新型コロナの感染急拡大を受け、政府は東京、神奈川、千葉、埼玉など1都10県に対してまん延防止等重点措置の適用を検討していることが分かりました。
こうした中、テレビ東京は1月17日に岸田総理大臣に単独インタビューをしてきました。
岸田総理の前にはオミクロン株の猛威や逆風が吹く日本経済といった大きな壁が立ちはだかっています。この壁をいかにして乗り越えていくのでしょうか。
岸田総理 単独インタビュー!「コロナ」「経済」「北朝鮮」どう対応?
1月17日に開会した通常国会。
岸田総理。
成長と分配の好循環による「新しい資本主義」でこの世界の動きを主導していく。
午後6時半、総理官邸。
就任後、初の施政方針演説で自身の政策を高らかにアピールした岸田総理。単独インタビューで何を語るのか…
北朝鮮のミサイル発射
まずは緊迫する北朝鮮問題。極超音速ミサイルを含む弾道ミサイルの開発を加速させている北朝鮮。
1月17日も2発を発射するなど今年に入ってすでに4度の実験を行い、日本への脅威が増しています。
「今年に入り4回目でかなりのペース。北朝鮮の狙いをどう分析しているのか?」
北朝鮮の意図を把握することは簡単ではない。商法の把握、共有、そして発信。
抗議し、避難することはもちろんだが北朝鮮のミサイル技術は日々変化進化している。
より高度なものになっている状況が見てとれるので、わが国のミサイル防衛体制は十分なのかどうか。
国民の命や暮らしを守るためにはあらゆる選択肢を排除することなく現実に何をしなければならないのか真剣にかんがえていかなければならない。
「まん延防止」11都県を追加か!自治体要請「しっかり受け止める」
オミクロン株の驚異
施政方針演説で最も時間を割いたのが新型コロナの変異ウイルス「オミクロン株」の感染拡大をめぐる対応です。
1日あたりの感染者数は今年に入り急増しています。
最も多い東京都では1月17日に新たに3,719人の感染が判明。先週から4倍に増加し、月曜としては過去最多です。
病床使用率も21.1%まで上昇し、都が国にまん延防止等重点措置の要請を検討する基準とした20%を上回りました。
東京都の小池知事。
国に対し特措法に基づくまん延防止等重点措置を1都3県に速やかに適用するよう共同で要望することを提案したい。
1都3県はまん延防止措置の適用を政府に要請しました。
全国でも同様の動きは広まり、政府として感染拡大に歯止めをかけられるかが焦点です。
「日本でも新型コロナの感染者が増えてきている状況。」
「政府もそれ(まん延防止措置の申請)を受ける考えか?」
医療ひっ迫の心配があるなら行動制限、まん延防止措置等を考えていかなければならない。
いまの状況のなかで行動制限についても取りざたされているということ。
できるだけこのまん延防止措置の要請はしっかり受け止めた上で国として判断していきたい。
各自治体からの要請についてしっかり受け止めるとした岸田総理。政府は19日にも1都3県を含めた11都県に措置の適用を決定する方向で調整に入りました。
「行動制限は経済を止めてしまう。その後大きな影響を及ぼす。」
「どのような場合に行動制限などに舵を切るのか?」
行動制限に踏み込むことになると経済の影響は当然心配になるが、医療ひっ迫まで至ってしまうと社会が立ち直るまでにまた時間がかかってしまう。
医療の状況をしっかり踏まえた上で適切なタイミングで行動制限についても考えることは必要なのではないか。
ワクチン3回目接種率1.1%!「遅い」の指摘に岸田総理は…
オミクロン株対策の要であるワクチンの追加接種。
先月、前の担当大臣からはこんな声も…
河野太郎議員。
今、市中にはコロナワクチンが1000万回弱あるのだから、用意が整った自治体からガンガン3回目接種をするべきなのに、厚労省は何をやってるんだ。
それからおよそ一月経ってもワクチンの3回目接種率は1.1%止まり。
先週、追加購入したモデルナワクチン1,800万回分などを使った前倒し策を発表しました。
堀内ワクチン担当大臣。
医療従事者や高齢者に加えて一般の方も前倒しを行い、ペースアップを図る。
河野氏の後任としてワクチン担当となった堀内大臣。詳細を詰められると曖昧な答えも…
「自治体独自の大規模会場向けの扱いは?」
あの、モデルナになる。大規模会場は…
モデルナを大規模接種会場で使ってもらうことになると思うが、もちろん都道府県にも最大配っているので、それを十分活用しながらしっかりやっていただければと思う。
「3回目接種済の国民は1.1%。ワクチンの接種というのは急げなかったのか?」
「ワクチン担当大臣がいながら何をやっていたのか?」
3回目のワクチン接種については申請の関係でいうと6ヵ月以上経たないと接種ができないことになっている。
当初は8ヵ月から検討を始めた。その期間に該当する方は限定されていた。
遅いという指摘については謙虚に受け止めたい。
わくちんせ最大限スピードアップをはかっていきたい。
ワクチン接種も大変重要だが、3回目の接種で全ての感染を抑えるということは不可能。
ワクチン・検査・経口薬、そして病床の確保、さらには自宅宿泊療養の方々が心配なく医療にアクセスできるような地域におけるしっかりした体制を作る。
逆風吹く日本経済!物価上昇「賃金引き上げ急ぐ」
逆風吹く日本経済
スピード感を持って山積する課題に一つ一つ決断を下し、対応してきた。
先週、総理就任100日を迎えて成果をアピールした岸田総理。
ただ株価を見てみると新政権が発足するとその後の期待感から値を上げる事が多いのですが、岸田政権誕生以降、株価に大きな上昇は見られません。
さらに…
ガソリンの値段が上がって参った。
世界的な資源高を背景にガソリン価格は上昇し、依然高止まりが続いています。
ほかにも電気やガス料金、一部少量品などの価格が軒並み上がり、国民の生活は日に日に厳しさを増しています。
「賃金が上がるまでの間、国民生活をどう守るか?」
物価が上がるからこそ賃金の引き上げを急がなければならない。
さまざまなエネルギー価格が上がる、これをサプライチェーンの中で下請けにしわ寄せしてしまうという形によりデフレの負のスパイラルをずっと繰り返すことになっていた。
原材料やエネルギー、物価が上がっている時だからこそ、まずは価格転嫁をしっかり行えるような体制を作っていかなければいけない。
エネルギーの価格上昇に向けては激変緩和措置をしっかり行いながら、結果として賃金引き上げができる企業や社会を作っていかなければいけない。
軟調な株価 安倍元総理が指摘!社会主義的!?どう答える?
