大浜見聞録、今回は自動車のサブスクリプション、定額料金サービスです。
半導体不足の影響が大きいですが、新車の納車にかなり時間がかかる状況になっています。そうした中ですぐに手に入る中古車に人気が集まり、中古車価格はどんどん上昇している状況です。
そこで今、月々定額の中古車のサブスクにかなり関心が集まっているということです。このサブスクの分野にトヨタも新たなサービスの導入を決めています。
にわかに活気づくサブスクのマーケットを取材してきました。
中古車サブスク人気上昇
新車 納期遅れ影響
大浜平八郎キャスター
ありました、看板が出ています。
「最短4日から自宅に納車!」ということですね。

こちらは車のサブスク「定額カルモくん」を運営するナイルの展示場です。今年7月にオープンしました。
大浜平八郎キャスター
中古車のサブスクが増えていると聞いていますが、感触は?

ナイル 自動車産業DX事業者
若林由晃さん

昔に比べ増えている。
月々の負担を減らすため月額料金を重視する人が多い。
料金には自動車税などの税金、車検代、メンテンス費用などが含まれていて、維持費の大部分が月額固定になります。
利用者に話を聞きました。
大浜平八郎キャスター
契約はいつ頃には?

サブスク利用者
川向勝人さん

8月末くらい。
設備関係の会社員、川向さんはこれまでレンタカーを利用していましたが、子どもが生まれた後、サブスク契約をしました。
サブスク利用者
川向勝人さん

何度もレンタカー屋に行って車を借りて戻すより、車を購入した方が早いと思った。
大浜平八郎キャスター
サブスクを選んだのは何が大きい?

サブスク利用者
川向勝人さん

車検とかお金がかかる。
子どもがいると支払いが一定額の車がいい。
足元の社会情勢の不透明感も利用者をサブスクへと向かわせる要因となっているようです。
ナイルが新車のサブスク事業を始めたのが2018年、翌年には中古車の取り扱いも始めました。
中古車の契約数は1年前に比べ2.1倍に増えました。
その背景の一つが新車の納車待ちの期間の長さです。
ナイル
久米田晶亮執行役員

新車の納期の問題もあり、中古車の価格は上昇傾向だった。
その後、世界的に情勢が悪化。先行きが見えず、中古車への需要が増えている。
動くトヨタ
サブスク専用車両投入へ
トヨタ自動車のサブスクサービス「KINTO」でも今年7月に中古車の取り扱いを始めました。2019年から新車のサブスクを始め、3年契約の車が返却され始めたためです。
大浜平八郎キャスター
新車のサブスクから返ってきた車がここに集められているということですが、ずらっとトヨタ車が並んでいます。

車は細かく品質をチェックされます。
KINTO
担当者

これが査定に落ちた車です。
こういうところ、ちょっと触ってもらうと…
内装が傷ついている。
大浜平八郎キャスター
現状だとこのレベルでアウトなんですね。

サブスクの契約はオンラインのみが基本。顧客が実車を確認することはできません。そのため一定以上の品質のものしかサブスク市場には回せない方針です。
まずは東京と愛知エリアのみで展開します。
新しく開発した安全機能などを利用してもらうため契約期間は2年間。買い取りもできません。
小寺社長はサブスク事業の将来性をどのように見ているのでしょうか。
大浜平八郎キャスター
これからサブスクのニーズは増えると見ていますか?

KINTO
小寺信也社長

増えると見ています。
安全装備の進化や電動化、自動運転で車の価格は上がると予想される。
その時に安い月額で借りるという利用が少しずつ膨らんでいる。
新車の販売価格はこの10年でおよそ3割上昇しています。このままでは車を購入できる人が減ってしまうと危機感を募らたトヨタ。サブスクサービスの充実に活路を見出そうとしているのです。
12月7日、トヨタは新たな取り組みを発表しました。来年1月に発売する新型プリウスの一部グレードをサブスク専用にするというのです。
しかも月額料金をこれまでのサブスクより1割安く設定するといいます。
車を進化させることでサブスク利用料金を下げる
ここで平太郎のへ~ポイント!車を進化させることサブスク利用料金を下げる。
走行距離や使用期間によって価値は目減りしていきます。しかし、トヨタは乗れば乗るほど価値が上がる仕組みを作るというのです。
具体的には搭載されているソフトを随時アップグレード。安全に関わるソフトを最新の状態に維持します。
さらにハード面でもセンサーなどの安全装置が簡単に付け足せるようにしました。
死角になりがちな後方の車を通知したり、ハンドルの温度調節をしたりする機能を付けることができます。
また、ドライバーの運転データを収集して分析、車を進化させます。
車の価値を引き上げることでサブスクの値下げの原資にする仕組みです。
KINTO
小寺信也社長

サブスクの第2章と言っている。
プリウスがうまくいったら車種を増やす。他の車にもサブスク専用グレードを作って海外にも展開したい。
お客様とクルマの接点をどうやって持ち続けるかがわれわれのテーマ。
今までは新車を売ったら接点が切れて、そこが何年も課題だった。
やっとそこに手を打てるようになってきた。
自動車をどう利用するか、その多様化がサブスク市場の拡大につながっているようです。