いま究極の個人データといわれているのが人の顔です。
それを取得するのが顔認証システムですが、進化する一方で危うさも浮き彫りになっています。
顔認証
いまや空港の出入国も顔パスの時代に。
顔写真を撮り、パスポートと照合、わずか数十秒、後は無人ゲートを通過するだけ。
イベント会場などではセキュリティーチェックに使われています。
ほかにもオフィスや、スマホのロック解除から決済の承認まで。
JapanTaxi株式会社
[blogcard url="https://japantaxi.co.jp/"]
溢れる顔認証は気付かぬ間に意外なところでも…
タクシーの後部座席で流れるタブレット広告です。
まず始めに「フロントカメラによる顔画像識別によってお客様の性別を推定し、最適なコンテンツを配信します」という告知が表示されます。
その仕組みはカメラで顔画像を識別し、年令や性別などに合わせて広告を流すというものです。
利用者は…
気がつかなかった。
あまり良い気持ちはしない。
嫌というわけではない。
何も言わずに撮られているのはちょっと嫌。
休憩中の運転手が匿名を条件に事情を教えてくれました。
10人中8人はそのまま見て、2人は画面を消す。
理由は個人情報のこと。
さらに別の運転手は、
「なぜ消すのか?」
顔写真を撮られて、毎回同じようなコマーシャルが出てくるから。
タクシーの顔認証システムを運営するのがジャパンタクシー。
顔認証のお客様への周知が不十分だったと異例の2度に渡る行政指導を受けました。
しかし顔認証による個人データがいつどう使われているのか気づくのは難しい。
大盛堂商事株式会社
[blogcard url="http://taiseido.co.jp/"]
データの集積地、東京・渋谷。
センター街の入り口にあるのが明治創業の大盛堂書店です。
店内の至るところに防犯カメラが。
長らく万引きの被害に悩まされてきたといいます。
大盛堂書店の船坂良雄社長、
138万円くらいとられた、去年1年で。
そこで今年から取り入れたのがカメラを使った顔認証システムです。
グローリー株式会社
[blogcard url="https://www.glory.co.jp/"]
開発したのは金融機関のシステムなども手掛けるグローリー。
指紋など数ある生体認証。
顔認証の利点は?
生体・画像認識販売企画部の越智康雄部長、
私どものシステムで画像を先ほど撮った。
オフィスに入る前、スタンバイ中の取材スタッフ全員の顔データを取得していました。
このシステムでは過去に万引きをした人などの顔情報とその属性をシステムに登録。
例えば「盗難(常習)」、国籍は「日本」と選択するだけ。
店にとってケアしないといけない方はあらかじめ項目を用意している。
来店したお客様の中で要注意人物として登録されれば顔認証で徹底的にマークされるのです。
認証率は99.9%。
そこで顔情報を登録した高島嘉成記者がマスクとメガネをつけてみたところ…
顔の見えている部分だけに重点を置いて判別します。
さらに情報の流出対策についても万全だといいます。
全ての情報が文字列。
グローリーの顔認証システムに入らなければ画像データを開くことはできないといいます。
その顔認証システムは同じく渋谷にある啓文堂書店と大手の丸善ジュンク堂書店を入れた3店舗でデータベースを共同で構築しています。
それにより個人書店がビッグデータの恩恵に預かっていました。
全国の書店での万引き被害額は年間200億円以上。まさに死活問題。
この本をとりに1人が2日間来ていた。
顔認証を入れていなければおそらくとられていた。
個人データを収集するという告知義務はあるものの、すでに防犯の粋を超えつつある顔認証社会。
専門家は情報管理の重要性を唱えています。
慶応大学の山本龍彦教授、
過去の前科が民間事業者のデータベースの中に残っていく。
「スティグマ」、烙印が押され、その人の人生につきまとっていく。
登録、個人情報の適切さを保つのが重要。