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[ガイアの夜明け]「知られざる」うまい魚を届ける!~漁業を救う新手法~(2)

2016年11月16日

「知られざる」うまい魚を届ける!~漁業を救う新手法~

株式会社くらコーポレーション

[blogcard url="http://www.kura-corpo.co.jp/"]

福井県の越前海岸沖。二隻の船が漁場に向かっています。

午前3時、12人の漁師が一斉に網を引きます。

仕掛けておいた定置網、収穫は?

実はこの漁船、1年間の水揚げをある企業がまるごと買っています。

それが大手回転寿司チェーンの「無添くら寿司」。

天然魚、一隻丸ごと買い」、そのプロジェクトリーダーが天然魚プロジェクトチームの尾越健二さん(40歳)。

定置網のため、魚の種類はさまざまです。

今日も明日も販売している商品は変わります。何が獲れるか分からないから楽しみにしてくださいね。やるのは大変。

午前5時、港に戻ると魚の仕分けを始めます。

天然モノのハマチに、石鯛、実はこの漁船、赤字続きで廃業寸前でした。

それを2015年から株式会社くらコーポレーションが獲れた魚を全部買い取っているのです。

鷹巣定置網組合の西濱豊代表は、

やっていけるかどうかのぎりぎりだった。経営側としては安心。パートナーとしてやっていくことでモチベーションも変わる。

株式会社くらコーポレーションはチャーター便を用意。

午前8時には福井を出発します。

3時間半で食い倒れの街、大阪に届くのです。

無添くら寿司天六駅前店

大阪市内にある無添くら寿司天六駅前店。

無添くら寿司では全国378店舗の内、西日本を中心に「国産天然魚」寿司を販売しています。

もちろん1皿100円です。

愛媛産「オオニベ」、徳島産「タチウオ」など回転寿司ではあまり見かけないものばかりです。

福井の定置網で獲れた「イシダイ」に「ウマヅラハギ」。

お客様の評判

天然モノの寿司、お客様の評判は?

常連の家族のお客様は

ボラ、食べたことない。めちゃくちゃ美味しい。

毎回、メニューが新しいのはしょっちゅう来る人には楽しみだし、うれしい。

国産天然魚

いまや大手回転寿司チェーンのネタはどこも海外産や養殖物に頼っています。

タコはモーリタニア産、サーモンはノルウェー、甘エビはグリーンランド。

この状況の中、無添くら寿司では国産の天然モノを増やしていこうというのです。

そのために始めた「天然魚、一隻丸ごと買い」。

鷹巣漁港

福井市、鷹巣漁港。

株式会社くらコーポレーションの天然魚プロジェクトの最前線基地です。

6月21日、この日も定置網で獲れた魚の仕分け作業が始まっていました。

天然魚プロジェクトチームのリーダー、尾越健二さん、何やら浮かぬ顔です。

実はこの日獲れた魚、店に送れないものが多いといいます。

サイズや量など様々な問題があります。

例えば小ぶりのアジは商品価値がないといいます。その理由は、

刺身にしても中途半端だし、使い勝手が悪い。

アジだけではありません、大量に獲れていたトビウオも羽があって加工しにくいと積み残されていました。

今日はつらいです。

無添くら寿司が進めている天然魚プロジェクト、獲れた魚を全て商品化することが大きな課題でした。

大阪・貝塚市。

株式会社くらコーポレーションは総工費27億円を掛けて魚の加工場を建設していました。

これができれば手間のかかる魚も活用できるようになるといいます。

隣には魚市場も併設します。

社運を掛けた一大プロジェクトです。

株式会社くらコーポレーションの田中邦彦社長は、

商売で成功しているところは川上から川下、全部一貫して持っている。単に末端で売っているのは限界がある。どうしても円安になると競り負けてしまう。国内の魚を一定量獲ることが日本人として大事なことだと思う。

商品化

福井市、尾越健二さんたちは使い道のなかった魚の商品化に向け試行錯誤を繰り返していました。

責任を持って、美味しく商品化するのが筋。

トビウオの羽。衣をつけて油で揚げてみます。

それをシャリとトビウオのネタの間に挟みます。

トビウオという商品で売る時に、これ以上ない目印が付いている。これ正解。

さっそく試食してみます。

ちょっと食べにくそうです。

違うんですね…。

どうやら不正解。

やわらかいのとパリパリが気持ち悪い。

不漁

7月中旬、海の上でも困ったことが起きていました。

まるで漁師のような男性、無添くら寿司のバイヤー、新井康太さんです。

2016年2月から現地に住み込み、毎日漁師と一緒に網を引いています。

ロープが船の下から来ているから下がり潮や。

何か問題が起きたようです。

潮が速くて網が向こうにガーッといっている。あげられない。無理してあげると網が破けてしまう。

実は10日連続、網をあげていません。

博打やでの、あげてみて魚が入ってりゃいいが、入っていないこともある。

新井康太さん、新たな産地を開拓する必要に迫られていました。

宇久漁港

無添くら寿司が天然魚プロジェクトを進めていくには新たな産地を開拓しなければなりません。

一人の漁師が話しを聞いてくれました。

狙いは定置網。

全量買い取りにチャレンジしてるんですけど。

時代は変わってきているのは承知だが、地元の仲買人もいるし、長年の付き合いで…。

昔からの付き合いをやめてまで取引をしてくれるのは、まだまだ少ないのが現状です。

加工場

10月、待望の加工場「貝塚センター」が大阪に誕生しました。

120人のスタッフで1日最大10トンの天然魚を捌きます。

今まで加工しづらく使い勝手の悪い魚にも対応していこうというのです。

刺身用の冊を取った残りの部分はすり身にして利用します。揚げかまぼこ、人気商品になるでしょうか?

一方、扱いづらいサイズのアジは高温で揚げて特製のタレに絡め、最後にゴマで風味を出しました。

これは正解なのか?

ゴマがいい。正解!

くら天然魚市場

10月18日、加工場の完成から2週間、天然魚だけを扱う新しい魚市場がオープンを迎えました。

株式会社くらコーポレーションが社運を掛けたプロジェクトが本格的に動き出します。

午前11時過ぎ、福井からチャーター便が到着しました。

今朝、鷹巣漁港に揚がったばかりの魚です。

カマスサワラは今日一番の大物です。

回転寿司では使えなかった一品物や数が揃わなかったものも、ここがあれば売ることができます。

田中邦彦社長、天然魚プロジェクトチームの尾越健二さんに何か注文をしています。

カマスサワラの2,000円の値付けに不満があるようです。

1,000円にしとけ。

分かりました。

いきなりのディスカウント。しかし、

ちゃんと利益だけは確保せえよ!

昼12時、オープン。

1時間以上前から待っていたお客様もいます。

飛ぶように天然魚が売れていきます。

あの大物のカマスサワラも売れました。

鮮度が落ちる、尼崎だと。中央市場を通るから何日も経つ。

この日は入店制限をかけるほどの賑わいに。

敷地内には天然魚のいけすも作りました。

池の中の映像も見る事ができます。

田中邦彦社長は映像を見ながら、

この魚の迫力見てみ!すごいやろ!

近所の幼稚園児も大喜びです。

大手回転寿司チェーンが仕掛けた大胆な天然魚プロジェクト。

今後、九州や関東でも展開していく予定です。

10年後にやっても意味がない。今の段階で、どれだけ早く手を打っておけるか。漁業者とつながっておけるか、今じゃないと意味がない。

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