先祖代々のものから個人のものへと日本人のお墓が大きく変わってきています。
来週末は早くも秋のお彼岸です。家族でお墓参りに出掛けるという方も多いと思います。
ただ最近は少子化や宗教観の変化などに伴いお墓のあり方も多様化しています。その最新事情を取材しました。
感応寺
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東京・世田谷区にある浄土宗の寺「感応寺」。
一見、普通の寺ですがおよそ10年前から檀家になりたいという人が増えています。
感応寺の成田淳教住職、
ペットと一緒に入ることができるようになっている。
よく見るとネコのシルエットの墓石が。
実はこの寺が2008年に始めたペットと一緒に眠ることができる墓が人気となっているのです。
「普通の寺でペットと眠れる墓はない?」
従来、人間と動物は違うと考えられてきたので一緒に入れない形式が多い。
実は多くの寺や霊園は人間と動物を同列に扱うのは相応しくないという考え方からペットと人間を一緒に埋葬することを認めていないのです。
住職の成田さんは人間と動物を別にする考え方自体が時代遅れだと指摘します。
仏教では動物であっても、人間であっても、魂の本質は変わらないと考えている。
それであれば一緒に供養しても全く問題ない。
街の声
宗教観や家族の形が大きく変わる中、昔ながらの墓にはこだわらない人は急激に増えています。
お金はかけたくない。メンテナンスが必要ないような墓。
息子たちは遠くにいるので墓を作ると大変。
墓なしで散骨できたら。
できれば面倒見る人が楽な方法で、樹木葬とか。
樹木葬
最近、特に注目を集めているのが樹木葬です。
樹木葬は20年ほど前に始まったとされますが、ある調査ではすでに樹木葬を選ぶ人は3割にも上っているのです。
瑞光寺
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樹木葬であれば都心の寺でも手の届く価格になっています。
境内にある巨木の根本には小さな墓石が並んでいました。
1人用で50万円から。
宗派に関係なく申し込むことができます。
13年間の埋葬期間を終えると遺骨は合葬墓に移される仕組みです。
60代の佐藤さん夫婦。それぞれ実家の墓はありますが、夫婦でこちらの樹木葬を選んだといいます。
自分たちに子どもがいない。最終的に2人でどこかにという感じになった。
自分たちにはベストかな。
風の丘樹木葬墓地
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また従来の樹木葬のイメージを覆す新しいタイプの墓地が一昨年、東京・八王子市に誕生し、見学者が殺到しています。
人気の理由はまるで公園のような美しいデザインです。
水路で囲まれた小高い丘が墓地になっています。
遺骨が入るのは直径35cmの穴。
埋葬されている人の名前はこちらに刻印されています。
実はこの墓地、曹洞宗の寺が寺の敷地の一角に作った墓地ですが、仏教色はほぼなく、購入者は寺の檀家になる必要はありません。
父親が生前、この墓地を選んだという女性は、
私と妹の2人で後を継ぐ者もいない。
いろいろなところが考えられているので気持ちがすごく楽だった。
関野らんさん
この墓地を設計したのが一級建築士の関野らんさんです。
東京大学大学院で景観建築を学んだ後、日本で唯一の墓地設計家になりました。
これまで6ヵ所の墓地設計に携わってきましたが、関野さんがこだわっているのは街の風景に自然に溶け込むデザインだといいます。
一般的な墓は樹木葬でも花束を生けるが、そうすると雑然としてしまう。
全体として美しい風景ができあがるようにこの形を提案した。
、また、墓地を小高い丘にした理由は元々この一体が緩やかな山の一部だったことを意識してのことだったそうです。
この山全体を感じてもらえるようにあえて中心を作らないで、広々とした空間を体験してもらえるようにシンボルのツリーは置いていない。
時代の変化に伴いは墓参りという習慣そのものが薄れつつある中、関野さんはデザインの力で墓地と人の新しいつながりを作りたいと話します。
墓参りに義務的に行くのではなく、その場所の魅力を感じてもらい、そこに来て心地よいと思ってもらえる場所を提案できればと思っている。