日本人が一番食べている果物、それがバナナです。
皆さんが普段食べているバナナはフィリピンやエクアドルなど海外産がほとんどですが、いま日本各地で国産バナナの栽培が広まっています。そのワケを取材しました。
スイーツ&ジュース 国産バナナ研究所
[blogcard url="http://kokusanbananakenkyuzyo.favy.jp/"]
東京・谷中の商店街にいま話題のバナナジュース店があります。
店内はお客様でいっぱいです。
奇跡のバナナをください。
奇跡のバナナ?
神バナナをください。
神バナナ?
佐藤春奈店長、
こちらは国産バナナ専門店です。
ジュースもすべて国産バナナを使用しています。
その名も国産バナナ研究所。
神バナナは鹿児島県産、奇跡のバナナは千葉県産など日本各地の国産バナナを使ったメニューがずらりと並びます。
濃厚なのにさっぱりしていておいしい。
コクがあります。おいしい。
レギュラーサイズ1杯700円以上という価格にも関わらず普段食べ慣れている輸入バナナとは風味が違うと好評です。
株式会社秋田食産
[blogcard url="https://www.misato-mark.co.jp/"]
実はいま日本各地でバナナを栽培する取り組みが広まり始めています。
その一つを訪ねました。場所はなんと東北、秋田県美郷町。
この日も気温は5度。本当にここでバナナが作れるのか?
バナナを作っている佐藤良一さん。
そこにあったのはバナナではなく大根?一体どういうことなのか?
うちは「いぶりがっこ」を作っているが転作を考えなくてはいけないので。
探して探してバナナにたどり着いた。
佐藤さんは秋田名物「いぶりがっこ」の生産・販売をしてきましたが、この先売上げの大きな伸びは期待できないと考えていました。
そこで新たに話題になる作物を作ろうと行き着いたのが北国のイメージから程遠いバナナでした。
バナナは温室で作っています。
中は春のようです。
雪国で作っているので「雪国バナナ」と命名した。
雪国とバナナは正反対のイメージなのでインパクトがあると思った。
北国生まれの雪国バナナ。
寒さに強い苗を採用し、去年から栽培を始め、10月に初収穫を迎えました。
寒さに強い苗とはいえ、ここは東北。夜は温室内でも15度まで気温が下がります。
本来南国で育つバナナが本当においしく育つのでしょうか?
おいしいですよ。びっくりするくらい。
寒暖の差があると光合成をして炭水化物を作る動きが活発になる。
それで甘くなっている。
夜の寒さが逆に糖度を高めるのに役立っているといいます。
実際に食べてみました。
無農薬なので皮ごと食べてください。
無農薬なので皮ごと食べられるといいます。
橋本泰樹記者、
皮は違和感ない。甘みも普段食べているバナナより強い。
実はこの無農薬での栽培も寒さゆえの強み。
近年、フィリピンや南米コロンビアなどの南国のバナナ農園では新パナマ病という病気が急速に拡大し、大きな被害が発生。薬の散布が不可欠となっています。
しかし、こうした病原菌は気温が低いと繁殖できないため日本では農薬が必要ないといいます。
国産バナナならではの強みです。
現在、雪国バナナは町内で1本800円前後で発売していますが、すぐに売り切れてしまうといいます。
菓子舗 亀太郎
[blogcard url="https://kametaro.jp/"]
佐藤さんは雪国バナナの次の展開に向けて動いていました。
できました?
できました。オーケーです。
訪ねたのは地元で人気の洋菓子店。
取り組むのは雪国バナナを使ったスイーツの開発です。
試作品は雪国バナナのパウンドケーキ。
無農薬という特徴を生かし、皮ごと刻んで使います。
菓子舗 亀太郎の湯川学さん、
皮自体が甘いわけではないが一緒に調理すると甘さが増す。
雪国バナナを皮ごと生地に練り込み、オーブンで焼けば雪国バナナのパウンドケーキの完成です。
どんな味なのか?
バナナの味が強い。
これを買いに町外からお客様が来るくらいのインパクトがある。
NECキャピタルソリューション株式会社
[blogcard url="https://www.necap.co.jp/"]
現在、国産バナナの栽培は南は沖縄県から北は北海道まで全国20以上の市町村に広がっています。
国産バナナに着目し始めた企業も。
NECグループの金融リース会社です。
会議室に入ると目隠しをして食べているのは…
バナナです。
味覚に集中して各地のバナナを食べ比べ、国産バナナの販売戦略を練っています。
しかし、なぜ異業種から国産バナナのビジネスに?
NECキャピタルソリューションの新事業推進部長、澄川祐己さん、
バナナは輸入が99.9%。
国産バナナはマーケットがほとんどない。
国産バナナのマーケットをやってみたい。
自らバナナ栽培の実証実験も始めています。
10月、山梨県の大型ハウスに苗を植えたばかりです。
国産バナナの効率的な生産ノウハウをいち早く確立するのが目的です。
バナナの生産・販売のモデルを作り、地域の農家や新規就農者に提供する。
初期投資の負担を減らすために、うちのファイナンスを提供していきたい。
国産バナナ栽培の新規参入を後押しし、金融会社として立ち上げ資金の借り上げニーズなどを掘りお越したい考えです。
広がり始めた国産バナナ。
その苗はいま各地で大きく育とうとしています。