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[WBS]進む円安ドル高でも…アメリカなぜ?ドル高警戒論浮上[アイリスオーヤマ株式会社]

ワールドビジネスサテライト(WBS)

依然として歴史的な円安ドル高が傾向が続いています。アメリカはドル高が国内のインフレ抑制につながるなどとして静観してきましたが、実はここに来てドル高のマイナス面に着目するドル高警戒論も出始めています。

アメリカで"ドル高警戒論"
為替変動に対応する日本企業

アメリカ
イエレン財務長官

金利上昇・ドル高の環境は世界に圧力をかける可能性がある。
世界的な見通しを心配している。

アメリカのイエレン財務長官が2ヵ月あまり前に指摘していたのはドル高のデメリット。アメリカ国内ではこうしたドル高警戒論がその後も広がりを見せています。

ニューヨーク支局
田口智也記者

ドル高がもたらす負の影響についてはアメリカの主要メディアでも相次いで報じられています。

紙面には「ドル高で多くの国が痛めつけられている」などドル高が続くことに疑問を投げかける見出しが。

なぜ、こうした警戒感を強めているのでしょうか。

第一生命経済研究所
永濱利廣主席エコノミスト

あまりにもドル高がいきすぎて新興国だったり、ヨーロッパだったり、世界経済にかなり大きなダメージを及ぼしかねない。
世界経済の悪影響や金融不安などを通じて回り回ってアメリカ経済の首を絞めかねないという警戒が必要になっている。

アメリカがドル高是正に踏み切る可能性はあるのでしょうか。

第一生命経済研究所
永濱利廣主席エコノミスト

ドル高は11月ごろに転換点を迎える可能性はある。
G20が控えていて、間違いなくドル高が世界経済に及ぼす影響は議論される。
場合によっては対応策のようなものが出てくる可能性も考えられる。

この先、円安は続くのか、それとも円高への急旋回もあり得るのでしょうか。

為替の変動に柔軟に対応しているのが生活用品メーカーのアイリスオーヤマです。

もともと大半の製品は中国の工場で生産していますが、先月埼玉県の工場に中国から金型を取り寄せプラスチック製の収納用品の製造を始めます。

今月中旬から国内生産に切り替えるのはおよそ50品目。その理由は…

アイリスホールディングス
SCM課
小松健一郎さん

円安の影響と海上輸送運賃、非常に大きい影響がある。
今回選んだ品目に関すると中国の工場で生産するより日本の工場で生産した方が2割ほどコストが安い。

中国でのロックダウンや海外からの輸送費の高騰などに続き今回の円安。6月に検討し、一部のプラスチック製品を国内生産に切り替えました。

アイリスホールディングス
SCM課
小松健一郎さん

今後も円安傾向が続いた場合、原価が上がってくるので国内生産した方がメリットが出る製品が増えてくると思う。

当面、円安は続くと見ているアイリスオーヤマ。しかし、生産拠点はあくまで中国とも話します。

なぜなのでしょうか。

アイリスホールディングス
SCM課
小松健一郎さん

円高に戻った場合もお客様にもっとも良い製品を届けられることが第一。
中国で生産した方が良い時は中国でというのが選択肢の一つ。

円安メリットを活かしつつ為替リスクに備える動きは中小企業にも。

東京・品川区にある金属部品メーカー「三和電気」。製造されていたのは電球のフィラメントです。

三和電気
宮﨑裕二社長

全長が25ミリ。
小さな「ランプ用フィラメント」が得意なので比較的大きいサイズ。

自動車用に使われるランプのフィラメントや医療機器の部品などを手掛けていて、ヨーロッパを中心に海外にも輸出しています。

原材料価格が上昇する中、円安が追い風になっているといいます。

三和電気
宮﨑裕二社長

日本から輸出す当社の立ち位置は円安メリットで競合他社より優位になる。

業務用の印刷機に使われるワイヤー。2年前、ベルギーの会社に10万本をおよそ8万3,000ユーロ、当時のレートで1,000万円で販売する契約を結びました。今年6月には同じ製品を3%ほど高い、およそ8万6,000ユーロで契約。これを円に換算すると20%高い1,200万円となり原材料価格の高騰分を差し引いても利益は増えたといいます。

円安の後押しを受け、新たにアメリカ市場の開拓にも取り組み始めました。ただ、突然為替が円高に反転するケースも想定はしているといいます。

三和電気
宮﨑裕二社長

顧客企業に量産部品として活用してもらう状況をつくっていく。
その後に円高に振れたとしてもお客様が製品のサプライヤーを切り替えることは非常に手がかかるので、今のチャンスのときに開拓を進めていきたい。

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