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[WBS]世界最大の「鉄道見本市」!激しい競争の中…日本勢は?[株式会社総合車両製作所]

ワールドビジネスサテライト(WBS)

4年ぶりにドイツの首都ベルリンで開催された世界最大の鉄道産業の見本市。いまヨーロッパでは鉄道事業をめぐってヨーロッパや中国、そして日本の企業による厳しい競争が繰り広げられています。日本勢の巻き返しはあるのか、その最前線を取材しました。

世界の鉄道120両がずらり

止まらない環境対応の波

ロンドン支局
中村航記者

世界最大級の鉄道の見本市です。120以上の実際の車両が一同に揃っています。

4年ぶりに開催された世界最大の鉄道見本市「イノトランス」。

56ヵ国から2,800以上の企業や団体が出展し、13万人が来場しました。

会場で多く目にしたのはH2(水素)の文字。

世界3位の鉄道メーカー、ドイツ・シーメンスの最新車両。水素エネルギーのみで動き、二酸化炭素を排出しないのが特徴です。

さらにスイスを代表する鉄道メーカー、シュタドラーもアメリカで初めて導入される水素燃料車両「フラート H2」を公開。2024年から西海岸ロサンゼルス近郊で走り始める予定です。

その幹部を直撃すると…

スイス・シュタドラー
ユレ・ミコルチッチ上級副社長

二酸化炭素の削減はドイツなどヨーロッパで止められない流れだ。
政治も車両メーカーも鉄道会社も対応を求められている。

欧州攻略で日本vs中国

一方、会場でひときわ注目を集めていたのは世界最大の鉄道車両メーカー中国の中国中車(CRRC)のブースです。

中国中車(CRRC)

時速600km、最先端のリニアシステムを紹介できてうれしい。

この日、世界最速クラスとなる時速600kmのリニアモーターカーをヨーロッパで初めて発表しました。実用化の時期は近い将来として具体的には示されませんでしたが…

スペインからの来場者

すごいプレゼンでとても良かった。

ドイツからの来場者

ヨーロッパも日本も一緒になって中国勢に立ち向かわないと負けてしまう。

さらに外に展示されていた車両には…

ロンドン支局
中村航記者

CRRCのブースですがドイツのフォルカー・ヴィッシング交通大臣が訪れています。中国メーカーの注目度の高さが伝わります。

中国中車は売り上げが4兆円規模と世界最大ですが、現在のその9割が国内向けです。

中国全土に短期間で高速鉄道網を普及させた経験とコストでの優位性を武器にまだ実績のないヨーロッパ市場を狙う考えです。

中国中車(CRRC)
畢宇鵬ブランドマネージャー

小会社や研究所も戦略的に欧州につくった。
欧州とウィンウィンの関係性を築きたい。

一方、日本勢は…

日本企業で初めてヨーロッパに旅客用の鉄道車両を納入したJR東日本グループの総合車両製作所(J-TREC)。

展示したのは水素エネルギーと電気のハイブリッドで動く最新車両「HYBARI(ひばり)」のモデルです。

西山隆雄社長自らトップセールスする相手はこれまでも取り引きがあるアイルランド鉄道のジム・ミードCEO。

総合車両製作所
西山隆雄社長

20年前に納入した鉄道は「まだしっかり動いている」と聞いている。

アイルランド鉄道
ジム・ミードCEO

一番信頼できる車両で手厚いサポートもとても助かっている。

強調するのはこれまでの実績と日本の品質の高さです。

アイルランド鉄道
ジム・ミードCEO

総合車両製作所のものはとにかく品質が高い。水素での取り組みも非常に興味深い。

総合車両製作所
西山隆雄社長

好印象を持ってもらっている。きょうは改めて認識してもらった。
あとはコストの問題になる。

一方、ヨーロッパで業績を伸ばす日立製作所は…

日立製作所
鉄道ビジネスユニット
アンドリュー・バーユニットCEO

3種類の異なる方法で走行でき、二酸化炭素を従来の50%以上削減できる。

発表したのはイタリアの鉄道大手「トレニタリア」と最大で1,700億円にのぼる納入計画をした新型車両「ブルース」です。

電気とバッテリー、そしてディーゼルの3種類の走行を組み合わせることで環境に優しい走りが実現できるといいます。

さらに車体や内装はイタリアのチームがデザイン。

自転車専用のラックのほか、電動自転車の充電設備を付けるなど、現地のニーズを取り入れることを徹底しました。

トレニタリアのトップに日立を選んだ理由を聞くと…

イタリア・トレニタリア
ルイージ・コラッディCEO

1つ目は技術レベル。2つ目はメイド・イン・イタリーを重視。
これは今後さらに重要視していく部分だ。

日立は2015年にイタリアの鉄道メーカー「アンサルドブレダ」を買収。現在はフランスの鉄道大手「タレス」の買収交渉も進めています。

今後もヨーロッパを足掛かりに事業の拡大を狙う考えです。

日立製作所
網谷憲晴執行役常務

日本の技術は世界でもナンバーワン。それをどう市場に合わせ提供するか。
どうしても各地域の仲間とやる必要がある。
ステップなく一気にやるのは不可能。一歩々々進めるのが戦略。

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