ジャン・チャールズ島
ニューオーリンズから南へ約100kmのジャン・チャールズ島。

島には今にも浸水しそうな家々が立ち並びます。

実は今、この島は水没の危機に瀕しています。

ある調査機関によると50年後には完全に海に沈んでしまうといいます。

案内してくれたのは島の先住民の子孫、ボーヨー・ビリオさん(65歳)。

1990年ごろまでは、ここにも陸地が広がっていた。

島の変わり果てた姿に落胆の色を隠せません。
あの家と家の間に店があったんだ。ダンスホールも教会も学校もあった。

島の陸地はほとんど水に飲み込まれてしまったよ。

沈む島
1963年の衛星写真には緑豊かな湿地帯が広がっていたため、海を表す部分はわずかでした。

しかし約50年後には海の部分が増え、湿地帯は姿を消しました。

島は今では面積の98%を失いました。
温暖化による水位の上昇に加え、油田やガス田の開発が原因とみられています。

ボーヨー・ビリオさんも移住を余儀なくされました。
向こうにいとこの家、ここに私の家、向かいにも親戚の家があったが、1985年のハリケーンでダメになり、皆この島を離れることになった。

島と本土を結ぶ唯一の道路も海が大しけになると水浸しです。


ハリケーンなど嵐による浸水被害も年々深刻に。

移住
約100世帯だった島民は今では約25世帯に。

ボーヨー・ビリオさん達の部族に伝わる音楽、島が沈みつつある今でもこの地に愛着がある人は多いといいます。

今も住み続けているギル・ダルダルさん。

やあ、ボーヨー。
元気ですか?

「なぜ島を離れたくないのですか?」
この島はわが家だからさ。

移住してからもボーヨー・ビリオさんは週に1度は島にやってきます。
そして必ず訪れるのがデネシア・アーキン・ビリオさん(92歳)とヴェンセスラウス・ビリオさん(90歳)。
調子はどう?
いいわ。


今も島に住む90歳を越えたボーヨー・ビリオさんの両親です。
島で生まれ育った両親にとって移住は決して簡単ではありません。
分からない、ずっとここで生きてきたし、とにかく島が好きなの。

島民の離散を防ぐため政府に支援を求めたところ、2016年1月に約50億円の公的援助が決定しました。

全員で別の土地に移住することになりました。
ただ、どうやって移住するのか具体策はこれからです。
ルイジアナ州のパトリック・フォーブス地域開発局長は

移住が完了するのは2019年頃になるだろう。

彼らの移住は今後、他の地域でも応用できるモデルケースにしなくてはいけない。

しかし、その一方で島の水没は待ってはくれません。
ボーヨー・ビリオさんは
次にハリケーンが来たら島にある家は海に飲み込まれてしまう。

2年半はわれわれには長過ぎる…

アメリカの沈み行く島、地球温暖化による影響はアメリカにとっても他人事ではなくなってきました。
