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[モーニングサテライト]「中国焦点」日中国交正常化50年[株式会社 イトーヨーカ堂]

2022年9月29日

モーニングサテライト

「中国焦点」です。日本と中国は9月29日に国交正常化から50年を迎えました。中国に進出した日本企業の数は2010年ごろまでは大きく伸びていましたが、その後は伸びが止まり、企業の中には中国との関係を見直す動きも出始めています。番組では90年代半ばから中国事業を展開した大手小売、そして中小企業を追うことで正常化50年のその先の中国ビジネスの行方を探りました。

国庫正常化50年

北京No.1のスーパーに

こんいちは!いらっしゃいませ!

9月27日、中国・北京にあるイトーヨーカ堂を訪ねました。

イトーヨーカ堂亜運村店
林艶店長

9月29日は2つの記念日。
日本と中国の国交正常化50周年をむかえる。
今週から国慶節商戦のピークに突入するので従業員総出で取り組もう。

中国と日本の国交正常化50年、そして10月1日の国慶節という大型連休を控えています。イトーヨーカ堂にとって重要なイベントが続きます。

こうした中、準備したのが北海道物産展です。「白い恋人」や「じゃがポックル」も用意しました。

イトーヨーカ堂は産地直送で新鮮な野菜や日本風の味付けの魚を数多く揃えることで競争力を高めようとしています。

お客さん

よくここに買い物に来ている。
値段はちょっと高いが品質が良い。値段より品質を重視している。

お客さん

鮭のみそ漬けが大好き。味付けが薄めで健康的。
商品はとても新鮮でサービスもとても良い。

北京イトーヨーカ堂
食品開発事業部長
孫浚宇さん

本格的な日本製品を最も多く取り揃えることで北京でナンバーワンの日本ブランドのスーパーにしていきたい。

高い集客を誇っているようにみえますが、実はここは北京に残された唯一の店舗なんです。

成功と苦悩から学ぶ

イトーヨーカ堂は1997年に中国・成都に1号店をオープン。店長の三枝富博さんは市民に新たな生活を提案するような店舗つくりを強調していました。

成都 イトーヨーカ堂
三枝富博副総経理・店長(当時)

午前中目標にいかなくて目標を変えるのはダメ。
目標を下げるのは絶対おかしい。

さらにお客さんの自宅を訪問し、必要としているもののリサーチまでしていました。

その後、成都で11店舗まで店舗数を増やし、日本の小売モデルが中国に受け入れられたかに見えました。

一方、北京では苦戦を強いられます。オリンピック開催の翌年には10店舗まで拡大しましたが、現在は1店舗のみとなっています。

北京ではなかなか成功モデルが構築できません。

イトーヨーカ堂
三枝富博中国総代表(当時)

ただワインを提案しているだけで、ワインを飲む生活はどんな食べ合わせにするれば楽しくなるか。

次々と閉店に追い込まれました。

イトーヨーカ堂 三枝会長

イトーヨーカ堂の中国進出からの二十数年は成功の自信と中国ビジネスの難しさ、双方を経験するものとなりました。

今年3月に会長に就任した三枝さんに中国ビジネスの根幹となるものを聞きました。

イトーヨーカ堂
三枝富博会長

流通の近代化、国民生活の向上に供することができるのか。
商売はお客様に喜んでもらい、結果として買ってもらって、そこからわれわれの給料が出る。
大義は何か、お客様本位で地域に貢献することだ。

しかし、SARSや反日デモなど中国においては予期せぬことが次々と起こります。

二十数年の経験から中国との関係はどうあるべきだと考えているのでしょうか。

イトーヨーカ堂
三枝富博会長

どういう大義のもとで、どういう関係づくりをしていくか。
難しいが挑戦していく。
歴史的な軋轢になるところはうまくいかないんじゃないか。
1つ目は社会貢献、2つ目は納税、3つ目は地域に10年以上根付いているか。
向き合っていけば、クオリティを高めていけるのではないか。

首都・北京での事業を今後どう展開していくのか。三枝さんは時間がかかっても信用を高めていくことが唯一の策だと強調します。

イトーヨーカ堂
三枝富博会長

北京オリンピック(2008年)が終わると働きに来た人がいなくなる。
マーケットが急にガタンとなる。
いいものがある、質の高いものがある、それを意識する。
信用や信頼は突然できるものではない。全て積み重ね。
信用を作っていくには時間がかかる。

営業停止「松井はやめて」

中国東北部の大連。30年以上ビジネスを続けている日本の中小企業があります。

兵庫県に本社を置く松井味噌。みそを中心とした調味料や加工食品を製造・販売しています。

松井味噌
松井健一社長

当時、日本のみそ・納豆・豆腐の大豆は95%が中国に依存していた。
そのほぼ全てが大連から輸出されていた。
原料としてはパラダイスのような状況だったので、私も決断して中国に第一工場を作った。

中国向けに新たに開発したラーメンスープが人気を呼び、売上高は進出当時の2億円から80億円に拡大しました。

しかし…

松井味噌
松井健一社長

炎上騒ぎで去年9月には営業できなくなった。

去年8月にオープンした商業施設「小京都」。東京ドーム13個分の敷地に京都の街並みを再現しました。

松井味噌はここに3つの飲食店を出店。オープン当初は大勢の中国人客で賑わいました。

しかし小京都は日本のイメージを全面に押し出したことでネット上で炎上騒ぎとなりわずか1週間で営業停止に追い込まれました。

今年2月に再オープンしましたがたくさんの中国国旗や中国風の提灯が並び、施設名も変更。日本の雰囲気は排除されました。

松井さんも当初のカフェを改装してラーメン店をオープン。

しかし、店名をめぐっても運営側とトラブルが…

松井味噌
松井健一社長

店名を松井ラーメンにすると言ったら「松井は日本人の典型的な名前のイメージがあるから松井の文字は使わないでくれ」と言われた。
いろいろとクレームがつくので「味噌拉麺」という店名にした。

この先のビジネスは

さまざまな荒波に揉まれ、試行錯誤を続けながら展開してきた日本企業の中国ビジネス。

50年のその先をどのように展望しているのでしょうか。

松井味噌
松井健一社長

配当の大きさから考えると取るべきリスクだと思う。
日本だと1,000社ものみそ会社がある。
中国は14億人の市場で日系企業は2~3社。
社長として中国でビジネスをしているが、中国市場は一番魅力的だと思う。

大浜平太郎キャスター

中国でビジネスをすることは日本にとって必要だと捉えている?

松井味噌
松井健一社長

アジアに3,000万人近い中国人が重要な位置を占めている。
情報ネットワークはものすごい貴重で重要。
信頼関係を作ればいい情報もたくさん入ってくる。
情報をとって関係性を良くしていくことは中国と関係性を作ったことになる。

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