎。その中に香り付けの原料を投入して約5時間蒸留します。
通常は蒸留後すぐに瓶詰めをするのですが、ここでは焼酎を貯蔵していた樫の樽で2~3ヶ月熟成します。ジン造りとしては独特の珍しい製法です。
樽仕込みのジン、宮下酒造株式会社の営業課長の林克彦さんによると、
樽貯蔵の香り、熟成した琥珀色がついている。
通常のジンは無色ですが樽貯蔵をすると琥珀色になり風味が増します。
ほかのジンにはないフローラルな香りが漂うと百貨店などでも大好評。
「クラフトジン岡山」は現在ではヨーロッパなどからも問い合わせが来て輸出を検討しています。
少量作ってもビジネスとして成り立たない。外国に売り込んでいくには量産できる体制が必要。
コメをベースに作られたクラフトジン。世界に通用するジンになるのでしょうか。
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