台風の被災地では復旧が本格化してきました。オープン直前に被災してしまった千葉県のテーマパークは1ヵ月遅れの開園にこぎつけ待ちかねたお客様で賑わいました。
一方で道半ばの住宅や企業も多く、復旧への課題も見えてきました。

株式会社KURKKU
[blogcard url="https://kurkkufields.jp/"]
11月2日の土曜日、千葉県木更津市に大勢の人で行列ができていました。

ここは農業と食とアートが融合したテーマパーク「クルックフィールズ」。




代表を務めるのはMr.Childrenなど数々の有名アーティストをプロデュースしてきた音楽家の小林武史さん。

まさか2019年の秋、千葉にこのような台風が来るとは全く予想してませんでした。

実はこのテーマパーク、元々10月5日に開園するはずでした。
それが台風15号と19号によって園内で育てている鶏小屋の屋根や壁は剥がれ、野菜を育てているビニールハウスも倒壊。

およそ1ヵ月遅れのオープンとなりました。

パーク内では飼育している水牛の乳からその日の朝に作った出来たてモッツァレラチーズが食べられる水牛ツアーや自分で畑から野菜や食べられる花などの材料を摘んで生地を広げるところから始めるピザ作り体験など、至るところで多くの笑顔が見られました。


「台風大丈夫でした?」
屋根が一部破損で全部屋雨漏り、ビニールシート生活。

「そういう生活の中でここに来るのは心境の変化?」
息抜きみたいな。そんなくよくよしてもしょうがないから。

周りも被害が大きいから私たちだけずーんってなっていてもおかしい。

しかし、ここまでの1ヵ月は大変だったといいます。
あのビニールハウス群も全部直すと3,000万円以上かかるけど使えるところを使って工夫してやっている。

屋根が吹き飛んだ鶏小屋は営業と並行してスタッフが毎日、手作業で直しています。

小林さんは今後、大きな災害時には自分たちだけでなく地位の人々に自家発電の電気や畑で取れた食料など提供していきたいと話します。

茂原商業開発株式会社
[blogcard url="https://www.asmo-sc.com/"]
一方、生活拠点の復旧も進んでいます。
千葉県茂原市。

この日、およそ10日ぶりに営業再開にこぎつけたショッピングプラザアスモ。

地域で最大規模の商業施設です。
アスモを運営する会社、茂原商業開発の麻生和男社長、
浸水がこの辺まで来ましたからね。

捨てるのを見るのが嫌な程の被害だった。

10月25日の記録的な大雨による浸水で一時孤立状態に…


およそ40人のお客様が2階で夜を明かすほどだったといいます。
レジも全部ダメになった。

軽減税率対応で替えたばかりだったのに入れ替えでまた3,000万円くらいかかった。

ただ一部の設備は間に合わず品揃えは通常の半分程度のところも。

地域住民の生活を支えたいとの思いで急ピッチで再開準備を進めたといいます。
待ちに待った多くのお客様が来ることを期待している。

後ろを振り向かず前に向かって進んでいこう。

開店まで5分を切ると入り口には今や遅しと待ち構えるお客様の姿が…

そしていよいよ…
大きな台所の営業再開には地域の住民からも安堵の声が聞かれました。
待ちに待って飛んできました。

しばらくお刺身を食べていなかったんで買おうと思って来た。

麻生社長の喜びもひとしおです。

普段の日曜日より2~3割多い。

横浜プレシジョン株式会社
[blogcard url="https://www.ypc-next.com/"]
台風15号や19号では千葉県や長野県、福島県などで広範囲に被害が及びました。
こうした目立った被災地に囲まれた横浜市でも実は大きな被害を受けた地域がありました。

町工場を訪ねてみると…

横浜プレシジョンの鈴木佳則社長、
ダクトが台風15号の強烈な風で本来はまっているはずがもぎ取られた。

こちらのメッキ工場は複数のダクトが強風により破壊されました。

被害額は総額2,000万円に上りますが、火災保険ではおよそ40%の900万円しか支払われないといいます。

落胆している。

ある範囲で持ち出しを最小限にして少しずつ直していくことしかできない。

横浜市
[blogcard url="https://www.city.yokohama.lg.jp/"]
横浜市では台風15号で多くの中小企業が被害を受けました。

特に護岸が破損し、高潮が押し寄せた金沢区の臨海部では被害が甚大で、被害額はおよそ250億円に上ります。

そこで11月5日に横浜市が開いたのが中小企業向けの復旧支援についての説明会。

被災した建物や設備の修繕や購入費用を最大75%まで補助するとしています。

横浜市経済局中小企業復興部ものづくり支援課の不破野裕崇氏、
今回は本当に想定外。

これは尋常じゃないという判断をして検討して今回制度を設立した。

株式会社ミナロ
[blogcard url="https://www.minaro.com/"]
この説明会に参加していたミナロでも大きな被害を受けました。

こちらは樹脂素材などの加工会社。企業から受注を受けて試作品などの精密な模型を作っています。

高潮の影響で社内には膝下の高さまで海水が入り込みました。

ミナロの緑川賢司社長、
ここの高さまで水に覆われた状態でもうさびている。

塩水がかかるとあっという間に一晩でこうなった。

現在は修理して一部稼働できるまでになりました。

しかし、
「会社としては?」
ダメージですね。5,000万~6,000万円の損害はある。

こうした災害に対応した保険に入っていなかったため横浜市の補助金を受けることを考えていますが、復旧費用の全てを賄えるわけではありません。
工場がこういう状態ですからフル稼働ではない。従来の利益はまだ。

そんな状態で新しい設備をどう出すんだと。
