ビジネス関連 ワールドビジネスサテライト

[WBS]規制改革推進会議 中間答申!医療・起業…規制緩和進むか

ワールドビジネスサテライト(WBS)

政府の規制改革推進会議は12月22日に医療や起業支援といった分野の規制の緩和策を盛り込んだ中間とりまとめを岸田総理大臣に提出しました。

項目が30を超える今回のとりまとめは経済成長のきっかけとなるんでしょうか。

医療・起業…規制改革進展は
なぜ?議長「進捗遅い」

12月22日午前、総理官邸、集まってきたのは大学教授や経営者、民間の有識者が国の規制をどう改革するか話し合う規制改革推進会議が開かれ、総理に中間のとりまとめを答申しました。

岸田総理

中間答申に基づきAIによる画像診断装置など、プログラム医療機器の社会実装の促進に向け規制の見直しを進める。

答申ではデジタル技術を活用し、医療を支援するプログラム医療機器の促進や煩雑だった保育所に入る際の手続きの簡素化、そして外国人材がより起業しやすくなるようする制度見直しなど30を超える項目が並びました。

その後の会見で…

規制改推進進会議
大槻奈那議長

日本経済の活性化は待ったなしの状況。

この会議をとりまとめるのが大槻奈那さん。ヨーロッパ最大級の資産運用会社「ピクテ」の日本法人研究員です。

記者

民間の立場から国の規制の現状をどう思う?

規制改推進進会議
大槻奈那議長

現場で民間としてやっている者としては、あまりにもギャップがあり進捗は正直言って遅い。

一体問題はどこにあるのか?

規制改革推進会議トップに聞く

規制改革とりまとめ 点数は?

佐々木明子キャスター

大槻さんは国内外の金融経済に詳しいアナリストとしても知られていますが、今回の中間とりまとめを振り返ります。

産業の成長を促すため規制の緩和策を政府に提言する規制改革推進会議。12月22日に見直しの指針として示された主な内容がこちらです。

まず新型コロナとインフルエンザを同時に検査するキットを処方箋がなくてもドラッグストアなどで買うことができるようにすること。

そして岸田総理の発言にもありました医療用のAI(人工知能)について開発や市場への投入を早められるようにすること。

そして外国人の起業家は現在、銀行の居住者口座を開くのに6ヵ月以上日本に住む必要がありますが、この期間を短縮することなど、このほか30項目を超えています。

佐々木明子キャスター

今回の中間とりまとめですが、ご自身で点数をつけるとしたら何点?

規制改推進進会議
大槻奈那議長

65点。
規制改革の評価はどれだけ多くの方にどれだけの便益を提供できるかという2つの掛け算だと思う。
今回は多くの方々にメリットがありうる項目も入っているが、一方で進捗が遅いものもある。

佐々木明子キャスター

特に遅いものはどんなところが?

規制改推進進会議
大槻奈那議長

例えばエリアで言うと労働の分野や教育の分など。

規制改革の壁は"ゼロリスク"

佐々木明子キャスター

日本は海外からも動きが遅い、慎重すぎると指摘されるがどういうふうに捉えている?

規制改推進進会議
大槻奈那議長

ゼロリスク思考というのが言われている。
例えば少しでも規制を動かした場合、万が一何かあったらどうするのかということがよく言われる。
現状の仕組みでも何らかのリスクはあるわけで、技術があるいまはリスクを低減できる場合もあると思う。

