マンションなどの配管が古くなると発生する赤サビ。
いま全国で老朽化したマンションが増えていて今後、この赤サビが大きな問題になるのではないとかと見られています。
そんな中、ある中小企業が独自の技術でこの問題に挑んでいます。
その現場を取材しました。
赤サビ
東京・世田谷区にある築12年のマンション。
廊下で何やら作業が始まろうとしていました。
マンションのオーナー、稲山勝久さんが見守る中、検査員は、
配管の中をチェックします。
取り出したのは内視鏡。配管の中を覗いていくと何かあったようです…。
すき間の部分から赤サビが発生している。
赤サビが見つかりました。わずかに色が濃い部分だといいます。
赤サビは配管の鉄に水と酸素が酸化反応して生まれます。
放っておくとそのサビが溶けて配管に穴が空きかねません。
オーナーの稲山さんは、
初期なので少ないとはいえ赤サビを見るのは気持ちいいものではない。さらに築年数を重ねるとともに悪化する状況は避けたい。
対策のため呼ばれたのは日本システム企画の長谷中洋輔さん。抱えている箱には切り札となる装置が入っています。
この装置を通過した水は赤サビの進行を止める。

赤サビを食い止めるという装置「NMRパイプテクター」、配管を挟み込むように取り付けるだけで赤サビの増加が止まるといいます。
一体何故か?
NMRパイプテクター
水の分子は酸素の原子と2つの水素の原子でできています。
その水の分子がたくさん集まり固まりとなって水を作り上げています。
NMRパイプテクターを取り付けた配管を水が流れると、装置から出る電磁波によって水分子の固まりが細かく分かれ、その時に中から電子が飛び出します。
この電子が赤サビに反応して黒サビに変えるといいます。
その黒サビの特徴は水に溶けにくいこと。
赤サビと黒サビを水の中で2分間かき混ぜてみると、黒サビの方だけ水の色が変わりません。溶けていないのです。
また非常に硬いため「南部鉄瓶」など鉄製品のコーティングにも使われています。
硬く溶けない黒サビに変えることで配管の寿命は40年ほど伸びるといいます。
これまで赤サビが発生した配管は取り替えるしかありませんでしたが、この装置を使えば費用は5分の1から10分の1程度まで抑えられるといいます。
実はこの装置、世界で売れています。
築300年以上、イギリス・バッキンガム宮殿の給湯管や大英博物館にも使われるなど世界的に注目されています。
日本システム企画株式会社
[blogcard url="http://www.jspkk.co.jp/index.html"]
NMRパイプテクターを開発した日本システム企画の熊野活行社長。
全く新しい展開を考えていました。
この水を喜んで使ってもらえるところはもっと広がる。
株式会社みつヴィレッジ
[blogcard url="http://www.mitsu-village.com/"]
活用の場を広げる試みはすでに始まっていました。
この日、長谷中さんが向かった先は兵庫県姫路市にあるビニールハウスです。
なんと新たな活用の場は農業でした。
ビニールハウスに水を送る配管には赤サビ防止装置「NMRパイプテクター」が取り付けられています。
電磁波の作用で凝集(水分子の固まり)が小さくなる。固まりが小さいと植物にとって吸収しやすい。
長谷中さんたちが目を付けたのは装置で水分子の固まりを小さくできる点。
その水は植物に浸透しやすくなるため、作物がよく育つといいます。
この農園では2年前から装置を使ったトマト栽培の実証実験を行っています。
こちらが装置をつけたトマト。奥がつけていないトマト。それぞれの収穫量を見ている。
実際、比べてみると通常通り育てたトマトと装置を使って育てたトマトでは16グラムの差がつきました。
これまでの検証では装置を使うことで収穫量は通常より7%増えたといいます。
長谷中さんは、
「水」という一点を突き詰めるといろんな可能性がある。信頼度の高いデータを蓄積できれば日本の農業全体に貢献できる技術になる。