新型コロナウイルスの影響が様々なところで出ていますが、その中でも利用者が落ち込んで極めて厳しい状況に陥っているのが鉄道業界。
JR東日本では2020年3月期は4,180億円の最終赤字を見込んでいます。これは民営化後最大の赤字です。
こういた状況の中、どのような立て直し戦略や成長戦略を考えているか、この点を取材してきました。
JR東日本:東日本旅客鉄道株式会社
[blogcard url="https://www.jreast.co.jp/"]
国内最大の鉄道会社「JR東日本」。
新型コロナにより民営化後、最大の危機に直面しています。
深澤祐二社長に現在置かれている状況を尋ねました。
人工の減少、インバウンドの増加という中で一定の期間をかけて変えていこうと思っていた。
ところがその10年後の姿が目の前に今年現れてしまった。
お客様が誰もいない駅、お客様が誰も乗っていない鉄道。
コストダウン、投資の見直しをしていくのは当然。
逆に次の生活スタイル、次の時代が早く訪れたということ。
鉄道以外のビジネスを様々な融合によって運輸:非運輸の売上比率5:5を目指す。(※現在は7:3)
既存の計画を大胆に見直すと強調する深澤社長。
自らの基盤である駅や路線といった空間に様々な価値を付加することで鉄道事業以外の収益を拡大できると考えています。
「資産の売却・人員の削減は?」
資産をスリム化していく中で当然売却もひとつの方法。
駅の空間をどういう形で使うか。
これからデジタル化、チケットレス化、モバイル化を進めていけば駅空間そのものが大きく変わっていく。
顧客が駅に来て楽しくなるようなものを作っていく。
資産をうまく活用していく。今までとは違う形で活用していく。
株式会社VILLAGE INC
[blogcard url="https://villageinc.jp/"]
鉄道事業以外の収益をいかに高めるか、JR東日本の模索が始まっていました。
JR上越線の土合駅。
駅員のいない無人駅。
モグラ駅としても有名。
JR東日本とスタートアップ企業が組んだ新しい取り組み。
486段の階段を登り、無人改札を抜けると、迎えてくれたのはアウトドアベンチャー「ヴィレッジインク」の橋村和徳社長です。
早速、無人駅を使った取り組みを見せてもらいました。
インスタントハウスという仮設のテント。
このグランピング施設はJR東日本とヴィレッジインク、それにJR東日本スタートアップの3社が組んで立ち上げました。
JR東日本にとっては無人駅の活用で地方創生につなげ、人を集めようとの狙いがあります。
駅構内にはかつての駅務室を改装したカフェ「駅茶mogura」も。
今月14日にオープン。
この冬、300組以上の利用客を見込んでいます。
ここで新しいビジネスを創出することによって本当の意味での地域のハブステーション。
二次交通を組み合わせていくことで旅行者だけじゃなく、地元の人にも楽しんでもらえる交流拠点。
アップデートしていきたい。
株式会社紀ノ國屋
[blogcard url="https://www.e-kinokuniya.com/"]
地方創生とともにJR東日本は新たな生活スタイルに合わせた最先端技術の導入を進めています。
無人で決済が行える店舗が先月、目白駅の改札を出たすぐそばにオープンしました。
JR東日本にとっては高輪ゲートウェイ駅に続く2店目。
システムはJR東日本スタートアップから独立したタッチトゥゴーが開発しました。
紀ノ國屋の堤口貴子社長、
コロナの中で接点を持ちたくないという顧客もいる。
そういう顧客がこういう店をどう評価してくれるか。
JR東日本スタートアップの一員であり、タッチトゥゴーの社長である阿久津智紀さん。
今回のコロナ禍もそうだが不確実性が高い世界。
将来どんなサービスが広がっているか分からない。
鉄道や不動産のビジネスが根幹から揺らいでいる。
いろんなことにチャレンジすることが重要。
実際にオープンしていかないと問題点は見えてこない。
問題点に対する柔軟な対応がスタートアップ企業は得意。
私たちの文化そのものを変える力になっている。
とりあえずやってみる。
ジェイアール東日本商業開発株式会社
JR東日本グループがスタートアップ企業にアピールするイベント。
この日のイベントは駅ビルの運営面で現状抱えている課題について参加したスタートアップ企業から問題解決のアイデアを提案してもらう目的で開かれました。
駅ビルの価値を最大限に高めるため外部の視点を入れようというのです。
スタートアップ企業からはおよそ100人が参加しました。
ジェイアール東日本商業開発株式会社の営業開発部長、藤間勉さん、
新しいサービスの仕方、床(駅ビル施設)に頼らないビジネスを模索。
われわれはもう5年くらいかけていろいろなチャレンジをしようと思っていたが、もっと前倒しして試してみるということが顧客に価値を提供できるチャンス。
スタートアップ企業側にラブコールを送るのが趣旨。
コロナ禍において環境が激変。
ビジネスチャンスはスタートアップ企業にどんどん増える。
新型コロナは図らずもJR東日本の新領域分野での動きを加速させています。
深澤社長は人材の配置やスピード感、そして社内の意識などあらゆる面で経験したことのない取り組みを進めていると強調します。
スタートアップ企業はそれぞれの分野で全く違った発想を持って、世の中を変えていきたい、世の中をよくしていきたいという熱意を感じる。
「コロナは大きく会社自体が変わるいいタイミングだと思う?」
半分はそんなこといっている場合じゃない。
非常に大きなチャンスだと思っている。
われわれ自身を変えていくチャンス。
今年度非常に大幅な赤字を出すが経営体質を抜本的に強化するような取り組み。
来年度は黒字にする。