地域で奮闘する企業を取り上げる「輝く!ニッポンのキラ星」。
今回は宝石の関連商品で有名な山梨県からです。次々と事業を展開し、新たな需要を取り込む企業を取材しました。

ジュエリー"部品"国内トップ
山梨県は宝飾品の出荷額で全国シェア2割を占める国内有数の産地です。

その中でも独自の輝きを放つ企業「光・彩」があります。

1955年創業の光・彩、従業員116人、2022年1月期の売り上げは27億円を見込みます。


主な事業は大手ジュエリーブランドのアクセサリーのパーツ加工。

宝石のパーツでは国内およそ50%のシェア。

イヤリングのパーツでは国内70%のシェアを誇り、世界14ヵ国に展開しています。

こちらはスクリップというイヤリングのパーツ。クリップを取り入れることでワンタッチで取り外しができます。

従来のネジ式のパーツに比べ付け外しの度に調整をする手間がありません。

また、こちらのピアスのパーツには医療用のシリコンを使用。

金属アレルギーのリスクを減らすことができると話題となり、4年間でおよそ200万個を売り上げる大ヒット商品です。


光・彩の深沢栄治社長。
山梨県には約300社のジュエリーメーカーがある。

約1万2,000種類のジュエリーパーツを製造販売している。

いろいろな金具をつくる点では当社が唯一の総合パーツメーカー。

1970年代、光・彩は山梨県がジュエリー産業の集積地として大きく発展するとパーツ作りに本格的に取り組み始めました。

90年代には大手ブランドのOEM事業にいち早くシフトし、その後はジャスダック上場を果たしました。


カギは"鍛造ジュエリー"
アクセサリーのパーツ加工のほかにもうひとつ事業の柱となっているのが鍛造ジュエリー。

ジュエリーは加熱して溶かした金属を型に流し込んでつくる鋳造が一般的ですが、光・彩は金属に圧力を加えて強度を高める鍛造でジュエリーを作っています。


プラチナの板。

プレス機を使ってドーナツ状のリングを作る。

金属をプレスすることで余計なものを削ぎ落とし、密度が高くより強度が高いリングを作り出すことが可能になるのです。
比べてみると鋳造リングが曲がってしまう圧力をかけても鍛造リングはびくともしません。

手間をかけ作られた鍛造の結婚指輪は価格が3割ほど高くなるといわれています。

鍛造ジュエリーを作るためには高度な金属加工技術に加え、最新機器を揃えることが必要です。
光・彩は2015年におよそ2億円を投資し、鍛造ジュエリー作りの環境を整えました。

加工の度合いを高めると割れてしまう。加工しやすくすると強度が上がらない。

限界を調整するためさまざまな金型を作り、通常よりも倍の強度で加工ができるベースリングを作ることができた。

丈夫な鍛造リングの中でもさらに2倍の強度を持つ光・彩のリング。

特に需要が高いのが結婚指輪です。日常的に身につけるためより耐久性が求められます。

光・彩のリングは歪みや石が取れてしまうというクレームがほとんどないことから国内の有名ブランド10数社に採用されています。

鍛造ジュエリーの市場に参入してわずか6年で売上は年間およそ10億円と業績を伸ばしています。

去年末にはジュエリーへの取り組みが評価され、イギリスの国際的な非営利団体「RJC」から認証を取得しました。

カルティエやティファニーなどのグローバル企業が認証される中、ジュエリー生産地"山梨"で初めて選ばれました。

さらに5年前からは三越伊勢丹と共同開発で鍛造ジュエリーの自社ブランドも展開。

これは今まで見たことないね。

面と線は今までのテーマだったのでコンフォは曲線と融合して出せるといい。

毎週新製品の開発会議を行いパーツメーカーから自社ブランドへ、新たな市場の開拓を進めています。

鍛造ジュエリーは無限の可能性があると感じている。

国内に400億円の結婚リング市場があるのでそこにチャレンジしていきたい。
