航空業界で最も重要といっても過言ではない機体の選定ですが、今そこに大きな地殻変動が起きています。
日本の航空市場を二分している日本航空と全日空。
これまで実は両社ともほとんどアメリカのボーイング製の機体を使ってきていました。
ところが日本航空はヨーロッパのエアバス製の機体を導入する方針を初めて打ち出していて、その注目の機体が2月14日に公開されました。
機体の選定から航空会社の戦略の違い見えてきます。
日本航空株式会社
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大浜平太郎キャスター、
機体が見えてきました。日本航空が新しく導入するエアバスの「A350-1000」。
エアバスの最新型旅客機「A350-1000」。全体の53%に炭素繊維を使って軽量化し、燃費を高めています。
日本航空はこのシリーズを2019年度以降、最大で56機導入し、国内外の主要な路線で飛ばすことにしています。
その数は現在保有する機体の約25%にも上ります。
- A350シリーズを最大56機導入
- 現在保有する機体の約25%に
植木義晴社長は、
飛行機は結構お高い。トータルの金額を見てサインする手が震えたことを覚えている。
機体の中に入ってみると
最新のコクピット、タッチパネルが今回多く使われているそうです。キレイですね。
客室は、
エコノミークラスですが天井が高いですね。
さらに大浜キャスターが注目したのがトイレです。
真ん中のパーティションを外すことができてスペースが広い。これは例えば車椅子の人が入った時に車椅子を横において用が足せるとか、あとは付き添いの人も入ることを想定してパーティションを開けられるようになっているそうです。
日本航空としてはエアバスの機体を採用するのは今回が初めて。
老朽化するボーイング777と置き換える計画です。
エアバスも喜びを隠しません。
エアバス・ジャパンのステファン・ジヌー社長は、
長年独占的に他社(ボーイング)が日本で飛行機を売っていたが、今回の出来事で風穴ができた。
植木社長は交渉をこう振り返ります。
当時エアバスの社長に言った。「そもそもボーイングが優位な立場位ある。この飛行機を買うとなればいろいろな準備をしなくてはならない。それも含めてお値段よろしく」と言った。
専門家は今回のエアバスの採用には2010年の日本航空の破綻が大きく影響しているといいます。
航空アナリストの鳥海高太郎さんは、
企業再生して社風が大きく変わったので、経済性などを検討してベストなものを選択できるようになった。今まで起こり得なかったことが起きたと言える。
全日本空輸株式会社
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一方、日本航空と同じくボーイング777を使用する全日空。
そのうち一部の後継機として同じボーイングの777-9Xを導入する計画です。
全日空はエアバスのA350のシリーズは採用しませんでした。
その理由をANAホールディングス経営企画部、吉田秀和副部長は、
777-9Xに魅力を感じるのは客室のスペース。お客様がゆとりを感じられる客室の幅が相当広い。将来的な商品戦略と非常にマッチした機材。
全日空はボーイングの777-9Xを2020年から2030年にかけて20機を導入する予定です。
全日空はグループで使用する約260機のうちエアバスの航空機は6%程度に過ぎません。大半をボーイングの機体が占めています。
その背景に一つには機種を集約する考え方があるといいます。
777-9Xは同じボーイングの787とコクピットが非常に近い設計。乗務員の移行訓練などが非常に効率的にできる。
日本航空と全日空、異なる戦略をとる両社が競争をすることで利用者には選択肢が広がりそうです。
航空アナリストの鳥海高太郎さんは、
機内の空間も含めて両社の個性を出せる。同じ飛行機で近いサービスをしていたのが個性が出るだろう。