企業が従業員向けに開設する企業主導型保育所が増えています。
事業所の外にも設置ができて地域の子供も受け入れるということから待機児童対策を急ぐ国も補助金を出して設置を後押ししていて、その数は2月末の時点で2,365施設に上ります。
一方、保育士の不足は深刻で2018年1月、都内の保育士の有効求人倍率は6倍を越えました。
こうした状況の中、保育士の募集に対して約4倍の応募を集めた保育園がありました。
どんな工夫があったのか、保育士の確保を急ぐ現場を取材しました。
ベビー保育園瑞江
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東京・江戸川区にある輝きベビー保育園瑞江。
子供を預けに来たお母さんがそのまま奥の部屋に入っていき着替えを始めました。
この園で保育士として働いています。
この保育園では7人の保育士のうち3人が自分の子供を預けながら働く子連れ保育士なのです。
保育料4万3,000円に対し、子連れ保育士には1万円の補助が出ています。
子連れ保育士の山下茜さん、
自分の子供を他の人に預けて、自分は他の人の子供を保育することになんとなく違和感・抵抗感があった。自分の子供が成長していく姿を間近で見ながら好きな仕事もできるのは最高の環境。
この保育園では他にも通常、紙の連絡帳で行われている保護者との連絡をアプリを使って効率化したり、保育士の残業につながる掲示物や飾り付けを最低限にするなど働きやすくする工夫がされています。
FunTre株式会社
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この保育園を設立したWebコンサルティング会社のFunTre(ファントレ)。
取締役を務める赤松卓人さん、子供を持つ従業員のために地域住民の子供だけでなく従業員の子供も預かる「企業主導型保育所」を作りました。
そのメリットとは?
お金の面でも認可並みの助成がありつつ、決まりのハードルが低い。初めて参入する上でしやすかった。
株式会社ユーフォリアファミリー
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待機児童対策として期待されている企業主導型保育所。
しかし、課題は保育士不足です。
神奈川県で2018年に新たに2つの保育所を開設するユーフォリアファミリーは募集ではなく紹介で保育士を集めようとしていますが…
アロハパレール保育園の高木美緒副園長は、
他の園で働いている方に声を掛けると逆に「うちに来てくれないか」と、保育士を集めるのが、いま大変。
輝きベビー保育園篠崎
こうした中、FunTreは2つ目の保育園「輝きベビー保育園篠崎」の設置を予定しています。
こちらでも子連れ出勤を可能にした他、未経験の保育士の平均的な給与が20万円程度なのに対して、未経験でも23万円、1年以上の経験者は26万円と高めに設定しました。
その結果、10人の保育士の募集に対して37人もの応募がありました。
補助金を活用したり、削れる所を削って、なるべく人件費に充てるようにしたといいます。
園側が出来るのは賃金・働く環境、そこは最低限整えないといけない。なかなか競争が厳しいかなと思っていた。集まったのは正直ホッとしている。
この保育園で採用が決まった保育士の鈴木友美さん。結婚や出産で保育現場を離れていましたが、12年振りに保育士として復帰し1歳4ヶ月の娘を預けながら働く予定です。
子連れで働きたいということと待遇があることを確認して応募した。
鈴木さんのような保育士資格を持ちながら保育士の職に就いていない潜在保育士は年々増えていて、2016年には約86万人とその掘り起こしが急がれます。
賃金も大事だが、残業がないとか、働いた分だけの見返りがあるなど優遇してもらった方が復帰する人は多いと思う。