新型コロナの影響で4月、5月と多くの飲食店が休業していた中、スーパーや商店などに休まず供給を続けてきたのが東京の台所である豊洲市場です。
業者や飲食店専門といったイメージの豊洲市場ですが今より身近に感じてもらおうと新たな試みが始まっています。
いなせり株式会社
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6月22日、東京・夜の銀座。
ネオンの明かりが戻る中、ある寿司店を訪ねました。
ぎんざ鮨政。よりすぐりの旬のネタのこだわる高級店です。
普段なら予約した接待客でいっぱいになるのですがこの日は2人だけ。
店主の鈴木健二さん、
サラリーマンが動いてないからお客様の数は半分以下。
ネタケースの半分は空っぽです。
今ソーシャルディスタンスで1席づつ空けて座ってもらっている。
お客様を入れられないから買っても腐らせるだけ。
その魚を卸しているのが東京の台所、豊洲市場。
緊急事態宣言のあと豊洲市場の取扱高は前の年に比べ大きく減少しました。
特に厳しいのが飲食店を専門に販売している仲卸業者。
尾邦の三浦伸浩社長、かつてない不況に立たされていました。
4月は前年比で8割くらい減ってしまった。完全に赤字。
午前8時。
お客様がやって来ました。寿司店を経営する常連客です。
今が旬のハタとアイナメ。
いつも裏切らない。そうでないと長く付き合えない。
信頼の理由は三浦さんの目利きです。
キンメダイで1番と言われる銚子産。
銚子産の方が太って脂が乗っているといいます。
しかし値段が張るため銚子産は寿司店向け、勝浦産は居酒屋向けとお客様のニーズに合わせて仕入れるのです。
豊洲市場は産直と違って全国から魚が来る。
その中からお客様が欲しいものを見つけ出して提供するのが仕事。
しかし今もまだ客足は戻っていません。
480社の仲卸を束ねる豊洲市場の組合も頭を抱えていました。
東京魚市場卸協同組合の常務理事、横田繁夫さん、
組合費を数ヶ月減免する形でやれることはやっている。
厳しい状況が続いている。
そこで組合がいま力を入れているのがネット通販サイト「いなせり市場」。
豊洲市場に足を運ばなくても飲食店がネットで魚を買えるサイトで60ほどの仲卸が参加しています。
そしてこの苦境を乗り越えようと5月から家庭向けにも本格的な販売をスタートしたのです。
魚のプロが厳選した商品を誰でも自宅で楽しめます。
あの尾邦の三浦さんも今回、いなせり市場への出品を決めました。
この日は運営担当者と商品選び。
一般の個人向けに出そうかと。
目玉はのどぐろ。
1本900円。料理屋さんは2,000~2,500円。
うちはこの値段で一般の人にも出す。
キンメダイにのどぐろ、カレイにマダコ、カマスも入った鮮魚の詰め合わせ。スーパーでは手に入らない室の高い魚が豊洲の卸値で買えるのです。
料理しやすいように鱗や内臓も取り除いてくれます。
すぐ食べられるように、焼く、煮るだけという形にする。
こちらもいなせり市場初出店の佃熊。
社長の山田さんの自慢は油の乗った本マグロです。高級寿司店にも卸している商品です。
次に取り出したのは大ぶりのエビ。
肉厚、発色が非常に良い。
そして、
煮穴子。
そこにあの本マグロを入れた寿司セットです。プロが選んだネタで本格的な寿司に。
いなせり運営会社の佐々木真一さん、
失敗しないマグロの解凍方法を教えてもらいます。
さらに仲卸ならではの知識を動画で伝授。
塩水の中に氷を入れて氷水の中にマグロを入れて解凍する方法がお勧め。
新型コロナで変わる食のスタイル。豊洲市場も大きな転換期を迎えています。
佃熊の山田健社長、
豊洲市場から新しい取り組みが始まった。
われわれのこだわりを多くの人に知ってもらい「やはり市場は違う、良いものが出てくる」そういう部分を感じてもらえたら。