「岸田総理就任以来の株価、そんなに順調に株価が伸びている状況ではないと思う。この状況はどう捉えている?」
株価にはさまざまな要素が絡んでくるし、高いとか低いとか具体的に申し上げるのは控えなければならないと思う。
成長と分配の好循環、新しい資本主義、こういったことを申し上げている。
こうした考え方をより多くの方々に理解いただいて、具体的な方策を一つ一つ積み上げることにより経済に対する評価も変わってくるのではないか。
安倍元総理。
根本的な方向をアベノミクスから変えるべきではない。
市場もそれを期待している。ただ味付けを変えていくんだろうと思う。
「新自由主義はとらない」と岸田さんは言っているが、成長から目を背けるととられてはいけない。
改革も行なわなければならない。
社会主義的な味付けと受け取られると市場も大変マイナスに反応する。
「新しい資本主義は社会主義的な味付けなのか?」
全く当たらないと思います。
あくまで市場のシステムを基盤としながら全部市場や競争に任せるのではなく、市場システムの上でさまざまな成長・分配、国も役割を果たしていくことが必要になってきている。
われわれも成長が何よりも大事ということは申し上げている。
成長がないと分配する原資がなくなってしまう。必ず増税しなければいけないという結論になる。
成長が大事だということについてはアベノミクスと全くそごはない。
気候変動、経済安全保障、デジタル、世界がいま課題としている、弱点となっている部分を成長のエンジンに切り替える努力をしていく。成長を考えていくべきではないか。
アベノミクスのいいところはこれからも大事にしつつ、新自由主義的な経済政策の課題を克服する知恵も絞りながら好循環を実現していきたい。
「スタートアップ創出元年」宣言!どの産業をどう支援?
日本の成長産業
本年を「スタートアップ創出元年」とし、5ヵ年計画を設定して大規模なスタートアップの創出に取り組み、戦後の創業期に次ぐ日本の「第2創業期」を実現します。
「『スタートアップ創出元年』は重要なメッセージ。どう後押しするか?」
資金の確保を後押しする仕組み、ルールや税制の取り組みを考えていきたいがスタートアップは今の社会におけるさまざまな課題にしっかりと注目して、そこで大きな発展、ビジネスを考えていこうといった姿勢を持っている。
今の資本主義における課題に取り組んで行こうとする新しい資本主義の考え方にぴったりな存在だと思う。
「分野を絞った形のイメージ・メッセージがあると伝わりやすいと思うが?」
デジタルについても単にデジタル化ではなくデジタル田園都市国家構想。
デジタルによって解決できる課題は地方にこそあるということで、地方において遠隔医療、自動運転やスマート農林水産業の取り組みを進めてもらいたい。
漠とした分野だけではなく、それぞれの分野において何をするのか。
より具体的な形をしっかり示していきたいと思う。
かつて日本を売り込むため安倍元総理はアメリカでこう発言しました。
バイ マイ アベノミクス。
「日本を売り込むために考えたことは?」
売り込む言葉までは考えていないが、日本の取り組みはアメリカ、ヨーロッパの先進国にとって大切な取り組みであり、思いを共有できるものがいっぱいある。
そういう意思疎通、特に首脳会談等を通じて多くの国のトップと経済政策について議論を戦わし、国境を超えて経済について協働していく。
インタビューの最後、岸田総理は…
北朝鮮の話もあったが、外交安全保障、安全保障の話が表に出がちだが経済こそ重要。
アメリカといろいろな形で協力できると思うし、経済分野においても国際協調が必要だと思うので、そういう議論をリードすることが日本の新しい資本主義を売り込む場合に大事なのではないか。