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[WBS]米中摩擦の裏で…中国タイヤが瀑売れ!?[ジーチータイヤ]

2021年1月28日

ワールドビジネスサテライト(WBS)

こちらをご覧ください。これは2013年、北京で行われた中国の習近平国家主席とアメリカのオバマ政権で当時、副大統領だったバイデン氏の会談の映像です。双方厳しい面持ちでした。

そして、そのバイデン氏が大統領に就任して1週間、米中の貿易摩擦は今後どうなっていくのでしょうか?

トランプ政権時代に制裁の対象となり影響を受けたのが中国が世界一の生産量を誇るタイヤです。そのタイヤをめぐり今、意外な事態が起きていました。

ジーチータイヤ

東南アジアと国境を接する中国・雲南省。観光名所、金の仏像のふもとでは…

北京支局の山口博之記者、

こちらのホテルの大ホールでは同じ服を着た人たちが一堂に会しパーティーを開いています。

プロの歌に踊りと中国の旧正月を前にタイヤメーカーの忘年会が開かれていました。売上が好調で会社が負担する社員旅行も兼ねています。

今年もタイヤを売りまくろう!

優秀な社員の表彰式も行われました。

顧客を開拓して賞をもらった。売上げもどんどん伸びている。

コロナの影響は最初の2ヵ月だけ。業績は1年前に比べて倍増した。

私たちの生産能力を超えるほどの予約注文が入っている。

ジーチータイヤはすごい!万歳!

新型コロナもどこ吹く風。旅行には家族も帯同と太っ腹です。

そんな彼らの拠点は中国中部の安徽省。

こちらがタイヤメーカー「ジーチー」の本社工場です。

工場の外に数え切れないほどのタイヤが溢れかえっています。ずっと向こうまで続いています。

実はこのタイヤ、全て輸出用の在庫。業績好調というのにどういうことなのか。

ジーチーの蘭超さん、

コロナの影響で輸出用のコンテナが中国に戻らない。

コンテナ不足で輸送費が高くなり輸出できない。

現在、タイヤ企業はすべて国内市場に注力している。

ジーチーは以前、アメリカ向けに大半のタイヤを輸出していましたが現在はストップ。

米中貿易摩擦でアメリカが中国製タイヤに対して最大25%の制裁関税を課したためです。

そして去年、中国は国の方針を大転換。習主席は輸出主導から国内市場重視を打ち出したのです。

245時間フル稼働で倉庫など含め工場を拡大する。

国の方針通り、コロナ前から従業員を200人以上増やし、設備投資を断行。

すると中国の新車販売台数も世界に先駆けて回復しました。

コロナの感染リスクが低いと車移動が増え、消耗品のタイヤ需要も高まったためです。

中国にはブリジストンやミシュランなど世界有数のタイヤメーカーも生産拠点を置きますがアメリカ向けの輸出は半減。今や業界全体が中国国内の市場重視に切り替えています。

それを象徴するタイヤ博物館なるものも。

入り口を入ってすぐ上には「タイヤの都」のライトアップ。

残念ながら来館者は見当たりませんでしたが、そこにも…

世界のタイヤは中国を見ている。

タイヤに使うゴムの消費量も世界トップを走る中国ですが、異変が起きました。

ここにあるのは原材料。ゴムの比率を調整する。

去年は天然ゴムの価格が高く、合成ゴムの比率を引き上げた。

工場に山積みされた黒いこちらが天然ゴム。

去年、天然ゴムの主な生産国、タイなど天候不順や新型コロナが直撃しました。そのため天然ゴムの生産量は減り、価格が高騰したのです。

そこでこの工場では天然ゴムを減らし、白いこちらの合成ゴムの比率を高めることを決断。そこに貿易摩擦の相手、アメリカが大きく影響しました。

合成ゴムの原料は石油から作られる。

アメリカは原油の輸出大国だったがシェールオイルの輸出国に変わった。

アメリカからの原油の輸入量は1年で3倍に急増。さらに原油安の恩恵も。

その背景が米中の合意。中国がアメリカからの購入額を増やす中に原油も含まれていました。

原油供給が安定すれば合成ゴムも問題ない。

中国のタイヤ工場にとってとても大きなメリットだ。

米中摩擦の裏でも成長につなげる中国のしたたかさがありました。

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