ジャパンキャビア株式会社
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宮崎県の南部に位置する日南市。
山間部にある施設があります。実はチョウザメの養殖場です。
チョウザメの卵を塩漬けにしたのがキャビアです。宮崎県は日本一のキャビアの生産地でもあります。
県内にあるチョウザメの養殖場は15ヶ所。その中で最大規模の養殖場を経営する濱中章輔さん(73歳)。
濱中章輔さん、いま何をしているかというと、
入っとるがな。
チョウザメの腹にエコーを当てて卵が入っているか確認しているのです。
さらに専用の器具で直接卵を取ります。直径3ミリ以上の大きさまで育っていました。
このチョウザメは11年くらい。
チョウザメが卵を持つまでには短いもので6年、長いものでは10年以上。
現在、5,000匹以上養殖する濱中章輔さん。年間1,000万円もの維持費が掛かるといいます。
そんな宮崎のキャビアを一手に販売するのがジャパンキャビア株式会社の坂元基雄社長(55歳)。
10年とか長い年月をかけて生産者が手塩にかけて育てているキャビア。
台風、大雨が降った時の管理が大変。一晩中ここで管理している。
キャビアの製造現場
坂元基雄社長がある場所へ案内してくれました。
一体何が始まるのか?
自分でやる。自分でやらないと満足できないので。
キャビアの製造現場を特別に見せてくれるといいます。
坂元基雄社長自らチョウザメの卵を取り出します。1匹から2.5キロ取れました。
その卵を潰さないように丁寧に金網で濾して一粒一粒分離させます。
次はこんな工程、
潰れているもの。
見た目や味に影響が出るため、潰れた卵や不純物はピンセットで除去します。
卵で個体差があって味が違う。もうちょっと塩をきかせないとおいしくならないなと。
卵の大きさによって混ぜ合わせる岩塩の加減や熟成期間を微妙に変え旨みを引き出していきます。
こうした製造方法は海外に視察に行っても決して教えてくれませんでした。試行錯誤を繰り返し独自の方法を編み出したのです。
最後に5ヶ月ほど熟成させたキャビアを瓶詰め。ここでもピンセットで潰れたものを取り除くなど見た目が美しくなるように整えます。
1983年から30年かけて、ようやく完成した「宮崎キャビア1983」。
坂元基雄社長、このキャビアで大胆な挑戦を考えていました。
日本を代表するキャビアメーカーにしていこうと。来年に向けて海外輸出をしていこうと考えている。
宮崎産のキャビアで世界に打って出ることにしたのです。
そのために2016年11月、新たな加工場を建設しました。
そこには驚きの仕掛けが詰まっていました。
加工場
県内に15ヶ所のチョウザメ養殖場があり、日本一の生産量を誇る宮崎のキャビア。
世界進出のため新たに建設した加工場です。
チョウザメの採卵の様子をモニタリングしてデジタル管理ができます。
さらにキャビアを加工する部屋や熟成させる冷蔵庫などの温度をリアルタイムで把握。1分毎に送信されてきます。
そして魚体識別番号。チョウザメの種類や卵の大きさは一律ではないため採卵した時点で1匹ごとに番号を付けます。
出荷する瓶の底にはこうした情報を盛り込んだQRコードを貼り付けます。
チョウザメ1匹にQRコードを付けて受け入れから製品ができるまでの流れをずっと追いかけていく。最初から最後までのトレース(追跡)がしっかりできるシステムになっている。
国際ルールに従った日本で初めてのシステム。これにより宮崎産の海外輸出が可能になったのです。
坂元基雄社長
元々、建設会社に勤めていた坂元基雄社長。
キャビアの製造に魅力を感じ8年前に転職しました。
今まで日本でキャビアが作れるなんて聞いたことがない。調べると宮崎の水産試験場しか稚魚をつくる技術を持っていない。日本一の産業を興すことができる可能性を感じた。
新しキャビア
この日初めて新しい加工場にやってきたのはチョウザメ生産者の濱中章輔さん。
立派なチョウザメ。
濱中章輔さんが育てた良質なチョウザメを使い、坂元基雄社長はある秘策を考えていました。
世界に打って出るためにこれまでにない旨みの強いキャビアを作ることにしたのです。
現在のキャビアは1種類の岩塩のみで熟成させています。これを一から見直し、全く新しい味を作り出そうとしていました。
いい味だと思うんだけど、実際に熟成させてみないと分からない。
世界を相手に戦うためにはインパクトがあって余韻の長い旨味を出したい。
悩んだ末、坂元基雄社長が向かった先は、予約することすら困難な和食の店。
何をしようというのでしょうか?
