こちらのカスタードプリン、重さは1kgあります。値段は278円。全国で969店を展開する業務スーパーの人気商品のひとつです。業務スーパーを展開する神戸物産も原料高や運送費の高騰を受け商品の値上げに踏み切っていますが、成長し続けていて営業利益は5年で2倍近くになっています。
値上げに負けじと好調を維持する業務スーパーの隠れた戦略を追いました。
好調業務スーパー!
値上げでも成長のワケ
大阪市にある業務スーパー「業務スーパー 天下茶屋駅前店」。
午前中にもかかわらず店内には多くのお客さんの姿が…
お客さん
安い、安い、安い。
お客さん
品ぞろえがいいのと値段が安い。
お客さんは声を揃えてその価格の安さが魅力だといいます。
しかし原料高などの影響は業務スーパーにも…
業務スーパーを展開する神戸物産
花房篤史さん
去年の9月ごろ値上げせざるを得ない状況になった。
200アイテムをだいたい6~7%くらい値上げ。今のところ売り上げが落ちた状況にはなっていない。
売れ筋の冷凍野菜ではほうれん草が170円から203円へ、揚げなすは181円から192円に値上げしました。
姜葱醤(ジャンツォンジャン)と呼ばれるおろししょうがとネギ油を合わせた中国の万能調味料もコロナ前と比べ30円ほど値上げしています。ただ値上げの後も売れ行きは好調。この2ヵ月間で50万個を販売しています。
こうした業務スーパーでしか買えないオリジナル商品で差別化を図り、売り上げを拡大し続けています。
321円弁当でさらに攻勢
一方、価格を維持するための取り組みも。
こちら一見、牛乳かと思いきやよく見ると「水ようかん」の文字が…
パックにはパンパンに羊羹が入っています。その量はなんと1kg。牛乳メーカーを買収した際に何か新たなことができないかと考案された商品です。
これらの商品の原材料も価格が高騰。
そこで取った対策が…
業務スーパーを展開する神戸物産
花房篤史さん
固めるための原料がいま高騰してきているのでより安い原料に変えていく工夫に取り組んでいる。
ゼラチンなどの材料の割合を見直すことで品質を落とさず価格を維持するとしています。
また収益アップを狙い、いま最も力を注いでいるのが馳走菜という業態です。
安達洋之
お弁当の価格は税込み321円。
フライバイキングは1つ50円ほどとなっています。
なぜこんなにも低価格なのでしょうか。
業務スーパーを展開する神戸物産
花房篤史さん
フライなら衣をつけたものを仕入れて店内では揚げるだけの調理をする。
調理場をよく見ると包丁を持っている人はいません。揚げる、盛り付けるといっただけの単純作業に徹することで作業効率もアップ。人件費の抑制にもつながっているといいます。
また材料は店頭にあるものと同じものを使用。大量に仕入れることで食材の費用を抑えることができるとしています。
今後、この馳走菜を今の70店舗から100店舗に拡大させていく方針です。
業務スーパーを展開する神戸物産
花房篤史さん
消費者のニーズが年々大きく変化している。
今まで業務スーパーになかった商品を展開することでお客様の新しいニーズを拾い魅力的な店舗にしていく。