投資の神様の異名を持つウォーレン・バフェット氏。
そのバフェット氏が去年、新たな投資先に選んだのが日本の五大商社でした。
この五大商社の最新の決算が5月10日に出揃いました。
長年上位に君臨してきた財閥系の商社を押しのけてトップに躍り出たのは万年4位と言われてきた伊藤忠商事です。
伊藤忠は他の会社と異なり、小売など生活消費分野に力を入れています。そしてさらなる成長を求めて小会社であるファミリーマートの改革にも乗り出しています。
その改革をめぐってバフェット氏も投資しているアメリカのソフトウェア企業「スノーフレーク」と協業を進めていることがテレビ東京の取材で分かりました。
コロナ禍でも躍進を遂げた伊藤忠の次の一手は何なのか、経営トップに密着しました。
伊藤忠商事株式会社
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今朝6時過ぎ。
車から降りてきたのは伊藤忠商事の岡藤正広会長です。
カバンから取り出したのはこの後発表予定の決算資料。鋭い表情で目を通していました。
準備を整え、向かったのは取締役会。その冒頭、WBSのカメラが入りました。
われわれの決算、きょう承認されるが、ついに3冠達成。
ただ、喜びはきょうまで、あすからは新たな目標に向かって全社一丸となって頑張っていきたい。
伊藤忠は今年3月までの1年間の純利益が4,014億円になったと発表。
株価と時価総額、純利益で商社トップの3冠を初めて達成しました。
今年度の純利益は5,500億円の見通しです。
戦略のカギを握るのが去年およそ5,800億円を投じて非公開化した小会社のファミリーマートです。
新型コロナの感染拡大で都市部の店舗を中心に売上が減少。1日あたりの平均販売額、いわゆる日販でトップのセブン-イレブンに大きく差をつけられています。
何故いま伊藤忠はファミマの改革に乗り出したのか?
先日オープンしたばかりの初の無人決済店舗に岡藤会長の姿が…
いろんなデータが集まるとそこにヒントがあるかもしれない。
一つだけでは分からない。
商品を取ると陳列棚のセンサーと天井のカメラが自動で判断。バーコードの読み取りもせずスムーズに決済できます。
今までみたいに自分たちの商品をいかに売るかではなく、お客様が何を欲しているか、データに基づいてお客様が欲しがる商品を投入する。
全国に1万6,600店舗あるファミマ。収益を伸ばすだけではなく店長業務の負担軽減も喫緊の課題です。
そこで導入されたのが…
ファミマ!!青山ビル店の高安弘店長、
発注ポイントを見せて。
きょうの発注ポイントを表示します。
ランキングを見せて。
店長の業務を支援するAIシステム「レイチェル」。
話しかけるとデータベースから店舗ごとに応じた情報を表示。
前日の売り上げや当日の天気予報などのデータを基に商品の発注量の増減をアドバイスします。
何かしながらデータを出してもらえる。時間短縮になっている。
レイチェルを手掛けるスタートアップ企業「クーガー」と資本業務提携を結んでいる伊藤忠。
導入した店の日販は平均2%伸びているといいます。
さらにファミリーマートの倉庫でも新たな取り組みが…
全国の店舗に卸す1,500種類の商品の発注作業、これまでおよそ40人の担当者が毎日3~4時間かけて作業にあたってきました。
担当者目線ではちょっと不安なので少し在庫を多く持ってしまう。
人の予測に基づく発注作業は在庫の適正化の面で課題があったファミリーマート。
そこで伊藤忠はある企業との協業を決めたのです。
去年、ニューヨーク証券取引所に上場したスノーフレイク。バフェット氏が率いる投資会社も600億円出資していて、クラウド技術を活用したビッグデータの保管や分析サービスを提供しています。
スノーフレイクを使って商品を発注する際、売り上げや天気、受注量などあらゆるデータを統合。これまでにない速さで分析が可能になったといいます。
総力を上げてファミマの強化を推し進めている伊藤忠。今後の展開について、
お客様が望んでいるものは何か、それを伊藤忠の調達力で持ってきて売る。
ただ、ファミリーマートでいろいろな実験をしなければいけない。
もう利益関係なしに実験でそこでやっていこうと。
ファミリマートは宝だと思う。