先週、WBSは日本原子力研究開発機構が研究を進め、次世代型原発の一つとして注目が集まっている高温ガス炉の内部を取材し、お伝えしました。その原子力機構は9月5日にイギリスの新型原発の開発計画に参加すると発表しました。日本政府が次世代型原発の開発を検討する中、なぜ海外の計画に参加するのでしょうか。
日本「高温ガス炉」の原子力機構!イギリス次世代原発の開発に参加
9月5日に会見を開いた日本原子力研究開発機構。
日本原子力研究開発機構
高速炉・新型炉研究開発部門
角田淳弥研究主席

イギリスにおいては政府として、まず高温ガス炉を推進しているということで。
われわれがこれまで開発してきた高温ガス炉の技術が認められた。
2030年代の初めまでに高温ガス炉の実証炉の建設と運転を目指すイギリス政府。
今回、原子力機構はその事前調査を行う事業者に選ばれました。今後、イギリスの国立原子力研究所などと協力し、原子炉の設計や燃料開発の調査を進め、実現の可能性を検討します。
世界で注目を集める高温ガス炉とはどのようなものか…
WBSは先週、茨城県にある原子力機構の研究施設を単独取材していました。
高温ガス炉は次世代型の原発とされるSMR(小型原子炉)のひとつです。
日本原子力研究開発機構
高温ガス炉研究開発センター
篠﨑正幸副センター長

ここからが原子炉の格納容器。
地下30メートルに設置されているのは原子炉の格納容器です。開発には三菱重工やIHIなども協力しています。
最大の特徴は…
日本原子力研究開発機構
高温ガス炉研究開発センター
篠﨑正幸副センター長

この原子炉は冷却材にヘリウムガスを使っている。
従来の原発は発電や冷却に水を使いますが、高温ガス炉は代わりにヘリウムガスを使用します。原子炉で950度まで熱せられたヘリウムが発電用のタービンを回す仕組みです。水を使わないため水素爆発の危険性がありません。
さらに核燃料を高い耐熱性を持つ素材でコーティングするなど次世代の安全技術が盛り込まれています。
将来的には温められたヘリウムを発電だけではなく、水素の製造にも活用する研究も行われています。
ただ、ここにあるのは研究用の原子炉。発電や水素製造はまだ研究段階で実際には行われていません。
中垣正太郎キャスター
今後、イギリスでどういう検証が可能になるのか?

日本原子力研究開発機構
高速炉・新型炉研究開発部門
角田淳弥研究主席

発電や水素施設をつないで実証炉として実証していく。
われわれができてないようなところをやっていこうと考えている。
イギリスでできた技術を日本に持ち帰ってきて、日本の実証につなげることを目指したい。
次世代型原発について新設の検討を表明した日本政府。先行するイギリスの新設事業に参加する意義について…
松野官房長官

原子力については将来に向けた研究開発や人材育成を国際協力も通じて進めていく。
今回、わが国が有する技術が評価され、英国との協力が進んでいくことを歓迎したい。