新型コロナウイルスのワクチン。国内の製薬会社などは国産ワクチンの開発に向け、現在も臨床試験などを続けています。ただ今年用に日本がすでに確保しているワクチンは5億1,800回分に上ります。そのうち4月19日までに使用されたのは15%程度。ワクチン余りともいえる状況です。こうした状況の中でもなぜ国産ワクチンの開発を続けるのか、その狙いを取材しました。
ワクチン"余剰"でも…国産ワクチン開発するワケ
国産の新型コロナワクチンの開発を進める明治グループ傘下のKMバイオロジクス。4月20日に新たな方針を打ち出しました。
KMバイオロジクス
永里敏秋社長

小児のⅡ・Ⅲ試験も4月12日に治験届を出していて、6ヵ月以上5歳未満の子どもは国内に接種するものがないので一日でも早く小児に打てるワクチンとして市場に出したい。
現在進めている成人向けワクチンの臨床試験の対象に今月下旬から生後6ヵ月から18歳未満の子どもを加えます。
国内で5歳未満への臨床試験が行われるのは初めてです。その狙いについて永里社長に聞きました。
KMバイオロジクス
永里敏秋社長

若い人の接種が進まない理由は副反応が既存のワクチンでは強いから。
副反応が軽く済むのなら打とうかなと思う人は当然増える。
そこを狙っていきたい。ニーズは絶対にある。
3回目の接種率は年齢が下がるほどに減少し、10代以下は10%に達していない状況です。
接種後の副反応が抑えられればここにニーズがあるとみているのです。
自信をのぞかせる背景には開発するワクチンの特徴があります。
KMバイオロジクスが手掛けるのはウイルスをもとに作る不活化ワクチン。
動物由来の細胞にコロナウイルスを感染させ培養。
大量に増やしたウイルスを薬剤で無毒化し、ワクチンにします。
人に投与すると抗体が作られ、感染を防ぐのです。
実はインフルエンザワクチンや生まれて間もない赤ちゃんが打つ4種混合ワクチンなども不活化ワクチン。
新型コロナワクチンとして初めて承認されたファイザーやモデルナのメッセンジャーRNAワクチンより実績がある安心感から需要は高いとみているのです。
番組スタッフ
既存のワクチンの確保状況などから小児向けに視点をずらしたのか?

KMバイオロジクス
永里敏秋社長

結果的にそうなったというのが正しい。
mRNAワクチンがふんだんにあるのでわれわれのワクチンは接種の進まない小児も含めてという流れ。
海外製のワクチンが余る中でも開発を継続する意義については…
KMバイオロジクス
永里敏秋社長

国産であることの必要性はある。
戦争になると国家安全保障上の問題であの国には輸出したくないとか。
自分の国は自分で守る、諦めずに継続指定やっていく。