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[WBS] 自動車「走った距離で」課税?なぜ今「大転換」への議論開始か!?

2018年12月4日

ワールドビジネスサテライト(WBS)

皆さんは自動車を買うといくら税金を支払うことになるのかご存知ですか?

例えば1,800ccの新車を180万円で買った場合、最初の1年間でいくら支払うことになるかというと…

まず購入時に支払う自動車取得税が4万8,600円。

車検時などに支払う自動車重量税が3万6,900円。

さらに年に1回、排気量に応じて支払う自動車税が3万9,500円。

ガソリン関連の税など、ざっと計算しただけでおよそ18万円に上ります。

この他にも消費税などもかかってきます。

自動車に掛かる税は複雑ですが、政府与党は今こうした税の仕組みを整理して走った距離に応じて支払う仕組みの検討を始めました。

自由民主党

[blogcard url="https://www.jimin.jp/"]

税制調査会の幹部が集まっています。

11月4日から難航している自動車の税の議論が本格化します。

自民党で非公開で2時間にわたり行われた会議。

車を持つ人に毎年課税される自動車税について話し合われました。

目指すのは抜本的な見直しです。

額賀福志郎元財務大臣

どういった方向に進むのか、議論を取り仕切る額賀福志郎元財務大臣がテレビ東京の単独インタビューに応じました。

自動車は道路を走ると道路を傷める。

「走行税」的な自動車が走っている距離、そういったところも補っていかなければならない。

現在、自動車税の額は所有する車の排気量に応じて決められています。

高級車一般的な乗用車小型車軽自動車
3,500cc1,500cc1,000cc660cc
5万8,000円/年3万4,500円/年2万9,500円/年1万800円/年

しかし、それを走行する距離に応じて課税をする仕組みに変えようというのです。

走れば走るほど負担が大きくなることになります。

抜本的な見直しの背景にあるのが税収の落ち込みです。

カーシェアの普及で自動車を持つ人が減ることに加え、EVが増えれば排気量に応じた税収が大きく減ると予想されているからです。

これからは所有より利用する、活用する、そういうところに税の比重が移っていく。

自民党は2020年以降の走行距離課税の導入を目指し、今月中旬にまとめる与党税制改正大綱に方針を盛り込みたい考えです。

街の声

こうした動きを利用者はどう見ているのでしょうか?

生活に車が欠かせない地方では…

愛知県みよし市の30代の主婦は、

税金の安さから軽自動車を選んだけど、今後普通車に変えたりとかも検討していこうかなと思う。

愛知県みよし市の20代の女性は、

この地区の人は大きく影響を受けることだと思う。

走行距離が多いほうが税金を取られるとなるとちょっとつらい。

一方、都心部に住む人は…

東京都港区の30代夫・20台妻は、

嫁は乗らないのでそうなると家計的に助かる。

東京都港区の20代男性は、

持っているだけで税金がかかるよりは乗る人から取るというのは。

吉田運輸株式会社

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長距離走行を生業とする会社では距離に応じた課税は不安の種となっています。

吉田運輸の吉田勝治常務は、

われわれの業界にとっては何を言い出したのかという感じ。

ありえないと思っている。

埼玉県所沢市に拠点を置く吉田運輸。

首都圏を中心に毎日20台のトラックで運送作業を行っています。

少ない車で毎月4,000km、多い車は8,000kmくらい走る。

政府与党が検討している距離に応じた課税について常務の吉田さんは、

初めてテレビのニュースで見たときは、われわれの業界は関係ないだろう、適応されないだろうと思った。

運送会社は走らなければ売上が出ない。

昨年度の決算では売上げから総費用を引いた経常損益はマイナスと経営はギリギリの状態。

そのため無駄な出費を抑える工夫が欠かせないといいます。

例えばドライバーの燃料使用量や走行距離、燃費について毎月記録することでコスト意識の改善につなげています。

ほかにこんな工夫も…

エンジンオイルを定期的に交換。それを自社でやっている。

常務自らトラックを整備しているのです。

どうしても利益を出しにくいので、いまは存続をかけて、やれることは全て自社でやっている。

人手不足も深刻な中での苦しい経営。

走行距離に応じた課税がさらなる追い打ちになるのではと不安を口にします。

決まってしまえば従わざるを得ない。

従うしかないが基本的にはありえないだろうと思っている。

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