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[WBS][COP26 × WBS]CO2を吸い込むコンクリ!?[鹿島建設株式会社]

2021年11月1日

ワールドビジネスサテライト(WBS)

地球温暖化対策を話し合う国際会議「COP26」がイギリスで開幕しました。世界の200近い国と地域からおよそ2万5,000人が集まるという巨大な国際会議です。

岸田総理大臣も11月2日に現地に向かいます。世界の共通課題である温暖化対策で日本は存在感を発揮することができるのでしょうか。

現地には中村航記者がいます。

COP26が開かれているイギリス北部のグラスゴーに来ています。

一つ見ていただきたいボードがあります。この数字ですが産業革命が起きた頃と比べて地球全体の気温が何度上がっているかを示しています。今は1.237度上がっているということですが、まだまだ上がり続けています。

実は今回のCOP26ではこの気温上昇を1.5度で止めるため対策を決めることが最大の目的です。

会場の中では国や企業、団体が思い思いの形で環境対策を訴えています。1つだけ事例を紹介します、厚紙でできたイスです。座ってみても耐久力は十分で面白い動きもします。もちろん再生可能な素材でできています。

「COP26は岸田総理の初めての外遊の場となります。どうなりそうでしょうか?」

外交デビューの場は華々しくとはいかなそうです。CO2排出量の多い石炭火力発電について日本と議長国のイギリスの間でかなり温度差があるためです。日本は2030年度時点でおよそ2割を石炭火力に頼る想定ですが、イギリスはその2030年までに先進国には石炭火力を廃止してもらいたいと決断を迫っています。

実はイギリスはすでに石炭火力をほぼ停止していて、議長国として一歩リードを見せつけています。

日本はCO2削減に後ろ向きとの批判もありますが、会場にある日本の企業のパビリオンページを見に行くとCO2削減に向けた取り組みがたくさんありました。カギは日本企業がこれまで培ってきた技術です。

鹿島建設株式会社

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COP26の日本パビリオン。国内のメーカーがCO2を削減するさまざまな技術を披露しています。

三菱重工のブースにあったのは水素ガスタービン。CO2をほとんど排出しない発電方法として注目されています。

三菱重工の西岡映二さん。

半世紀にわたる技術開発・蓄積により水素を燃やす開発をしている。

そして三菱商事や鹿島建設、中国電力など5社が連名で展示したのはCO2を吸い込むコンクリートです。

三菱商事の嶋田大士さん。

2000年代半ばから培われてきて、すでに確立した技術。

開発したのは東京・調布市にある鹿島建設の研究所。

鹿島技術研究所の取違剛上席研究員。

製品として使われているSUICOM。

見た目は普通のコンクリートと変わらない。

CO2を吸い込むコンクリート。その名も「CO2-SUICOM」。一体どのようにCO2を吸収するのでしょうか。

カギを握るのがこちら、γ-C2Sと呼ばれる特殊な粉です。

この材料はCO2と反応して固まる特殊な性質を持っている。

γ-C2Sは空気中のCO2と反応して固くなります。この性質を利用してコンクリートが固まる際、CO2を中に閉じ込めてしまうのです。

本当にそんな事ができるのか、現れたのは巨大な冷蔵庫のような装置。

中にコンクリートを置いてどのくらいのスピードでCO2を吸っていくか評価。

CO2を吸うとコンクリートは重くなる。

CO2をどれだけ吸っているか重さで評価できないか今検討している。

実際にCO2を充満させたビニール袋にSUICOMを入れてみると、みるみるしぼんでいきます。わずか1時間ほどで袋の中のCO2を全て吸収してしまいました。

通常のセメントは製造する時に1立方メートルあたりおよそ300キログラムのCO2を排出します。

一方、SUICOMを使えば排出するどころか300キロ以上のCO2を削減できるといいます。

扱い方は通常のコンクリートとほぼ同じ。すでに道路の舗装やマンションの建材として使われています。

ただ普及には課題も…

コストダウンが課題。少量生産なので一般製品の3~5倍の価格になる。

電力、鉄鋼、石油、天然ガスを扱う会社、さまざまなところでCO2排出が行われる。

コンクリートがCO2の受け皿になれば。

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