株式会社JERA
[blogcard url="http://www.jera.co.jp/"]
新潟県上越市にある上越火力発電所。
この船着き場にゆっくりと近付いてきたのは一隻の巨大なタンカー。全長約300メートル。このタンカーが積んでいるのはアメリカ・ルイジアナ産のシェールガスから作ったLNG(液化天然ガス)です。
アメリカのシェールガスが日本に輸入されたのはこれが初めてです。
株式会社JERAの佐藤裕紀執行役員は、
アメリカで起きた「シェールガス革命」の効果を1日も早く日本にという観点で取り組んできた。それが今朝、実現した。非常に感慨深い。
今回、輸入に踏み切ったのは東京電力フュエル&パワー株式会社と中部電力株式会社の出資によって設立された企業「株式会社JERA」です。
世界最大のLNG(液化天然ガス)輸入国である日本の調達先の一つにアメリカがなる。
2016年6月、パナマ運河の拡張工事が終わり、より大型のタンカーが航行できるようになったことも輸入を後押ししました。
初回の約7万トンは中部電力株式会社の上越火力発電所で発電用の燃料として使用されますが、今後は東京電力フュエル&パワー株式会社管内の火力発電所への受け入れも予定していて1年半で合計70万トンを輸入するとしています。
シェールガス
シェールガスとは従来の天然ガスより深いシェール層と呼ばれる地層に滞留するガスです。
2006年以降、アメリカで掘削技術の向上などにより生産が本格化。これにより天然ガスの輸入国だったアメリカは、逆に輸出国となり世界のガス市場に変革をもたらしました。
実はこのシェールガスの生産増加はトランプ次期大統領が積極的に打ち出そうとしている政策に一つなのです。
トランプ次期大統領は、
雇用減少の原因となっているシェールガスやクリーン・コール等のアメリカにおけるエネルギー生産に関する規制を撤廃する。これにより数百万人分の高給な雇用が生まれる。
トランプ次期大統領はアメリカ国内でエネルギー資源を安く使えれば電気代やガス代が下がり、アメリカ企業の生産拠点を国内に取り戻せるとしてシェールガスやオイルの採掘に積極姿勢を見せています。
環境悪化の懸念から採掘の地域を限定するなど規制を強化したオバマ大統領とは真逆の政策です。
株式会社JERAの佐藤裕紀執行役員に「トランプ次期大統領のシェールガス政策への期待は?」と聞いてみると、
アメリカのシェールガス開発は今までよりドライブがかかるのでは。アメリカから輸出されると供給力が飛躍的に増える。供給力が増えれば経済的なメリットは消費者に帰属する。
Cheniere Energy(シェニエール・エナジー)
[blogcard url="http://cheniere.com/"]
アメリカ南部、テキサス州とルイジアナ州との境、トランプ次期大統領が積極的に後押しするシェールガスの現場はどうなっているのか?
車で走るとシェールガスやオイルのプラントが次々に見えてきます。
そして突如現れた巨大なタンク。アメリカの大手エネルギー企業「シェニエール・エナジー」のLNG用の大型プロジェクトです。
今朝、新潟県に入ってきたシェールガスの製造元です。
約400万平方メートル、東京ドーム約86個分の敷地の中でシェールガスを冷却しLNGにする液化設備が稼働中。
シェニエール・エナジーではさらに体制を増強する考えで新たな液化設備を建設中です。
シェニエール・エナジーの経営幹部はトランプ次期大統領について、「実際の政策がどうなるか見極める」との姿勢を示しつつも今後に期待をにじましました。
フェイゲン上級副社長は、
シェールガス生産の復活に向けアメリカ政府は後押しを続けてくれるはずだ。エネルギー業界にとって順調な船出となるのではないか。
RIETI(独立行政法人経済産業研究所)
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独立行政法人経済産業研究所の藤和彦上席研究員。トランプ次期大統領が進めるシェールガスの増産によってアメリカがエネルギーを自国でまかなうことができれば中東への関心を失うと指摘します。
トランプ次期大統領の場合ははっきり物を言う性格上、アメリカが初めて名実ともに中東に対して関与を減らしていくということで大きく国際社会が変動するのではないか。
そうすれば日本への影響は避けられません。
日本は石油の8割以上を中東に依存しているので、今度来る石油危機は供給途絶のリスクがある。そういう懸念を抱いている。