家庭の食卓で今も昔も大活躍しているものがあります。
そう、「ラップ」です。
調理や食べ物の保存には欠かせません。
おにぎり作るよ。
手が汚れないようラップを使っておにぎりを握るのも今や当たり前。
なくては困る、必需品です。
家庭にラップが登場したのは、今から56年前。
累計30億本が売れた、日本初のラップ「クレラップ」を研究します。
株式会社クレハ
[blogcard url="http://kurelife.jp/top/index.php"]
ロングセラー研究員が向かったのは茨城・小美玉市にある株式会社クレハの樹脂加工事業所です。
クレラップの原料は白い粉、独自開発したプラスチック樹脂。
これを溶かして作るといいますが、溶かした樹脂を風船のように膨らませていました。
技術部の佐山弘典さんによると
ラップの「薄さ」を再現するためには膨らませる必要がある。
一定の量の空気を一定の圧力で送って膨らませることで均等な薄さにします。
その厚みは髪の毛の10分の1。
強度は強い力で引っ張っても伸びにくく、熱にも強く、耐熱温度は最大140度。
その秘密は?
分析1・本業の技術を活かして全く新しいものを開発。
クレハロン
株式会社クレハは1944年創業で、70年以上も前から続く老舗の化学メーカーです。
工業用の塩を分解した時に出る副産物の「塩素」に頭を悩ませていました。
そこで1950年代、塩素を利用して独自開発したのが丈夫で耐水性に優れた樹脂「クレハロン」でした。
陶山浩二執行役員によると
当時は高度経済成長期の走り、食肉文化が広がっていくのではないかと。
1950年代、魚肉ソーセージやハムを包むフィルムとして大ヒットしました。
しかし問題はフィルム自体の臭い。
そのためソーセージなど香りの強い食品にしか使えませんでした。
臭いを消すことはできないか。化学メーカーの威信をかけて研究すること8年、ついに刺激臭を抑える物質を開発しました。
こうした技術の積み重ねで1960年に誕生した日本初の家庭用ラップ「クレラップ」。
しかし当時は全く売れなかったといいます。
リニューアル
転機となったのが冷蔵庫の普及です。
食品を保存することも増え、ラップは一気に家庭に広まりました。
しかし、その後、「サランラップ」など強力なライバルが続々と参入。苦戦を強いられます。
そこで平成元年の1989年、本格的なリニューアルに着手しました。
原点に戻り、消費者の声を分析。使い勝手を徹底的に研究しました。
「最後まできれいに使えること」が消費者の一番の要求だった。
分析2・消費者が納得するまで改良し続ける。
まず見直したのが「カッター」です。
これまでの直線的な刃は端から切っていくために力加減が難しく切りづらかった。おまけにラップが丸まってしまうこともありました。
そこで刃の形をV時に変更。これで中央からワンプッシュでキレイに切れるようになりました。
それだけでなく、引き出したラップがロールに戻らないように箱にすべり止めのニスを塗ったり、ロールが飛び出すのを防ぐガードも取り付けました。
これまでに改良したのは、なんと143ヶ所。
改良前と比べると年間の販売本数は1.5倍に増えました。
ちょっとでもお客様に不都合なく使ってもらえることを考えて常々やっている。
料理レシピ
製品だけではありません。
ホームページには「クレラップ」を使った料理レシピが約300種類も紹介されています。
新たな使い方を日々提案し続けています。
常に変わり続けるクレラップ。
これからも変わることなく日本の食卓を支えていきます。