自民・公明両党が先週末に決定した来年度の税制改正大綱で目玉の一つとなているのが人への投資です。いま課題となっている人材の育成に民間の資金をどう生かすのか、注目されているある学校が来年4月からスタートします。
19年ぶり高専来年開校
どうなる「人への投資」
徳島市内から車で1時間ほどの場所にある神山町。人口およそ5,000人ほどの小さな町です。
そこに来年4月に開校するのが…
神山まるごと高等専門学校
松坂孝紀事務局長
ここが起業家を育成する新しい学校になる場所。
中学を卒業した子どもたちに5年間の一貫教育を行ういわゆる高等専門学校。
この学校の設立を主導するのはクラウドで名刺管理サービスを展開するSansanです。
ここでは一般的な授業のほか、起業家と身近に接しながらプログラミングやデザインなども学べ、卒業時には準学士の称号が取得できます。
DeNAの南場会長や星野リゾートの星野代表など起業家の講師を50人以上そろえ、週に1度特別講義を予定しています。
高専の開校は19年ぶりです。
4月の開校に向け準備は大詰め。事務局長の松坂さんも元経営者です。
神山まるごと高等専門学校
松坂孝紀事務局長
枠にはまらない学生になってほしい。
教育の内側で社会に出たときの準備はできるのはないか。
問題解決や社会の変化を見据えてものづくりができる人を育てていく。
開校のための資金、およそ25億円をパートナー企業の寄付で調達しました。しかし、資金調達には苦労も…
神山まるごと高等専門学校
松坂孝紀事務局長
どう前に進めていけばいいのかという点で、止まってしまったりとか、審査によるブレーキはある。
こうした学校の新設にあたり民間企業が寄付などで支援するケースは少なくありません。
企業は指定寄附金という制度を使えば寄付した額を損金として扱い税負担を減らすことが可能。ただ個別の審査により長い時間を要する壁がありました。
今回の税制改正では一定の要件を満たせば審査なしでこの制度を使えるようにする方針で、学校設立の構想段階から資金を集めやすくするというのです。
神山まるごと高等専門学校
松坂孝紀事務局長
審査によるブレーキが実質ゼロになることはすごくいいことだと思う。
こちらの学校は年間200万円掛かる1期生の授業料を無償化。2期生以降も無償化を目指し基金を設立していて、ソフトバンクやソニーなど8社から75億円相当を集めています。
神山まるごと高等専門学校
松坂孝紀事務局長
今後の時代に必要な学びを届けられるものが教育機関としてちゃんとあるべき。
私たちの学校に限らず新しい学びの場や選択肢ができてくることは喜ばしい。