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[WBS]イタリア総選挙!初女性首相の右派政権誕生へ

ワールドビジネスサテライト(WBS)

ユーロ安にも影響を与えたイタリアの総選挙。イタリア優先、自国優先主義を唱える極右政党「イタリアの同胞」を中心とする右派連合が過半数の議席を獲得し、党首のジョルジャ・メローニ氏がイタリア史上初めての女性首相となる見通しです。首都のローマには中村航記者がいます。右派政権の誕生を現地はどう受け止めているのでしょうか。

イタリア"右派政権"誕生へ
大躍進のワケは?

ロンドン支局
中村航記者

イタリアの首都ローマです。ジョルジャ・メローニ氏率いる政党「イタリアの同胞」などによる右派連合政権の誕生が確実となりました。
選挙翌日の今朝の新聞を持ってきました。
ラ・レプッブリカ紙ではかなり凄みのある写真とともに「メローニがイタリアを取った」と書かれています。イルテンポ紙では「ジョルジャの番だ」と書かれていて、連立相手のサルビーニ氏との写真があります。そのト書きには独裁者のムッソリーニが使っていたローマにある広場について会話を交わしていて、ムッソリーニのようになるのかと警戒している様子を伝えています。

開票がほぼ終わった現時点でイタリアの同胞は26%の指示を集め、第一党となることがほぼ確実となりました。4年前の選挙で4.4%だったので大きな躍進です。

これで連立を組む「同盟」と「フォルツァ・イタリア」を合わせ、右派連合が上下両院で過半数の議席を押さえイタリアは自分の国を優先する右派政権が誕生することとなります。

イタリアの同胞
メローニ党首

国をリードするために、全てのイタリア人のために行動すると分かってもらいたい。
国民を団結させるため、分断ではなく団結を強調していきたい。

極右政治家は分断を煽ることが多い傾向がありますが、メローニ氏が勝利宣言で訴えたのは団結でした。

最低年金の底上げや保育所の無償化などを公約に掲げ支持を広げた右派連合が勝利した背景には既存政治に対する不満があります。

イタリア"右派連合"勝利のワケ

店がエネルギー価格を掲示?

イタリアでいま最大の問題となっているのが急激な物価高です。8月の物価上昇率は1年前に比べ8.4%上がりました。

その中でも特に深刻なのがエネルギー価格です。

ウクライナ侵攻によるEUのロシアへの制裁が影響し、燃料価格が急激に高騰したのです。

コロッセオの近くにあるレストラン「アンジェリーノ・アイフォリ」。名物のパスタなどが人気なのですが…

ロンドン支局
中村航記者

ローマ市内のレストランですが入り口に張り紙があります。
高騰しているエネルギー価格を掲示しているということです。

張り紙には去年7月のガス代が2,741ユーロ、今年7月のガス代は6,871ユーロとあります。今年は消費税にあたる付加価値税などが減税されているにも関わらずおよそ2.5倍に。

レストラン・オーナー
アンジェロ・ジラルディさん

企業にも家庭にも何が起きているのかを伝える必要がある。
エネルギーコストの無差別な上昇がインフレの最大の理由になっている。

公共料金全体では5倍となり、いよいよ価格転嫁の検討も視野に入ってきます。

イタリアではいま値上げを見据えたエネルギー価格の公開を業界として実施しています。

懸念はヨーロッパでも…

こうした物価高が最大の争点となった今回の選挙。

イタリアの同胞のメローニ党首は最低年金の底上げや保育所無償化などを公約に掲げ、支持を集めました。

ただ、バラマキとの批判もあり財政確保の見通しはありません。

専門家は…

イタリア政治に詳しい
共立女子大学
八十田博人教授

何といっても、この10年ぐらい内閣に入っていない。
今回アウトサイダーから第一党となったことで国政レベルの経験不足が心配。

また、極右のメローニ氏への懸念はヨーロッパにも。

過去にEUを厳しく非難していたメローニ氏ですが、今回の選挙戦ではEUとの協調姿勢をアピール。

ただ、右派連合を組む極右、同名のサルビーニ氏や中道右派フォルツァ・イタリアのベルルスコーニ元首相はロシアのプーチン大統領と親交が深いことで知られ、今後EUとの足並みが乱れるのではとの懸念が生まれています。

イタリア政治に詳しい
共立女子大学
八十田博人教授

本来的には右派の人材を活用して、メローニさんだけじゃなくて右派全体としてEUと議論しながら決定的な対立を避けるのが一番ベストなシナリオなんですけど、連立を組む2人のリーダーシップが弱まっているのが右派全体にとって不安。
メローニさんが頑張りすぎると強硬なところばかり目立ってしまって、ポーズだけでも国際的に批判を受けて、逆に自由が取れなくなることが恐ろしい。

UE協調 ロシア制裁は?

大江麻理子キャスター

イタリアは国内では物価高の問題、国外ではEUとの関係への懸念メローニ氏率いる右派連合はスタート前から問題が山積しています。

ロンドン支局
中村航記者

課題は山積みです。実はメローニ氏が最初に支持を広げた理由には物価高に対して有効な対策を打てなかったドラギ前政権の大連立に主要政党として唯一参加していなかったためという側面もあります。

主張や公約とは別にインフレや景気後退懸念など現状に不満が多い状況だからこそ、政権に反対の立場の政党が人気になりました。

ただ逆にこれからは自らが政権側です。勝利への追い風となった現状への不満がそのまま新政権への不満に変わる可能性もあります。

またメローニ氏自身は選挙戦でロシア制裁を支持して、EUの協調姿勢をアピールしてきましたが、もともとはEUに批判的です。

世論調査でも物価高を引き起こしたロシア制裁への支持が不支持を下回ってきました。

世論の後押しなどがあれば首相に就任後、ロシア制裁をめぐってEUとは違った態度を取る可能性もあるとみられています。

イタリアの政治は短期政権も多く、混乱が状態化しているともいわれます。

再び混乱か、それともメローニ氏が掲げていた団結か、いまイタリアは重要な分かれ道にいるといえそうです。

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