昭和食堂
名古屋市の外れ、薄暗い幹線道路沿いに不夜城のような店があります。
居酒屋「昭和食堂」。
入り口はレトロなポスターや看板が飾られ昔懐かしい昭和の雰囲気。
町外れなのに店内は満席。
人気の理由はお客様を満足させる様々な仕掛けです。
刺身の盛り合わせです。
店の名物、刺身の階段盛り。その日仕入れたばかりの新鮮な魚が8種類盛られて値段は1,680円。
味はいかがでしょうか?
上手い。見た目がすごくインパクトがある。
男性が向かった先には壁一面に一升瓶が並んでいました。自分で注ぎます。30種類の酒が2時間飲み放題で980円という激安です。
楽しいですよ。好きなものを好きなだけ酌むのも。
座敷には子連れの団体客。親たちはビールで乾杯。
すると子供たちが一斉に駆け出しました。向かったのはキッズルーム。子供たちが遊んでいる間、親たちはゆっくりとお酒を楽しめる仕掛けです。
この居酒屋、店を出た後も嬉しいサービスがあります。お客様を待っていたのはバス。次々に乗り込みます。一体どこに向かうのでしょうか?
帰りの送迎で送ってもらう。無料です。
昭和食堂、最大の売りがこの無料送迎。送迎の範囲は店から30分以内、8人以上の利用で前日までに予約が必要。
結構飲みました。飲み放題なので。
私もちょいちょい。子供もいるから助かります。
株式会社海帆
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名古屋市の中心部にある柳橋中央市場。全国から新鮮な魚が集まる東海地方の台所です。
その一画でマグロを捌いているのが昭和食堂を運営する株式会社海帆の久田敏貴社長(48歳)。このマグロは昭和食堂に送られます。
身もしっかりしているし、いいですね。
元々飲食店向けに魚を販売していた久田敏貴社長。仕入れの強みを生かそうと飲食業に乗り出しました。
仕込みが終わるとそのまま出勤。本社は市場の中の雑居ビルにあります。
グループ全体で社員は約200人。昭和食堂を中心に18業態で108店舗を展開しています。
グループの売り上げは約60億円。
久田敏貴社長は昭和食堂の出店を決めたとき居酒屋には不向きな郊外をあえて選んだといいます。
競合他社が少なかったというのが一番大きい出店しようと思った動機。
送迎
郊外の店で生き残るために始めた送迎バス。久田敏貴社長自ら大型の免許を取っていました。
僕自身もずっと毎週金曜、土曜は送迎をやっていた。
久田敏貴社長だけではありません。総務・人事部長は29人まで乗れる中型の免許を保有しています。
運転もする。中型免許を取るとは思わなかった。
課長以上の社員は全員、大型や中型の免許を持っています。
送迎のシフトを組むのがある男性。各店舗の予約をまとめ、ドライバーを割り振ります。
今日は稲沢店で45名。
一件終わると、すぐに次の電話。ドライバーとバスを効率的に配置します。
金曜土曜だと40件から50件。年末の忘年会シーズンだと80件から100件。
送迎システム
送迎バスの駐車場。午後3時、ドライバーがやって来ました。次々にバスに乗り込みます。
今日は北名古屋市、師勝店に行く。
予定表には迎えの住所と送り先の店舗が書かれています。3~4店舗を回ります。
中型と小型を合わせて36台のバスを保有。週末にはこれがフル稼働します。
居酒屋では唯一という送迎システム。これが郊外の店にお客様を呼び込む大きな武器となっているのです。
大垣駅
1月下旬、岐阜県大垣市。久田敏貴社長の姿がありました。
魚民さん。
やって来たのは居酒屋が軒を連ねる場所。
なかったよね。
こちらは人気の焼鳥居酒屋「鳥貴族」です。
そして向かったのが工事中の物件。2月下旬にオープンを予定している昭和食堂の新店舗です。
実はここ、JR大垣駅の目と鼻の先。今回は競争相手の多い駅前で勝負に出ます。
送迎バスがあることによって攻めの営業ができるというのが大きい。ビジネスチャンスは本当にある。
久田敏貴社長、ある秘策を考えていました。
ピアゴ浅草店
駅前の店舗で送迎バスをどう生かすのか?
ルートインありますね。
見つけたのはビジネスホテルです。
出張の方も多い。ご飯を食べる所がないということで送迎があればビジネスホテルとしてもお客様を案内しやすい。
狙いをつけたのは大垣駅から5キロ圏内にあるホテルや企業。その団体客を取り込もうというのです。
次に久田敏貴社長を乗せた車はスーパー「ピアゴ浅草店」の駐車場に入っていきます。
車を降りると店には入らずドアの所へ。
営業時間は10時から夜8時。
チェックしたのは営業時間。今度は道路を渡りました。辺りを見渡すと、
居酒屋はないね。
久田敏貴社長、このスーパーにある提案を持ち掛けます。訪ねたのは福利厚生を担当する部署。
当社の場合は送迎バスもあるので店舗にお迎えもできますし帰りも駅までお送りできますので。特別コースを作成したりとか従業員の福利厚生の一環として何かお手伝いできないかなと思いまして。
送迎という武器を必死に売り込みます。
新メニュー
一方、愛知県内にある卸売市場。久田敏貴社長は料理にもある仕掛けを考えていました。
それはマグロを使った新メニューだといいます。自ら品定めにやって来ました。
これいいね。
丸々太った沖縄産のキハダマグロ。気仙沼のカジキマグロ。
一体どんなメニューができるのか?
オープン
2月21日。昭和食堂を運営する株式会社海帆の久田敏貴社長が大垣にやって来ました。
この日は勝負をかけた大垣駅前店のオープン当日。
だいぶ昭和感、レトロ感が出てよくなった。
午後7時、幹線道路で送迎バスが走り出しました。向かったのは営業をかけていたピアゴ浅草店です。
久田敏貴社長、団体客の取り込みに成功していました。仕事終わりに昭和食堂で懇親会が開かれることに。
総勢15人、普段は車で出勤するため飲む機会は少ないそうです。
送迎システムは駅前の店舗でも大きな武器となりました。
この日は2時間の飲み放題。新鮮な刺し身の盛り合わせや地元の素材を使った熱々の鍋。思わず酒も進みますが、
駅も近いので電車で帰れるし安心して飲める。
ほかの団体客も続々入店してきます。
そして、
マグロ尽くしです。
この日のための新メニューが「マグロ尽くし(1,760円)」。階段盛りになった様々な種類のマグロを目と舌で味わいます。マグロ好きにはたまらない豪快な一品。
厳しさが増す外食業界。それでも久田敏貴社長はまだまだ成長の余地があると考えています。
日々、危機感を持ってやっているので、しっかりと新しいものに目を向けて、今までにないパイをもっと増やして取っていきたいと思う。
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