最近、話題の企業の上場が相次いでいます。
12月23日はこの時期が1年の間でも最も忙しいというこちらの企業が東証2部への上場を果たしました。
酒の販売などを手掛けるカクヤスです。
この業界ではトップを走るカクヤスですが、成長を支えているのは安さだけにとどまらないサービスでした。
株式会社カクヤス
[blogcard url="https://www.kakuyasu.co.jp/"]
12月23日、東証2部に上場したカクヤス。
初日の終値は売り出し価格をおよそ15%上回る1,835円でした。
カクヤスの佐藤順一社長、
お客様の要望・期待には何でも応えたいと社員全員が思うことを目指してつくってきた会社なので、その気持ちは忘れたくない。
ピンク色の看板がトレードマークのカクヤス。
定価よりも安い価格でビールや日本酒のほか、つまみなども販売しています。
また繁華街にある店舗ではワインの品揃えを充実させるなど店のある地域に応じた品揃えも強みです。
独自戦略
東京・北区で創業したカクヤス。
当時は普通の町の酒屋さんでした。
そのカクヤスが売上高1,000億円を超える業界最大手に成長できた背景には独自の戦略があります。
例えば港区・赤坂に今年オープンした「KAKUYASU class 赤坂二丁目店」。
広さは30平米以下と決して広くはありません。
その横には店の3倍ほどある倉庫が…
その倉庫で行われていたのが配達用の仕分けです。
カクヤス最大の特徴はビール1本から無料で配達すること。
注文すれば1時間以内に店や自宅に届けてくれます。
夕方3時くらいから9時くらいまでは伝票が上がり続けている。
普段の比にならないというと大げさだが確かに忙しい。
体感で言うと1.5倍以上多くなっている。
1年で最も忙しい年末でもお客様の注文に細かく対応する御用聞きともいえるこの配達サービス。それを支えるのが集中出店です。
全国およそ150店舗中、121店が東京23区に集中。
特に港区など繁華街の多いエリアには高密度で出店しています。
ほかは大阪市、横浜市など飲食店が多く、需要が見込める地域にしか店を出していません。
人材確保
ただ小売店や宅配業者は人手不足が深刻な業種。
カクヤスは何故こうした配達サービスを維持できるのでしょうか?
高校生の新卒採用を重視している。
カクヤスでは全国およそ2,000校の高校を訪問。就職先として選んでもらえるよう高校の先生たちとの関係づくりに力を入れていて、毎年およそ120人を正社員として採用しています。
今年入社の新卒社員は、
進路指導の先生にこんな仕事があると言われて。
そんな仕事に就こうか決めていなかったので。
紹介されて面白そう、行ってみようかなと。
高校生を積極的に採用することで自前の配達網を作り上げているのです。
今回の上場には採用につなげたいという思いもあります。
ほかの上場企業が採用に来ているので採用は厳しくなっている。
今回そういったことも機に上場しようというのも動機としてある。
こうして作り上げたきめ細かな配達網。
佐藤社長は新たなビジネスの種になると見ています。
正午から午後4時は注文が少ないのでトラックが空いている。
これからIPO(新規上場)すると、この時間帯で運べるものをわれわれは手掛けることになるかと思う。
お届けのプラットフォームになることがこれから企業価値を上げていくうえで重要なこと。