発生から70時間近くが経過している大規模な通信障害。携帯電話通信のauなどを展開するKDDIは7月4日に完全復旧宣言について7月5日の夕方をめどに判断すると明らかにしました。
KDDI通信障害「ほぼ回復」!完全復旧宣言 7月5日夕方めど判断
KDDI
吉村和幸専務

全面的な復旧の見通しは個人・法人のサービス利用状況を確認し、めどとしてあす夕刻。
7月4日に会見したKDDIは通信障害の現状について音声通話・データ通信ともにほぼ回復したとした上で完全復旧についてはユーザーの利用状況を踏まえ最終確認していくということです。
今回の通信障害では最大で3,915万回線に影響が出ていて、KDDIとしても重大事故と認識しているとし、再発防止策の策定を急ぐ考えを示しました。
過去最悪とされる今回の通信障害で個人だけでなく企業にも大きな影響が出ています。一体なぜここまで復旧に時間がかかったのでしょうか。
"最大規模"KDDI通信障害!コロナ感染でも連絡できず…
KDDI
髙橋誠社長

社会インフラを支える、また安定したサービスを提供する、そのような立場である通信事業者として深く反省している。
多大な迷惑をかけたことを深くおわびする。
KDDIの歴史上、最も大きな通信障害。KDDIは7月2日午前1時半ごろ障害が発生し、3日の夕方には復旧作業は終了したと発表しました。
しかし、発生から2日以上経過した7月4日にもauショップを訪れる人々の姿が…
50代男性

通話とメールが一切できない。土曜日の未明からいまだに。
母が高齢者施設にいて連絡が不通になってる。
何かあったときに不安。
アパートの大家
50代男性

仕事上、電話が土日にかかってくるので半分くらいは遮断された。非常に困る。
こちらの女性は友人との約束で都内を訪れましたが…
70代女性

今日ももう会う予定の時間に迫っているが連絡が取れない。
連絡が取れないならキャンセルの手続きをしないといけない。
そして用意したのが…
70代女性

昔いただいたテレホンカードが多くあるので、それを持ってきた。
20年ぶりくらいに出して使った。
公衆電話を頼る人たちがいました。
この他、SNSでは…

7月2日からコロナ陽性に。
まさかの家族全員au回線で保健所とのやり取りに公衆電話も使えません。
外部との連絡を取るには他にいい方法ありますか?
通信障害で緊急事態でも連絡ができない状況になったという声も。
通信障害 最大26万社影響!無線機や掲示板が使えない!
通信障害の影響は企業にも。
羽田空港で働く日本航空のスタッフ。影響を受けたのは手荷物を担当するスタッフが使う無線機です。
預けられた手荷物を返却レーンに流したり、航空機から荷物を運んだいるするときに使っていますが、実はこの無線機に使われているのがKDDIの回線です。
通信障害が発生した2日と3日はほとんどの無線が使用できなくなりました。
無線などを管理する
JALグランドサービス
遠藤正憲さん

携帯電話や固定電話を使用して作業者間でやりとりした。
無線は大人数で通信できるが、固定電話は1対1の通話になるので不便さを感じた。
交通インフラへの影響はほかにも。
宮崎文子記者

小田急バスの電光掲示板。「通信障害のため案内停止中です」と表示されています。
小田急バスや京成バスでは運行中のバスの位置や到着時刻を知らせるシステムが使用できなくなりました。
さらに出前館は配達員の専用アプリが使えなくなり、深刻な配達員不足に。
岐阜県の大垣共立銀行ではATM190台が使用できなくなるなど生活を支える社会インフラへの影響が相次ぎました。
約70時間続く通信障害!"異例の長期化"なぜ起きた?
東京・多摩市にあるKDDIのデータセンター「KDDI多摩センタービル」。
宮崎文子記者

今回の通信障害は定期メンテナンス中に不具合が生じたということです。
こちらで復旧作業が行われていました。
通信障害が起きたのは2日の午前1時半すぎ。
その理由についてKDDIは通信網の設備を定期交換する際に異常が発生。複数のトラブルが同時に起きたと説明しています。
高速道路に例えます。車はデータを表します。
まず最初のトラブルで入り口が封鎖。車が殺到し、通信網がストップします。
元に戻す作業、つまり入り口を開放したところ車が次々に入り込みます。しかし、そこには認証されない車も紛れていたため出口での確認作業に時間がかかり渋滞を引き起こしたのです。
その結果、通信障害が70時間も続く異例な事態となりました。
ここまで長引いている理由について専門家は…
立命館大学
情報理工学部
上原哲太郎教授

人間が持っているスマホだけならいいが、アメダスなどの事業にも使われ機械につなぎっぱなし。
データがありすぎて押し寄せている。
処理するデータが多すぎるためトラブル解消までの時間がかかっているのです。
立命館大学
情報理工学部
上原哲太郎教授

ここ何年か総理の声掛けで料金が半額になるなど価格圧力があった。
設備投資を十分にしておいて、交換機の能力も十分にしておけば、こんな事故が起きても収束は早くできた。
コストダウン競争をすると余裕がなくなるから回復力も落ちる。
今回の通信障害に伴う補償についてKDDIはポイント付与による還元や月額使用料の割引などを検討しているということです。