株式会社日本戸建管理
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大阪・泉南市のとある住宅地。
20代の夫婦、一戸建てを購入し契約したその足でやってきました。
マイホームです。
めっちゃいいやん。
結構明るい。
2階建ての4LDK、築12年の中古物件です。
新築も考えたけど、やっぱり安さ。
念願の我が家ですが、ある不安も…。
目に見えない所の傷が心配、家の傾きも。今ないと言われているけどシロアリも。
一見、きれいな家、しかし中古住宅はどのように手入れされてきたか、正確には分かりません。
家ドック
そこに1人の男性が訪れました。
不動産屋が紹介してくれた株式会社日本戸建管理の井上貴博さん(32歳)です。
年に1回、人間の健康診断のように住宅も健康診断を受けましょう。適切なメンテナンスを適切な時期に行う判断材料にしてもらう。
井上貴博さんが案内しているのは、これまでになかった戸建住宅の手入れの仕組み。
月額1,000円の会費を払うと今後、年に1度専門家による住宅の点検や診断などが受けられます。
「家ドック」というサービスです。
亀裂だったら分かるけど水漏れとか、小さな漏れだと分からない。素人判断では。
そこをプロが見る。湿気の感じとか。
定期点検してもらえるのはありがたい。
中古の家ということで、今後に不安を持っていたご主人、契約をしてくれました。
株式会社創建
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このサービスを手掛けるのが大阪の株式会社創建。
中堅の不動産会社です。
「家ドック」を考案したのが吉村孝文会長。
マンションやビルには管理会社があるが一戸建てにはない。家を買った不動産屋がなくなる、建てた工務店がなくなるケースが多い。そういう時に、どこに行っていいのか分からない。
そこでグループ内に株式会社日本戸建管理を設立。
2年前のサービス開始以来、「家ドック」の会員数は約1,000人に増えました。
その中心となっていたのが井上貴博さん。
現状の一戸建ての評価の仕方に疑問を抱いていました。
20年、30年で戸建ての価値がなくなるのはおかしい。維持管理してきた家とそうでない家で明確に建物の価値が評価されていく世の中にしたい。
菊池浩一さん
東京・大田区。
「家ドック」の会員の住宅があります。
菊池浩一さん(69歳)はサービス開始直後から利用しています。
この日は「家ドック」2年目の点検です。
株式会社日本戸建管理から派遣された建築士が点検に当たります。
菊池浩一さんの家は築32年の鉄筋コンクリート造り。
屋上に上がってみると
水が溜まっちゃっている。隙間から入った水で防水層が浮いてしまって中に水が溜まっている状態。
去年の点検では問題がなかった場所。そこに大きな膨らみがあります。
約4時間かけ、400ヶ所以上を見ていきます。
それぞれの状態をチェック表に記入し、次々に写真で記録を残します。
5日後、建築士が問題ありとした箇所を分析した結果を持って井上貴博さんがやって来ました。
全ての点検箇所が3段階で判定されます。
「A」は良好な状態、「B」は要経過観察、「C」は早急な修繕を推奨。
キッチンですね。「床鳴り」ですね。
キッチンの床から音が、湿気で木の部分が腐っている可能性があり「B」判定です。
経過観察ですので大きな支障はないと思います。
そして屋上の膨らみは、やはり「C」判定。修繕が必要です。
家主の菊池浩一さんは、このサービスが家の価値を守るために便利だといいます。
できるところから修繕をやっていく。最終的にちゃんと家が保てる。子供たちに、ここを使ってもらえるよう保存して譲り渡したい。
株式会社マルティックス山陽
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しかし、井上貴博さんの前に大きな壁が…
全国の半分以上がサービスの空白地帯なのです。
岡山市、これまでにない戸建住宅のサービスを全国に広げようとしている井上貴博さん。
訪れたのは建築資材の販売会社、株式会社マルティックス山陽。
彼らの取引先である工務店に「家ドック」を売り込んでもらいたいと考えていました。
お客様のところへ顔を出して、御用聞きのようなかたちで。
ところが、
大阪や東京だったら家が近くにあって回れる率が高いが、地方都市だったら移動に時間がかかる。
地方は広すぎて1軒づつ営業に回ると採算が合わないという指摘です。
井上貴博さん、懸命に説明しますが…
それじゃ、長続きしないと思う。
結局、この日は取引先を紹介してもらうことができませんでした。
提携で取引先に、どういうメリットがあるか、地域で違いがあるので、そこを勉強していかないと。
新たなアイデア
大阪のオフィスに戻った井上貴博さん、デスクで黙々と調べ物をしています。
これはプロパンガスの法定点検のガイドブック。
井上貴博さん、新たなアイデアを考えていました。
それが大きな可能性を秘めていたのです。
イーアンドイー株式会社
8月16日、高知市。
「家ドック」を手掛ける株式会社日本戸建管理。
井上貴博さんは上司とともに商談にやって来ました。
訪ねた先は高知有数のプロパンガスの販売会社、イーアンドイー株式会社。
四国は「家ドック」の空白地帯。
会員の獲得を狙って高知に拠点を置くため、イーアンドイー株式会社に提携を持ちかけに来ました。
戸建てにプロパンガスを供給しているのは何世帯くらい?
4,000世帯。
会員獲得のチャンス。
井上貴博さんの調べ物から生まれたアイデアを吉村卓也さんがぶつけます。
ガスの点検員が戸建て管理の点検もできれば。
単にガス設備の点検だけでなく、同時に「家ドック」の点検もできれば効率的で、顧客へのサービスになるとメリットを説明。
井上貴博さんも畳み掛けます。
困っているお客様の受け皿を、高知で御社に担っていただければ。
相手の反応は
エネルギーも自由化になって時代の流れが変わっていく。お客様といかに長く付き合えるか、新規の開拓に「家ドック」を利用できたら。
新たな事業の拡大に魅力を感じた様子です。
今後、提携していくことが決まりました。
こうして空白地帯がひとつ埋まりました。
将来、「家ドック」のサービが広まれば、一戸建ての市場は新たな展開を見せるかもしれません。
これからは長く使うことを前提に、しっかりとした建物を建てていく。住宅の履歴を残して評価していく社会にしていきたい。
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