商品やサービスがヒットすることにつながった転換点に焦点を当てる新コーナー「転換点 変えたら売れた」です。
1回目となる今回は発売から90年以上の炭酸飲料が飛躍した転換点に迫ります。

キリンビバレッジ株式会社
[blogcard url="https://www.kirin.co.jp/"]
京都府亀岡市。

ここ亀岡は戦国武将の明智光秀が城を築いた場所で、いまも城の石垣が一部残っています。


地元のスーパーを訪ねると…

「いつものキリンレモンと違う?」
マツモト荒塚店の尾崎友彦さん、
明智光秀ゆかりの地の限定パッケージになっている。

通常とは違うデザイン、キリンレモンの麒麟とNHK大河ドラマ「麒麟がくる」の麒麟をかけた限定ボトルです。

中身は普通でしょうけど、こういうラベルが付いていると限定とかに弱い。

大々的に亀岡が明智光秀とゆかりがあるのが誇らしげ。

誰もが知っているお馴染みの炭酸飲料。
復活のきっかけとなった転換点とは!?


キリンレモン
キリンレモンは1928年、昭和の初めに発売されました。

あんぱんが5銭だった当時、5倍の25銭で売られていて高級な飲み物でした。

1973年、オイルショックで揺れ動いていたこの年、お歳暮などギフト需要もあって年間1,500万箱近くを売り頂点を記録します。


1990年代初めにはスクリュー式の瓶ボトルを売り出し、第2のピークを迎えました。
しかし2000年代以降、ペットボトルが主流となると売上は低迷。全盛期の4分の1程度まで落ち込みました。

転換点
転換点は3年前。

キリンレモンが発売90周年を控え、マーケティング担当の山中進さんが悩んでいました。

キリンレモンというブランドをこのままにしておいていいのか。

実はキリンでは午後の紅茶や生茶などが主流に。キリンレモンは売り上げで大きく水をあけられていた。

山中さんは黄金期の70年代、キリンレモンの開発に携わったOBを訪ねました。

キリンにとってキリンレモンはどういう位置づけ。

キリンOBの平井勅雄さん、
キリンの清涼飲料の中核だという考えだった。

OBとのやりとりが転換点につながりました。
その転換点は社のロゴにも使われている聖獣「麒麟」をラベルに付け、発売当時の原点に立ち返ることでした。

emuni|エムニ
[blogcard url="https://www.emuni.co.jp/"]
ラベルを手掛けたデザイン事務所「エムニ」を訪ねると…

「この画面のもの何?」

デザイナーの村上雅士さん、
原稿のキリンレモンのデザインを検討しているときのデータ。

実は当初12パターンのデザインを提案。

なかには発売当時のデザインを彷彿させるものやレモンを前面に打ち出したものも。
90年前の透明の瓶にラベルが貼ってあった印象を入れつつ、ラベルの形がレモンになってレモンの飲料であることがひと目で分かることを工夫。

デザイン一新でブランドイメージが向上。コンビニにも置かれるようになり子どもだけでなく20代や30代の購入につながりました。

このリニューアルで2018年には前年の倍以上の出荷を記録しました。

店頭で初めて商品のパッケージを見て知るというお客様が多い。

そういったお客様に「いいな」と思って手に取ってもらうにはパッケージの力が大事。
