ガイアの夜明け ビジネス関連

[ガイアの夜明け] ニッポン式「健康」を世界へ!(2)

2017年6月20日

ニッポン式「健康」を世界へ!

株式会社Kitahara Medical Strategies International (KMSI)

[blogcard url="http://kitaharamsi.com/"]

カンボジア

カンボジアの首都プノンペン。経済成長で人口が急増しています。

市民の最大の足はオートバイ。ヘルメット着用は義務付けられていますが、被っていない人が目につきます。

その上、交差点にほとんど信号がないためオートバイと車が交差して危険な状態です。

夜、救急車のあとを追っていくと事故現場でした。倒れている男性はオートバイに乗っていて車に追突されたようです。

カンボジアでは人口あたりの死亡事故が日本の4倍以上、そのほとんどがオートバイによるものです。

国立コサマック病院

カンボジア国内最大級の国立コサマック病院。病室を覗いてみると満足な医療施設とはいえません。

その病院に交通事故の患者だけでも1日、20人以上運ばれてきます。

救急隊員は、

オートバイと車の衝突事故です。ケガ人を残して車は逃げました。

カンボジアには日本のような健康保険制度がありません。医療費は全額自己負担、しかも払えない人が多く前払いでないと治療が受けれません、

ある女性は娘がオートバイで事故を起こしたと聞き、駆けつけて来ました。

お金がないので、これ以上何もできません。祈り続けるしかないです。

サンライズジャパンホスピタル

そんなカンボジアで2016年9月、ある病院が完成して記念式典が開かれました。

サンライズジャパンホスピタル。あの北原国際病院が中心となり日本の建設会社、日揮などが共同で設立しました。

病院内を見てみると多くは日本製。最新式の手術用ベッドは日本メーカーのものです。心臓が停止した時に使う医療機器もメイドインジャパンです。

日本に負けない設備を持った病院の誕生。

マスコミも多く駆けつけ、注目の高さが伺えます。

そこへ現れたのは北原国際病院の北原茂実理事長。

高度な医療を手頃な価格で提供し、貢献したいと思います。

病院のオープンに合わせ日本式のある試みが行われました。日本ではお馴染みの身体測定、血圧の測定なども行われました。

痩せすぎだから気をつけてくださいね。

こうした簡単な健康診断すら、ほとんどの人が初めてだったのです。

その様子を見つめるのは院長に就任した林祥史さん(36歳)。

早く治療すると病気になる前に防げる。みんなの意識改革というか、そういうところから始めないといけない。

さらにもうひとつ、日本式を持ち込もうとしていました。

会費120ドルを払えば診療費が10%割り引きになります。

勧めているのは病院専用の会員カード。患者さんは会員になり年間費を払います。病院はそれを貯めておきます。その資金を元に会員の治療費を安くするシステム。

いわば病院独自の保険制度を作ろうというのです。

林祥史さん

オープンから3ヶ月後。サンライズジャパンホスピタルを訪ねると、待合室には多くの患者さんが診察を待っていました。

院長の林さんも自ら患者さんを診ています。

まだ脳梗塞は起こしていませんが、左側の血管がかなり狭くなっています。

通訳をするのは八王子で研修を受けたラ・ダビィさん。

解熱剤が投与されていないから、まずはそれをすべきだ。

カンボジアに赴任してきた林さん。そこには熱い思いがありました。

林さんは東京大学医学部を卒業して脳外科医として歩み始めます。その傍ら途上国への医療活動を続けてきたのです。

カンボジアは全く医療者がいないので、まだ若手の僕でもやれることは、すごくたくさんあるし、ありがたがってくれるので、そのやりがいがある。一番は。

救命センター

サンライズジャパンホスピタルは日本人24人、カンボジア人111人の体制です。

病院内の救命センター、

昨日、容態が悪化したのね。

急行することになりました。救急車は病院から出動します。

しかし、カンボジアでは救急車に道を譲るという習慣がありません。

20分かけて、なんとか目的地近くに到着。急いで患者さんの家に向かいます。

そこでもとんでもないことが行われていました。なんと僧侶が集まってお経をあげていました。親族たちも祈っています。

その中心には横たわる男性の姿があります。間に合わなかったのでしょうか?