くろぎ
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生産量日本一を誇る宮崎のジャパンキャビア株式会社。
世界進出に向けて旨みの強いキャビアの開発を目指していました。
坂元基雄社長の姿が東京にありました。
海外向けのキャビアがどんな味に仕上がっているのか私自身も楽しみにしている。
試作のキャビアを持って向かったのは東京屈指の人気の和食店「くろぎ」。
いいのできました?
いろいろ作ってきました。
店主の黒木純さんは同郷の宮崎県出身。世界に打って出る宮崎キャビアの味作りに協力を買って出てくれたのです。
持参した試作品の数々をまず食べてもらいます。
熟成させたものは坂元基雄社長もまだ食べていません。
まずはいち押しのものを、「海の塩」を使っています。
素直に食べた感覚だと臭みっぽい味がする。チョウザメの。にがりとかの味、だから入れちゃダメなんだ、海の塩は。
次々と食べてもらいますが、
チョウザメのいやらしさが感じられる。
完成への道のりはまだまだ遠いようです。
宮崎に戻った坂元基雄社長。塩の配分を変えて一からやり直しです。
黒木純さんにも宮崎の加工場に来てもらい一緒にキャビア作りをします。
果たしてその行方は?
そして2017年3月、坂元基雄社長が勝負をかけて乗り込んだのは世界中から美味しいものが集まる美食の街でした。
香港
3月16日、香港。
坂元基雄社長が世界進出の第一歩として選んだのがこの地でした。言わずと知れた食の都。世界各国の美味しい料理が集まっています。
ここで「宮崎キャビア」を試そうというのです。
海外で日本のキャビアがどれだけ評価されるか全く分からないので、本当に怖い。
向かったのはこの街で最も長い歴史と格式を誇るザ・ペニンシュラ香港。
商談相手はフレンチの副総料理長、ルドヴィック・ドゥトーさんです。
まずは加工場でのこだわりの製造工程を説明します。
雑味を取るために全ての不純物を取り除く。
海外向けの宮崎産キャビア。試行錯誤を繰り返した結果、3種類の岩塩をブレンドして熟成しました。
シェフの評価は?
とても色が濃いですね。すごく照りもあるし、とてもきれいです。これは驚いた、うちで使っているのより塩分濃度が低いです。卵も弾力があってプチプチしている。口の中ですぐにクリーミーな味わいが広がりますね。それでいて口の中で長い間うまみを感じることができる。
ありがとうございます。
素晴らしいです。誇りに思ってください。
坂元基雄社長が作ったキャビアは高評価。世界が見えてきました。
一方、人気の高級ホテル「フォーシーズンズホテル香港」。
厨房で使われていたのはあの宮崎キャビアでした。このホテルのフレンチレストランで評価され正式に採用されることが決まったのです。
この日はその記念ベント。
招待客に振る舞われるキャビアのフルコースが用意されていきます。
その頃、壇上には坂元基雄社長の姿が。
本日は宮崎キャビア1983を心行くまでご賞味ください。
全ての料理に添えられたキャビア。お客様はキャビアを食べ慣れている食通ばかり。
強烈な印象が残りました。売っていたら絶対買います。
これまで食べてきたキャビアはとても塩気が強いものが多かったのですが、これはとても優しい味がして他のものとは全く異なります。
34年前、宮崎で始まった日本のキャビア。長年の夢が現実のものになりました。
ここで止まっちゃだめ。もっとみんなを感動させるキャビアを作らないと。原点にかえって、もう一度キャビアのクオリティーを見直して、さらにいいキャビアを作りたい。
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