「日本健幸都市連合」という組織が2月20日に発足しました。
「健幸都市」の文字が独特ですが、これは健やかで幸せに暮らせる地域社会を作っていこうという考え方です。
狙いは増加する医療費の抑制です。健康寿命をどう伸ばしていくのか。あの手この手の取り組みを取材しました。
日本健幸都市連合
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都内で開かれた「日本健幸都市連合」の発足会。
健やかで健康に暮らせる健幸都市を作ろうと全国の自治体のトップなど約80人が集結しました。
東京。荒川区の西川太一郎区長は、
自治体の首長が集まってみんなで健幸都市を実現していこう。
超高齢化社会で増え続ける医療費。その抑制を狙った全国的な組織は初めてです。
国も期待を寄せています。
加藤勝信一億総活躍担当大臣は、
一億総活躍社会を実現する。それに向けて大きな貢献。いやいやバックボーンと言ってもいい。
具体的には「歩きたくなる街」「外出したくなる街づくり」を推進。また市民の食生活の改善を図り健康増進を狙います。
地域の飲食店を健康メニューに
荒川区
この組織に加わった東京・荒川区。
中華料理店「中華ハウス山岸」の店先には「あらかわ満点メニュー」というのぼりが。
荒川区では2006年から「あらかわ満点メニュー」という取り組みをスタート。区内60の飲食店で健康志向のオリジナルメニューを開発しています。
サラダチャーハンです。
こちらのお店で提供しているのは「脱メタボ!!サラダチャーハンセット(864円)」です。たっぷりの生野菜が添えられたレタスチャーハンと春雨スープのセットで10種類の野菜を使っています。
ドレッシングを使わないので生野菜とチャーハンを混ぜながら食べます。
お客様は、
カロリーは気にする。ちょっと太ってきたので。
野菜を混ぜて食べても意外と味がしっかりついていて見た目以上にボリュームもあっておいしい。
「あらかわ満点メニュー」は1食当たり600~850kcal、塩分は4g未満で野菜を多く使うことが条件になっています。
メニュー開発には栄養の専門家も関わっています。
女子栄養大学短期大学部の岩間範子教授は、
外食で問題になる塩や油をほどほどにしてもらった上で作りたての野菜のシャキシャキ感を残して塩味をカバーする。おいしさを感じる一つの方法として工夫している。
このサラダチャーハンは通常のチャーハンと比べると使用しているご飯、塩の量は半分ほどでカロリーも抑えることができました。
中華ハウス山岸の山岸利幸さんは、
塩分を抑えてほしい、薄味にしてほしいというお客様が結構いる。他のメニューも作り方を変えるようになった。昔のやり方だけでは今は通用しないのかもしれない。
荒川区は高齢者や女性だけでなく若い男性客へのアプローチも考えています。
荒川区健康部の根本直子栄養担当係長は、
最初のメニュー開発の目的は働き盛り世代の健康寿命を延ばすこと。若い人の食の嗜好を調査しつつ、それに合うメニュー開発も考えていければ。
散歩すると商品券がもらえる!
高石市
一方、日本健幸都市連合に参加した大阪府高石市では1年前に「健幸づくり課」を新設し市民に運動を促しています。
市内に暮らす馬場章さん(61歳)。8年前に脳出血を発症してから右半身に痺れが残り、好きなゴルフもできずふさぎがちになっていました。
しかし、今は妻の美雪さんとの朝のウォーキングが日課だといいます。
歩くとポイントが付くようになって頑張っている。
積極的に外出するようになったきっかけは国の実証実験「健幸ポイントプロジェクト」です。
高石市では約2,000人が参加して毎月の歩いた歩数や筋肉が増加することで年間最大2万2,000ポイント、2万2,000円分の商品券がもらえます。
馬場美雪さんは、
歩数が上がると商品券の枚数が増えるので歩くきっかけと継続が一緒になっている。
また継続して歩くことである変化も現れました。
昔はよくぎっくり腰になったり足をつったり、それがなくなってびっくり。病院へ行く回数も減った。
こうした効果を感じるのは馬場章さんだけではありません。筑波大学大学院の久野譜也教授が岡山市や浦安市などプロジェクトに参加する6都市で検証した結果、プロジェクト参加者の医療費は参加していない人に比べ2年間で5万円低くなっています。
参加者全体では5億円の医療費が抑制でき、事業費を引いても3億円のプラス効果があるとしています。
さらに高石市保健福祉部の中島孝部長によると、
660万円程度が商品券として交換され高石市内で消費された。地域の活性化にもつながった。
地域経済の活性化にも貢献しているという今回のプロジェクト。
久野譜也教授はここに高齢化問題の解決の糸口を見出しています。
医療費の抑制効果まできちんと出せたのは今回が初めて。日本の社会保障の課題、高齢化の課題に対応できる。