明日から6月ということで季節も夏になりますが、こちらに並んでいる食品は全て6月1日から製品価格が値上がりします。この他にも今後2ヵ月間で3,000品目を超える値上げが予定されていて、今年は累計1万を超える商品が値上げされる可能性があるといいます。
消費者の財布にとっては痛い話ですが、実はこの値上げの裏で商品を選ぶ基準にも大きな変化が起き始めています。
"値上げの夏"徹底解剖!
マヨネーズの売れ筋に異変
値上げの夏が目前に迫り消費者は…

カップ麺とかは割と価格が安定してる食品だと思っている。
そこも値上げすると少し困る。

どうしようもないのかなと思う。我慢が続くのではないかと。
アキダイ関町本店では安い時期に在庫を多く持つことでできる限り価格転嫁をしない対応をしていますが、店頭価格を上げざるを得ない商品も…
アキダイ
秋葉弘道社長

食用油すべてが値上がりしている。
番組スタッフ
何回値上がりした?

アキダイ
秋葉弘道社長

数えるのが嫌になるぐらい。階段を駆けのぼるように値上がりしている。
コロナ前の特売価格と比べると2倍以上になっているといいます。
そしてほかにも値上げの影響が…
梅田聖記者

実はいま値上げによってある商品の売れ行きに異変が起きているそうです。それがマヨネーズです。
マヨネーズでシェア1位と2位がキユーピーと味の素ですが2社ともこの1年で大幅に値上げ。
これを受けて実際の店頭での平均価格はキユーピーが227円、味の素が190円に。グラム単位で見ると大きな価格の差はありませんが値上げをきっかけに大きく変動したのがキユーピーのシェアです。
値上げ前に72%あったキユーピーのシェアは64%に減少。
一方、味の素は2%シェアを伸ばしたのです。
シェア減少でキユーピーは…
専門家はこのシェアの変化の背景にある消費者心理があるのではと指摘します。
ニッセイ基礎研究所
久我尚子上席研究員

ビニールのパッケージにボトルが入っている。
多少のグラム数の違いは消費者はあまり気づかなくて、同程度のサイズの商品であれば比較的割安を今買うという傾向がある。
キユーピーの主力は450gなのに対して味の素は400g。キユーピーのほうが量も多いのですが値上げの結果、見た目上の価格差が広がり味の素を選ぶ消費者が増えた可能性があるというのです。
ニッセイ基礎研究所
久我尚子上席研究員

生活必需品については"値上がりが続きそう"という意識。
できるだけ支出を抑えたい。
これまでマヨネーズは迷わずキユーピーを選んでいたけれども、よく知っている味の素でも同じような商品を出していて、しかも安いとなると「ちょっと試してみよう」という気持ちになるのは調味料だけでなくて自然なことだと思う。
こうした中、キユーピーの担当者は今回のシェアの低下は想定内としています。
キユーピー 家庭用本部

価格改定直後の月は売上が多く下がってしまうことは過去の傾向からも見て取れる状況。
一方、新たな現象も…
値上げを機に主力の450gより一回り小さい350gのマヨネーズの販売が伸びているのです。
キユーピー 家庭用本部

450gが価格改定前は100円台の価格で売られていることが多かったが、2回の価格改定を踏まえて200円以上の価格に上がってきている。
100円台の値ごろ感を求めるお客様がいて、350gが少し上がってきている。
一方、シェアを伸ばした味の素は…
番組スタッフ
値上げ後、お客さんの流入は感じるか?

味の素 食品事業本部
田中宏樹さん

短期的にはそういった傾向も見られる。
調味料の購入のサイクルもあるので中期的にその形がどうなっていくかはわれわれとしても見ていきたい。
PB拡大 武器は「付加価値」
メーカーによるシェアの奪い合いの影で売上げを伸ばしている商品が…
田中瞳キャスター

こちらがマヨネーズのコーナーです。見てみると味の素のマヨネーズは400gで288円、同じグラム数のライフのプライベートブランドは80円安く売られています。
プライベートブランドのマヨネーズです。
ライフ 東日暮里店
成瀬達也店長

4月だと前年比115%で伸長している。お値ごろ価格というのが大きい。
ライフだけでなく小売各社が展開するプライベートブランドのシェアは値上げ前の去年6月の8%から14%に拡大しました。
好調なのはマヨネーズだけではありません。
値上げが続く食用油でも低価格のプライベートブランドは売上が1年前と比べて2倍に増加。
しかし、意外な現象も起きていました。
ライフコーポレーション
土屋裕美さん

こちらが「ビオラル」コーナー。
原材料がオーガニックのものを選んでいる。
売上げでみると前年度比160%、認知度も上がっている。
環境に優しく健康志向な商品を扱うライフのプライベートブランド「ビオラル」。
通常のオーガニック製品よりも割安で買えるとして好評だといいますが、なかでも人気なのがこめ油です。
910gでおよそ700円と一般的な食用油より高額ですが、先月の売り上げは1年前の1.6倍に。
値上げされた商品を買うのであればより品質の良い油に変えようとするお客さんが増え、安いプライベートブランドだけでなく高価格帯の商品も売り上げが伸びたといいます。
ライフコーポレーション
土屋裕美さん

全体的に価格が上昇している中で高品質のものや健康志向。
高付加価値のプライベートブランドまで幅広くそろえているので。
今後も力を入れて開発していきたい。