地域の奮闘する企業をとりあげる「輝く!ニッポンのキラ星」。
マスクを欠かせない日々が続きますが、岐阜市の企業が生んだマスクの効果を高めるという商品がいま医療現場などで活躍しています。
株式会社タナック
[blogcard url="https://www.k-tanac.co.jp/"]
愛知県にある山下病院。
ここであるものが活躍しているといいます。
山下病院の消化器内科、松崎一平統括部長。
飛沫をできるだけ出ないようにするためマスピタを使っている。
これがそのマスピタ。見慣れない形ですが、これでマスクを上から押さえることでマスクと顔の隙間を減らしウイルスの侵入と飛沫の飛散を抑えます。
内視鏡検査にマスピタを使っている。
自分たちで実験した時に普通のマスクだと咳き込むと漏れる。
マスピタを使うと漏れがほとんどない。
柔らかく伸縮するこの素材で優しくマスクを押さえることで隙間によって生まれる空気の漏れは大幅に低減できたという測定結果も。
去年4月の発売後、注文が殺到し、200以上の医療機関や介護施設で使われています。
岐阜市。
ここにマスピタを作っている企業「タナック」が。
1996年に創業したタナック、従業員38人、売上高は11億円です。
創業時からシリコーンを使った美容ヘルスケア商品などを販売しています。
マスピタで使う独自開発の素材がこちら。
タナックの営業開発部、棚橋一将部長。
1000%伸び、ひずみが少ない特徴のクリスタルゲルという素材。
シリコーンではなく柔らかい樹脂でできている。
クリスタルゲルの伸びはなんと10倍以上。
伸ばした後、元の形に戻りやすいことも大きな特徴です。
クリスタルゲルのほかにもタナックの超柔軟素材は意外な所で活躍しています。
型に赤い素材を流し込み、何ができるのでしょうか…
肝切除モデルという肝臓のモデル。
ピンク色に沿って医療機器を使って練習する。
模擬臓器を年間200~300個作っている。
模擬臓器など医療用シミュレーターも主力商品の一つ。
これらは医師による手術の練習や医療機器の試験などで使われています。
参入のきっかけは…
海外の医療機器メーカーから「簡易的なスポンジを使って練習しているが質感が伴っていない」。
クリスタルゲルを使って質感の伴った胃袋を作ってほしいと。
そして2010年、需要拡大を見込んで医療分野に参入。
臓器に限りなく近い質感を目指しましたが…
柔らかいゲルを使って質感を再現するのに非常に苦心した。
大学や公的機関と共同開発をして、まずは数値化を試みた。
そしてタナックは1億円をかけ、皮膚のしわの深さや弾力性を測って数値化するなどのさまざまな最新機器を揃えました。
そしてそれらのデータを活用し、人体の質感を再現することに成功したのです。
取引先企業はおよそ150社。
医療用シミュレーターでは国内7割のシェアを誇ります。
さらに…
岐阜大学と共同研究した獣医師が練習するシミュレーター。
医療行為の向上に役立ってほしい。
背骨を痛めた犬の手術など獣医師向けのシミュレーターにも参入。ビジネスの幅は広がり続けています。
大学だけでなく周辺の企業も巻き込み「メイドイン岐阜」で地方から日本や海外でも通用する社会貢献できる商品を作っていきたい。