アメリカの民間企業を中心に商業宇宙旅行を目指す動きが活発になっていますが日本でもある方法によって低価格で気軽な宇宙旅行を実現しようとするスタートアップ企業があります。どのようなものなのでしょうか。
気球で"宇宙旅行"!?青い地球を眺め遊覧
北海道江別市。
元パチンコ店のこちらの建物。中に入ると目の前には透明な風船が…
一体これは何なのでしょうか。
岩谷技研
岩谷圭介社長(36)

これは人を宇宙に連れて行く気球。
この気球で宇宙旅行を実現しようと思っている。
風船に使われるヘリウムガスで巨大な気球を作って宇宙へ行こうというのです。
北海道大学で航空宇宙工学を学んでいた岩谷さん、気軽に宇宙旅行を楽しむにはロケットではなく気球が最適だと考え、6年前に会社を立ち上げました。
岩谷技研
岩谷圭介社長(36)

ロケットは投げ上げて落ちてくる。
飛行時間はあっという間。
時間も気球の方がロケットより長く楽しめる。
去年7月にアマゾン創業者ジェフ・ベゾス氏がロケットによる宇宙旅行を成功させました。
ベゾス氏のロケットは打ち上げから高度100キロの宇宙空間におよそ3分で到達。数分間無重力状態を体験し、パラシュートで地上に戻ってきます。その間、わずか10分。
一方、気球ではおよそ2時間かけて高度25キロの成層圏まで上昇。そこは厳密には宇宙ではありませんが1時間ほどとどまることができるといいます。
これは4年前に実験。水槽に入れた熱帯魚を気球で飛ばしておよそ1時間、これが高度25キロからの眺め。
宇宙空間のように無重力は体験できませんが、簡単に青い地球が望めます。
魚だけではありません、今月ハムスターも成層圏へ。
過酷な環境から生還させることに成功しました。
これが開発中の乗り物。
岩谷技研
岩谷圭介社長(36)

これは1人用の乗り物。
今年度中には全長41メートルの気球で高度25キロの有人飛行実験を計画しています。
気になるのは安全性です。気球の素材は食品の容器などに使われるポリエチレンですが、もし穴が空いたらどうなってしまうのでしょうか。
岩谷技研
岩谷圭介社長(36)

乗り物にパラシュートをつける。
どうしようもなくなった場合、人にもパラシュートをつける。
パラシュートを人と乗り物につけて安全性を高めているといいます。
沖縄県宮古島市。
この日は今年5回目の気球を飛ばす実験です。実は気球による飛行にはある課題が…
カギを握るのが上空でヘリウムガスを放出するための調整弁。
気球は中のヘリウムガスを放出して下降させます。しかし現状ではガスがうまく抜けずに風に流されてしまう危険性があり、着水地点の予測が難しいといいます。
これでは乗客が海の上で長時間待たされることになってしまいます。
今回の実験ではヘリウムガスを調節して予測した場所に気球が降りてくるか検証。
1時間半後、高度18キロメートルに到達しました。この日はこの高さでヘリウムガスを放出します。

弁、開放します。
気球が降りてきました。
取り付けたGPSを頼りに回収に向かいます。港を出て3時間…

あったよ。
予め予測していた付近に着水していました。
岩谷技研
岩谷圭介社長(36)

こうした実験を繰り返して有人の実験に一歩一歩、実用化に進んでいきたい。
将来的には6人乗りの気球を開発して1人100万円台の旅を目指します。