親族は、

病院に行く前にお祈りをしています。この辺りの習慣なんです。

お祈りで病気を治すという風習だそうです。

救急スタッフは、

患者の症状が心配です。手遅れになる前に早く搬送したいのですが。

運び出せたのは30分後、お経が終わってからでした。病院到着は通報から1時間近く経っていました。

名前は言えますか?

反応がありません。恐れていたことがおこります。すぐに脳の状態を確認します。

左側に比べ、右側に多くの血がたまっています。その血が脳を圧迫しています。

出血で脳が圧迫され危険な状態であることを親族に説明します。

意識が悪くなっているみたいなので、今日手術した方がいいと思う。ダビィ、これから時間ある?

はい、夜勤なので大丈夫です。

林先生はダビィさんを手術の助手に指名しました。緊急オペが始まります。

林先生が患者さんの頭部に穴を開け内出血した血を抜いていきます。ダビィさんに教えながらの手術です。

手元を揺らさず、正確にコントロールして。この部分を止血して。

ピンセット型の電気メスで止血するように指示をします。

2時間ほどで終了。危険な状態は脱しました。

今日は患者さんのために少しは手助けができたと思います。林先生からたくさんのことを学んで良い医師として独り立ちしたいです。

今回の手術費用は1,300ドル。年間費を払って会員になれば他の私立病院に比べて割安だといいます。

病院が存続しなければいけないので、「お金をもらって診る」という部分は、しっかりと患者を集めないといけないが、その上で貧しい国なので、そこでできることは何か、貧しい人も助けれるように取り組んでいかないといけない。

林さんの家族

院長の住まいは病院のすぐ近く。

林さん、2人の子供と妻の瑠加さんを日本から呼び寄せていました。

日本からカンボジアに来て、最初は大丈夫かなと思ったけど、意外とすぐに順応して、子供は早い。

日本に比べて衛生面とか少し心配なところはあるので。

瑠加さんも形成外科の医師。時間を見つけては治療にあたっています。

カンダールストゥーン郡病院

忙しい合間を縫ってこの日、林さんはダビィさんとある場所へ向かいます。

見えてきたのはプノンペンから車で2時間ほどの病院、カンダールストゥーン郡病院。

この日、林さんはダビィさんと地方病院の現状を視察に来たのです。

すると、

こっちへ来てください。

やってきたのは頭に大きなキズを負った男性。林先生、急遽治療をすることになりました。

頭のケガはどうされたんですか?

5日前、車に追突されました。とにかく頭が痛い。

事故にあってすぐ別の病院で傷口を縫ってもらったそうです。傷口を確認すると化膿しているようです。膿を出すため縫合された糸を切っていきます。

大量の膿を素早く押し出すとペットボトルの飲料水で傷口を洗浄していきます。

1週間は毎日ガーゼを取って、水で洗ってきれいにした方がいい。

林先生の処置を現地の先生たちがじっと見ています。

ケガの処置がきちんとされていないので、我々にできるのは正しい医療を少しずつ広げていくしかない。

林さんは今後、サンライズジャパンホスピタルで研修を積んだカンボジア人医師をこうした病院に派遣する計画です。

新人医師

5月中旬、1人の患者さんがやってきました。

2016年12月、お祈りで救急搬送が遅れたあの男性です。手術後、月に1度、検査に通っていました。

診察室で待っていたのはダビィさん。4月から外来の診察を任されるようになっていました。

お変わりないですか?まだ完全に治っていないので薬は忘れず飲み続けてください。

大丈夫、昔覚えたフランス語だって話せるよ。この病院がなかったら今頃死んでいたよ。本当にありがとう。

サンライズジャパンホスピタルでは現在、ダビィさんを含め7人の新人医師たちが活躍しています。

日本と同じような質でできる人を少数精鋭で育てないといけない。そうした人たちが将来、ほかの病院で働いたり、開業したりして、どんどん育てていくというかたちで広がっていけばいい。

日本式の病院が着実に根付こうとしています。

[blogcard url="https://lovely-lovely.net/business/kitaharahosp"]

[blogcard url="https://lovely-lovely.net/business/kitaharamsi"]

[blogcard url="https://lovely-lovely.net/business/ajinomoto-4"]

-ガイアの夜明け, ビジネス関連
-