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[モーニングサテライト]「大浜見聞録」水素で3,000億円稼ぐ!川崎重工 橋本社長[川崎重工業株式会社]

モーニングサテライト

大浜見聞録です。

今回は脱炭素社会の実現に向けて注目が集まる水素。

燃料電池車に水素を入れる水素ステーションなど水素に力を入れる動きが活発になってきています。

この水素の供給網のメインプレーヤーを目指しているのが川崎重工業です。事業モデルが大きく変わろうとしている川崎重工業の橋本社長に話を伺いました。

川崎重工業株式会社

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脱炭素社会に向けて水素事業を加速させている川崎重工業。

橋本康彦社長です。

川崎重工は今年度の売上高をおよそ1兆5,000億円と見込みます。

水素関連事業の中心はエネルギーソリューション&マリン部門ですが、今後は他の部門でも水素事業を推し進めます。

2030年度の水素関連事業の売上は全体の1割にあたるおよそ3,000億円を見込んでいます。

多岐にわたる事業に水素関連の取り組みを関わらせることで水素社会のメインプレーヤーになろうとしているのです。

11年前から技術研究所にあった水素チームを4月から水素戦略本部として新設。

水素戦略本部が全体の水素事業を計画。

従来の事業が水素側にシフトしていく。

バイクが水素エンジンやFCV(燃料電池車)になってもバイクはバイク。基本的な技術は変わらない。

技術を継承しながらカーボンニュートラルに向かう。

トヨタが水素エンジンを開発しているが、川崎重工もモーターサイクルなど水素エンジンにチャレンジ。

同時に航空機や船舶でも水素エンジンの開発を進めています。

川崎重工が望むのは世界中が水素を当たり前に使う姿。

現在の水素の問題は高価なこと。

「作って使う」という流れができないと水素社会は来ない。

政府は2050年の温室効果ガス排出実質ゼロを目指しています。

火力発電所や製鉄所の低炭素化には大量の水素が必要不可欠です。

川崎重工は水素供給の上流から下流までを一体で届けることで安価な水素供給を可能にし、水素社会の持続可能な枠組みを作ろうとしているのです。

オーストラリアに大量に埋蔵されている褐炭から水素を取り出す。

この褐炭から水素を取り出し、オーストラリアから日本に大量に運ぶプロジェクトが始まっています。

川崎重工の他、J-POWERや岩谷産業、それにシェルジャパンなどが参加しています。

現地で高純度の水素を取り出すのはJ-POWERです。

取り出しの際に出る二酸化炭素は地中に埋めます。

そして気体である水素の大量輸送のカギを握るのが川崎重工の技術。

水素をマイナス253度に冷却し液化。その体積を800分の1にします。

液化した水素を運ぶのが液化水素運搬船「すいそふろんてぃあ」。世界で初めての船です。

全長116メートルで1,250立方メートルの液化水素を運ぶことができます。

これは燃料電池車およそ1万5,000台にフル充電できる量です。

オーストラリアから日本までの輸送にかかる日数は16日間。

輸送中、水素をマイナス253度に保つための技術がこのタンク。

外壁と内壁の間を真空にすることで温度の変化を最小限にとどめます。

液化天然ガスを運搬する技術を応用しています。

川崎重工は2030年までに16万立方メートルの液化水素を運ぶ船を商用化する予定です。

大型水素運搬船がたくさんできれば大量に水素を使うことで値段が下がる。

1立方メートルあたり水素ステーション価格で約100円。

2030年には約30円、2050年には約20円になる。

天然ガスと変わらない値段にできる。

オーストラリアから運ばれた液化水素は神戸空港島で荷揚げされます。

川崎重工業の西村元彦執行役員。

あちらに見えている白い球形の大きなタンク。日本では最大となる貯蔵タンク。

液化水素貯蔵タンク。運搬船のタンクと同じ構造でマイナス253度の液化水素を長期間貯蔵することができます。

貯蔵できる液化水素の量はすいそふろんてぃあのおよそ2倍。

施設の運用は主に岩谷産業が担います。

そして川崎重工は水素を使った発電装置もすでに完成させています。

水素で発電するガスタービンの施設。

既存のガスタービン発電機の燃料を水素に置き換え発電します。

およそ1,100キロワットの電力を供給できます。

仮に液化水素貯蔵タンクの水素を全部使用した場合、一般家庭およそ550世帯が1ヵ月使うことができます。

電気や熱を周辺の施設に供給する実験もすでに行われました。

世界がアグレッシブに動いている。

世界中から水素事業にオファーが来ている。

川崎重工にとって水素事業は重要。

先行してやって技術を世界のスタンダードに。

役割を果たすのが川崎重工のミッション。

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