佐々木明子キャスター

リスクと規制緩和のバランスがいかに難しいかということですね。
今回、提言にも入った医療用AIをめぐる課題をまとめました。

AIがレントゲンをチェック?
医師をAIがサポート

東京・千代田区にある健診施設「こころとからだの元氣プラザ」。

肺がんなど悪性腫瘍が専門の伊藤秀幸医師。健康診断が行われる今の時期はレントゲンのチェックに追われる日々だといいます。

こころとからだの元氣プラザ
呼吸器内科
伊藤秀幸医師

一日350枚前後だと思う。
短時間に大量のレントゲンを読影するので集中力が切れたりとか、あってはいけないがあり得ることだと思う。

そこで使っているのがAI(人工知能)を使った画像診断です。

こころとからだの元氣プラザ
呼吸器内科
伊藤秀幸医師

AIがこの影を指摘している。
非常に淡い影なので見落としがちな影になる。

ちょっと分かりづらいですが、CTで見てみると…

こころとからだの元氣プラザ
呼吸器内科
伊藤秀幸医師

肺がんも疑わしい影。

このAIを開発しているのがエルピクセル。

エルピクセル
島原佑基社長

使えば使うほど基本的に良くなっていく。弱点を学んで良くなっていく。

調査では胸部レントゲン写真について医師だけが調べた場合、検出率が45%だったのに対し、AIを併用すると57%に高まったといいます。

しかし…

エルピクセル
島原佑基社長

企画から3年くらい承認まで期間を要した。

医療に使うにはいわゆる薬事承認が必要です。日本では薬など人間の体内に入れるものと同じ扱いで審査に時間がかかります。

一方、ドイツでは1年程度で承認が出るケースも。

リスクを抑えることによる遅れはAIの性能の差にもつながっていくといいます。

エルピクセル
島原佑基社長

使われながらバージョンアップしていくことでサイクルが非常に早い。
入り口(承認)がこけると産業が発展しない。
海外の方が良くなって「日本は輸入するだけ」となりかねない。

規制改革推進会議トップに聞く

"AI"承認「7年を1年に」

佐々木明子キャスター

課題があるようですが、このプログラム医療機器、つまり医師を支援するAIをめぐる規制をどう緩和するか見ていきます。

まず治験から薬事承認を経て、保険として適用されるまでに5~7年かかるといわれています。これを治験を簡素化するなどして先進国のドイツ並みの1~2年程度に短縮するように求めています。

規制改推進進会議
大槻奈那議長

患者さんも最新機器のメリットを早く受けられるようになる。
企業側も収益化を早めることができる。
これまでよりも早く保険の適用を受けられるので、それを受けてAIがデータを蓄積することで精度が上がれば、その評価が高まっていく。
そういう形を作っていきたい。

佐々木明子キャスター

事業をする企業にとって事業化するハードルを低くして、性能が上がればそれに見合った収入を得られるようにする緩和ということですね。

規制改推進進会議
大槻奈那議長

プログラム医療の分野だと必要とされるセンサー技術、テクノロジーは日本は最先端。
でも実装ができていない。
その背景の一つが承認や保険適用までの時間の問題。
一般に日本のベンチャー投資マネーは収益化が近くならないとお金が集まりづらい。数年かかるとマネタイズがしずらくなってしまうことが問題。

労働規制 改革軟膏…どう進める?

佐々木明子キャスター

外国人が日本で起業する場合、6ヵ月未満でも居住者向けの銀行口座を持てるようにすること。こういった内容も盛り込まれました。
一方で日本の労働規制をめぐっては労働時間制度の見直しや副業の活用などを掲げながらも検討を行い、処置を講ずる、環境整備を進めるといった言い回しにとどめられた印象があります。

規制改推進進会議
大槻奈那議長

労働関係については長年議論しているが労使それぞれいろいろな観点が複雑に絡み合っているので一筋縄ではいかない。
現在でも多くの会社員の労働時間等は1900年代以降、連綿と時間や年功などで管理し続けられている。
かつてのように単純労働が基本だった時代と異なるので、ITの技術者がいるなど労働の種類も多様化している。兼業なども含め働き手の意欲、評価方法も多様であるべきだと考えている。

佐々木明子キャスター

労働者の健康は?

規制改推進進会議
大槻奈那議長

それが最優先。

佐々木明子キャスター

若者や働き方の意識がずいぶんと変わって生きている。
まずはどこから手を付けていく?

規制改推進進会議
大槻奈那議長

たくさんあるが、兼業・副業の拡大。
まだ大企業でも兼業・副業は半分くらいしか認めていない。
上手に運営ができれば個人にとっては副収入になり、他のことをやることでリスキリングにもなり、高齢化したときにそちらの方で働き続ける種になるかもしれない。
もちろん競合先はダメなど制約はいいと思うが、副業は原則可能として、副業禁止を禁止するくらいの勢いでやっていただきたいと思っています。

-ビジネス関連, ワールドビジネスサテライト
-