国会では先週末、漁業法の改正案が成立しました。
漁業法の改正は70年ぶりということになります。
その目玉の改正が漁業権のルール変更です。
これまでは漁協など地元の漁業者に養殖などを行える権利を優先的に割り当ててきました。
しかし今回の改正では民間企業などいわゆる新参者にも広く門戸を開く仕組みとなりました。
この改正で日本の漁業はどう変わるのでしょうか。
有限会社アーバンテックス
宮崎料理が自慢のこちらの居酒屋「宮崎料理よかんべ」。
中でもオススメはブリの刺身です。
おいしい。
プリプリしていてめっちゃおいしい。
宮崎産の黒瀬ブリ刺し(680円)。特にこの時期は身が大きく脂も乗っているといいます。
人気の高いブリ料理をこの店では1年中、同じ値段で提供しています。
なぜそれが可能なのでしょうか?
アーバンテックスの宇都木敦社長、
「養殖」です。
実は養殖のブリを使用。
天然物と比べ半額近い価格で提供できるといいます。
「天然と養殖、味は違う?」
さほどないと思う。
養殖ブリはなくてはならない。安定して入ってくる。
黒瀬水産株式会社
[blogcard url="http://kurosui.jp/"]
宮崎県串間市。
先程のブリを養殖しているのが黒瀬水産という民間企業。
地元の漁業組合から港の一部を借り、14年前から養殖を始めました。
黒瀬水産の企画管理課、福嶋久史課長、
ブリを養殖しているいけす。
AIを駆使した養殖をしている。
黒瀬水産が去年、新たに導入したのはAI(人工知能)で魚のサイズや体重を測定できるシステム。
カメラを海中に入れ、いけすを泳ぐブリの群れを撮影します。
その映像をパソコンに取り込むと、AIが魚の正確な大きさや重さを解析してくれるのです。
手作業での計測に比べ作業量は9分の1にまで削減できました。
ベテラン漁業者の経験や勘も大事だが、それに加えてデータという事実を基にいろんなことを考えて、対策を作り検討し、実行していくという理論立てた筋道はよりやりやすくなるのではないか。
現在、民間企業が参入する場合、漁業権を持つ地元漁協に一定の利用料を支払う必要がありますが、改正後は民間企業が直接、都道府県から漁業権を得られるためその支払はなくなり、より参入しやすくなるといいます。
しかし…
千葉県沿岸小型漁船所業協同組合
千葉県沿岸小型漁船所業協同組合の鈴木正男組合長は、
反対。
心配をあげたらキリがない。
千葉県勝浦市で50年近く漁業を続けるベテラン漁師、鈴木さん。
地元漁師からは企業の新規参入に反対の声が多く上がっているといいます。
大きな企業も地元に根付いてやってくれるならいいが、やるだけやってダメなら撤退したという話を聞く。
その辺がすごく不安。
民間企業の参入が広がり、資金をかけた大型漁船の導入が進めば小規模漁業者が漁場を奪われる可能性があると指摘します。
齋藤健前農水大臣
こうした反対の声について法案の策定にあたった齋藤健前農水大臣がテレビ東京の単独インタビューに応じました。
うまくやっている人を排除して企業が入っていくという法律ではない。
辞める人が出てきて、漁場がもっと有効に使えるのに使えていない漁場があるのであれば、そこに参入を促すような仕組みを今回とろうと。
齋藤氏がモデルの一つとするのは5月に視察した北欧の国、ノルウェーです。
漁船のITを進め、漁師1人あたりの生産量は日本の8倍とされています。
今回の法改正で導入される船ごとの漁獲枠の割り当てもノルウェーでは先駆けて導入し、資源管理に成功しているのです。
技術・養殖も進めば価格面も安定するのでは。
うまくやっていけば日本の漁業は成長していくし、漁業をやる人の所得も増やしていける。