
地域で奮闘する企業を取り上げる「輝く!ニッポンのキラ星」。
今回は高い技術と斬新なアイデアで次々と人気商品を生み出す愛知県小牧市の手帳メーカーを取材しました。

伊藤手帳株式会社
[blogcard url="https://ito-techo.jp/"]
東京・銀座にある文具店「銀座 伊東屋 本店」。

今年ももうすぐ年末、手帳コーナーではたくさんの種類が並び始めました。

その中で最近売れているのは…
銀座 伊東屋 本店の芝﨑いづみさん。
こちらがセパレートダイアリーです。

この手帳は上段が月間、下段が1日1ページと分かれていることで月ごとの予定と日ごとの予定を同時に確認することができます。

従来の手帳と比べてページを行ったり来たりすることがなく、1日1ページのものは書くスペースが多い。

たっぷり書き込めると人気。

サイズはタブレット端末くらいの大きさ。

1ヶ月ごとで月間とデイリーのページが上下逆転していることで従来の手帳よりもページ数が半分となり、重量も軽くなっています。


このセパレートダイアリーを製造する企業が愛知県小牧市、紙加工メーカーが多いこの地で1937年に創業した手帳メーカーの伊藤手帳。従業員44人。


売上高は11億4,700万円に上ります。

大手メーカーのOEM生産が主力ですが、一般企業の社員手帳やオリジナル商品なども手掛け、年間およそ800万冊の手帳を作っています。



伊藤手帳の伊藤亮仁社長。
手帳の企画・製本・カバーの製造・梱包・出荷まですべて社内で一貫生産できるというのが強み。

安定した品質管理・納期管理ができる。

分業で作られることが多い手帳業界。伊藤手帳では2010年から一貫生産ができる体制に変わりました。

さらなる品質向上のため、製造機に取り付けられたものが紙を折りたたむ折りの工程で表裏が間違っていないかを読み取り確認する表裏チェックセンサー。

1枚ごと紙の裏表のチェックを行っています。
そして業界唯一の設備である乱丁落丁検知センサー。

さらに重量検知センサーをはじめ、10個のセンサーで工程ごとに確認をしています。


機械にさまざまな検知センサーを取り付けているのでミスや不良をかなり減らすことができた。

また全ての手帳は耐久性に優れた糸かがりという本の背の部分を閉じていく製本方法が取られています。

この製本方法によりきれいに180度パカッと開き、長時間の使用に耐えられる丈夫さを保つことができます。

ここでは業界最先端の糸かがり機が4台フル稼働しています。

工場では機械化をずっと進めてきたが工程において人の手でないと品質が保てないところもある。

例えば背ならしという背の部分をプレスしてそろえる工程。

背をきれいに平らにすることにより後で余分な部分を切り落とす際の精度が高まり、美しい手帳の製造につながります。

伊藤手帳の製造部、武末一輝さん。
機械でやると盛り上がってしまう。手作業でやらないといけない。

その後、背ならしされた手帳が型崩れしないように背中にボンドを塗り熱で固める背固めという作業を行います。

そして余分な部分を断裁し、一冊の手帳の形に。

しおりとなるリボンは一年間取れずに使用できるよう背の部分を十分に接着させています。

こうした高い品質を保つ技術で手帳メーカーとしての確固たる地位を保っているのです。
ユーザーの皆さまが快適に手帳を使える仕組みを構築し、リピーターを増やしていきたい。

2011年からは自社ブランドを立ち上げ、ECサイトを主体に商品の開発・販売を開始。

そこで開発されたのがセパレートダイアリーでした。

元々は自社で作っていた一般的な手帳を使っていたが、マンスリーとウィークリーのページを何回もめくらないといけなかった。

同時に見開きで見えるような手帳が作れないかと思ったのが開発のきっかけ。

セパレートダイアリーは年間1万5,000冊ほど販売され、自社ブランドの主力製品に。

自社ブランド製品全体の売り上げは年間およそ1億円。

2011年から10年連続で売上を伸ばしています。

昨年は業界初となる折りたためる手帳「TETEFU」を発売。

広げた状態はA4サイズですが、折りたたむことでA6サイズ、文庫本ほどの大きさになります。

手帳に書き込むスペースは広く、持ち運びは小さくという新しい手帳の形を実現しました。
月に1回、新製品開発会議をやっている。

世の中にないちょっと変わった新しい手帳を企画している。

今年は月曜日始まり、日曜日始まりという概念を崩した業界初の曜日フリー手帳「コウシ手帳」を発売しました。

月間カレンダーの中に104個もの格子が並ぶことから名付けられたこの手帳、自分のライフスタイルに合わせて曜日の初期設定を決めることができます。

アナログのよさは今後も追求していくが、デジタルも絡めた挑戦もしていきたい。

スケジュール管理のツールだけでなく、日々の思ったことを書き溜めたり、昔を思い出したりするツールとしてSNSやオンラインで啓蒙していきたい。
