シリーズ「ケーザイのナゼ?」。
今回は日本の回転寿司の価格が海を超えたアメリカでは日本の3倍になっているワケを探ります。
くら寿司株式会社
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ハリウッドサインでお馴染み、アメリカの西海岸ロサンゼルスで比べるのは…
中村寛人記者。
ロサンゼルスのショッピングモールで人気を集めているのが日本のすし店なんです。
回転寿司チェーン「くら寿司」です。
日本語でお出迎え。色とりどりのすしがレーンを回る日本でもおなじみの回転すし。
2009年にアメリカに進出し、現在30店舗を展開しています。
タブレットで注文するのも日本と同じです。
ただ日本と比べて大きく違うのが価格。こちらの店では1皿2ドル95セント。およそ325円と日本の3倍ほどします。
それでもアメリカの人々は…
手頃な価格だと思う。すべてが手頃です。
この店は危険だ。
価格を考えずに好きな皿を手に取ることができるから。
口を揃えて手頃な価格だと強調します。でもナゼ、日本よりも高いのでしょうか。
その理由を探るために、まずは日本のくら寿司と比べて見る事に。
日本ではレーンを回る寿司は1皿110円。
マグロなど材料費の高いネタから、コーンやサラダなど安いものまで色々ありますが、日本とアメリカの材料費を比べると…
くら寿司の広報宣伝IR部長、岡本浩之さん。
材料費は大体50%弱が原価。アメリカもそんなに変わらない。
日本とアメリカ、ともに人気の高いサーモンで比べてみると、ネタの大きさはほぼ同じ。むしろ価格の安い日本の方がボリューム感があるくらいです。
さらに米自体はカリフォルニア米を使っているアメリカの方が安いといいます。
ではナゼ、アメリカの回転すしは高いのでしょうか。
日本から取り寄せているレーンやカバーが価格にも影響しているのでしょうか?
機械、レーンも日本から送ると若干輸出する分高くなる。
ただ、その影響は微々たるものだといいます。
では、大きな差を生んでいる理由はどこに?
一番大きく違うのは人件費。
価格差を生んでいるのは人件費だという言葉が。
アメリカのくら寿司の人件費は一体いくらなのでしょうか?
カリフォルニア州の最低賃金は時給で14ドルですが、こちらのすし店は時給で15ドル支払っているそうです。
カリフォルニア州の最低賃金は時給でおよそ1,540円と日本のおよそ1.6倍。
さらに店内を見比べてみると、アメリカではお客様が席に着くとスタッフが水やガリ、わさびなどを持ってきてくれます。
無人の案内システムやレジを取り入れ、セルフサービスを徹底する日本と比べると店内で働くスタッフの数は日本より多くなります。
また魚などの下ごしらえをセントラルキッチンを使って効率的に行っている日本と比べて、国土が広く、店舗と店舗の距離が離れているアメリカではスタッフが店内で調理。これも人件費がかかる要因となっています。
さらにアメリカ法人の社長に聞くと…
くら寿司USAの姥一社長。
最低賃金が9ドル(990円)から14ドル(1,590円)に上がっている。
全体的に報酬が50%、5~6年前と比べて底上げされている。
カリフォルニア州の人件費の上昇は驚くほどだといいます。6年間でおよそ1.55倍と日本と比べると上げ幅が大きくなっています。
アメリカのくら寿司ではこの人件費の上昇に合わせる形で1ドル値上げをしましたが、それでも客数は伸びています。
収入も上がっているので価格を上げても客数が減らないのがアメリカの現状。